麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年03月12日(月)
ホラーとしての恐怖感はイマイチ薄いものの、「バイロケーション」という設定を活かした物語としては申し分ない。またリーダビリティもかなり高いので、面白い本格ミステリを読みたいという人には是非とも本作をお勧めしたいと思う。
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posted at 20:09:32
本作はホラー小説として世に出たものだが、個人的には特殊設定を用いた本格ミステリとして楽しく読ませてもらった。本作の仕掛けのうち、一つはだいたい予想がつくかもしれない。だが作者はその後にもう一つ捻りを加えたサプライズを用意しており、自分としてはむしろこちらの方を評価したい。
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posted at 20:09:03
法条遥「バイロケーション」読了。画家を志す忍は偽札の使用を疑われたのを機に自分と同じ容姿、同じ行動をする「バイロケーション」なるものが存在していることを知る。その後忍は同じ理由で苦悩する人々が集まる会に入ることになるが、それから間もなく会のメンバーが何者かに一人ずつ殺されていく。
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posted at 20:08:20
とはいえ探偵に対する犯人の考え方は本格ミステリの定番を逆手にとったものでなかなか面白かった。ただプリンセスのキャラは、ツンデレと謳うにはツンもデレも些か弱い気がする(まあ萌えを重視しているわけではないので、それでもいいかもしれないが)。
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posted at 20:08:04
本作には密室や首なし死体といった本格ミステリ的要素が出てくるものの、不思議と本格ミステリを読んでいる感じがあまりしなかった。それは多分、本作が謎をあくまで物語を盛り上げるための装置として扱っているからだろう。この感覚は皆川博子「開かせていただき光栄です」に近いものがある。
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posted at 20:07:42
芦辺拓「大公女殿下に捧げる密室」読了。昔馴染みの未来生から助けを求められ欧州の小国「ヴェルデンツ大公国」にやって来た森江春策を待っていたのは宮殿内の塔で起こった密室状況下での殺人事件だった。塔内にいた未来生が最有力容疑者になったのに加えておてんば大公女にも振り回される羽目に……。
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posted at 20:06:47
2012年03月09日(金)
実際のメインはフーダニットであり、〈日常の謎〉はただの装飾に過ぎない。故に〈日常の謎〉を期待すると正直肩透かしだがフーダニットの方はなかなか巧妙で、単純ながらも盲点を突いたアリバイトリック含め楽しませてもらった。続編も期待できそうな一作。
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posted at 16:11:19
以前、自分は似鳥鶏のことを〈日常の謎〉重視の書き手ではなく〈日常の謎〉をガジェットとして使った仕掛け重視の書き手と評したことがあったが、それは本作を読むとよく分かる。一見本作は動物盗難事件という日常の謎をメインに扱っているように見えるが、さにあらず。
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posted at 16:10:52
似鳥鶏「午後からはワニ日和」読了。楓ヶ丘動物園からイリエワニが何者かに盗まれ、現場には「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」と書かれた貼り紙が残されていた。事件はそれだけに止まらず、続いてミニブタ、インドクジャクが盗まれる。一体誰が、何のために?
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posted at 16:10:33
2012年03月08日(木)
一体自分が何を言っているのか分からないと思うが(汗)これに関してはとにかく読んでほしいと言うしかない。構図が明らかになって以降は秀逸なブラックユーモア小説として読むことも可能だろう。前作「鬼畜の家」の技巧に新たに奇想を加えた本作は捻くれたイヤ本格(?)好きに是非ともお勧めしたい。
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posted at 23:08:45
だが、最終章に至った途端、物語のとんでもない構図が明らかになり、かなり唖然とさせられる。例えるなら「犬神家の一族」のような話というお題で斎籐肇がプロットを考え、小川勝己が細部を肉付け、執筆したような凄まじさ(?)なのだ。
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posted at 23:08:07
深木章子「更衣月家の一族」読了。傑作。まず本作は「犬神家の一族」みたいな話を想像すると大きく裏切られることになる。一見何の関連性もない、ありふれた三つの殺人事件の顛末が語られ、そのうちの一つは警察の地道な捜査により綺麗に決着がついている。人によってはタイトル詐欺とすら思うだろう。
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posted at 23:07:30
また上巻のラストで作者は犯人の一人を明らかにするという破格ぶりを見せるが、それが却って真相のミスディレクションになっている点が面白い。個々のトリックは決して目新しいとは言えないが、丁寧に張り巡らされた伏線や犯人の動機が光る、王道本格ミステリの秀作である。
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posted at 19:31:31
「少年探偵セディ・エロル」シリーズの五作目は上下巻に渡る著者渾身の力作。次々と起こる不可解な殺人劇も魅力的だが、本作の見所は何と言っても呪われた一族の秘密に挑む名探偵だろう。それらが真実の陽の下に晒された瞬間、館の崩壊と共に一族が呪いから解き放たれる様は正に圧巻の一言に尽きる。
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posted at 19:30:56
井上ほのか「ロンドン園遊会殺人事件」読了。ラコシと呼ばれる怪物に呪われたウィンタース家を襲う連続殺人の恐怖。テロリストによる爆破事件が起こった最中に人間技とは思えぬ方法で殺された医師。だがそれから間もなく死体は消え、代わりに「二人目は水、三人目は火で死ぬ」と書かれた予告状が――。
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posted at 19:30:06
2012年03月07日(水)
故にミステリとしては本編よりも格段に落ちるが、その代わり本編にはなかった要素が多く詰め込まれている。例えば「ジプシーの力」における超常現象などは合理的解決を基本とする本編には絶対に見られなかったものだ。恐らく作者の方も本編との差別化を図るために意識してやっているものと思われる。
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posted at 16:57:46
井上ほのか「怪盗デニスの眠れない夜」読了。「少年探偵セディ・エロル」シリーズに登場する怪盗S79号ことデニスが主人公を務める番外編的な短編集。本編がロジカルな本格ミステリであるのに対して、本作はデニスのキャラを活かした出色のサスペンス小説に仕上がっている。
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posted at 16:57:26
2012年03月05日(月)
勿論メインはアリバイトリックの方なのだろうが、この背景の作り込みがあってこそ初めてそれに説得力が出てくる。そういう意味では本作は前作以上に完成度が高いと言えるだろう。惜しむらくは第二の殺人の粗さだが、それを差し引いても充分良作と言っていい出来だと思う。
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posted at 19:06:49
莫大な遺産を相続した若き令嬢と婚約したばかりの考古学者が自宅の書斎で何者かに射殺された。だが、事件の関係者たちには鉄壁のアリバイがあった――。構図の反転が印象的なアリバイトリックもさることながら、個人的には事件が起こった背景の作り込みに最も感心した。
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posted at 19:06:25
井上ほのか「ニューヨーク摩天楼殺人事件」読了。怪盗S79号ことデニスに恨みを持つニューヨークのギャングが眉子を誘拐した。責任を感じたデニスは眉子を助けるため暗黒街のボスに取り引きを持ちかける。汚れ仕事を覚悟したデニスだったが、意外にもボスが依頼してきたのは殺人事件の謎解きだった。
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posted at 19:05:49
2012年03月03日(土)
その一方で、次第に現実が虚構に取り込まれていく様は定番ではあるが、幻想的な美しさを覚える。このどうしようもなく変態なのに美しいという不思議な読後感こそ、飛鳥部勝則ならではのものだろう。
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posted at 20:36:52
「白い猫」と並ぶ、飛鳥部変態ホラーの傑作。美少女の放尿と罵倒が三度の飯より大好きな人(!)は迷わず手に取るべき作品である。「砂漠の薔薇」の終盤を彷彿とさせる罵倒もさることながら、何よりこのどこか清々しささえ感じる放尿シーンの変態的描写が素晴らしい。
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posted at 20:36:16
飛鳥部勝則「あなたの下僕」読了。寂れた寺の境内で行われた試写会で流された映画は貴夫に知佐絵との記憶を思い起こさせた。スクリーンの中のセーラー服を着た知佐絵似の盲目の少女はミイラ男にこう語りかける。「そうよ、あなたは私のためなら何でもしてくれる。だって、あなたは私の奴隷なのだから」
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posted at 20:35:29
本作の成功はこの毒殺トリックを思い付いた段階で約束されたといってもいいだろう。作中の探偵役に「たとえトリックがわかっても、この犯罪は絶対に立証できないんだ」とまで言わしめたこのトリックは人間心理の盲点を突くものであると同時にある意味少女小説であることを最大限に活かしたとも言える。
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posted at 13:05:24
井上ほのか「愛してるっていわせたい」読了。真名子と克樹のアイドル探偵コンビの今度の依頼人は日舞の名門桜童子流宗家のお嬢様。何でも桜童子流次代の家元に決まっていた彼女の許婚がパーティー会場で乾杯の音頭をとった直後に謎の死を遂げたという。彼女は許婚は毒殺されたのだと主張するが――。
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posted at 13:04:46
2012年03月02日(金)
しかもそれが絶妙なミスディレクションになっており、仮にトリックの一部が分かったとしても事件の全体像まで見抜くことはちょっと難しいのではないだろうか。本作は少女小説とコード型本格を上手く両立させた佳品である。
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posted at 18:27:38
本作は少年探偵セディ・エロルシリーズの第2弾であると同時に作者が初めて化けた記念すべき作品である。本格ミステリとしての雰囲気作りもさることながら、最も感心したのはその構成だ。真相に至り初めて作者がプロローグの段階から読者を騙すために入念に仕掛けていたことが分かり大いに唸らされた。
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posted at 18:27:03
井上ほのか「スコットランド古城殺人事件」読了。『ローランドの奥方』と呼ばれる人魚伝説が伝わるグランウィル城の当主が謎の死を遂げたのを皮切りに次々と城の住人が殺されていく。暴徒と化した村人たち。顔を潰された死体。城の奥の迷宮……果たして名探偵「セディ・エロル」はこの謎が解けるのか?
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posted at 18:26:19