麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年05月31日(木)
どんでん返しに次ぐどんでん返しが印象的なサスペンスミステリ。最後まで見切ったと思わせて、そこから更に一捻り加えているのがいい。また過去の事件と現在の事件を対比させてみせる構成には面白さを感じる一方で、本筋と関係ない事件がそれに混じっている点が何とも勿体ない。
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posted at 17:56:28
斎籐澪「卒塔婆小町殺人事件」読了。十年前、自分を暴行した男を刺し殺し、行方が分からなくなっていたかつての恋人・律子。その姿をある日佐渡でやった「卒塔婆小町」の模様を映したテレビの中に見付けて梅津は愕然とする。すぐさま佐渡に飛んだ梅津だが、その梅津は間もなく何者かに殺されてしまう。
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posted at 17:55:28
2012年05月30日(水)
これだけ錯綜したプロットを無駄なくコンパクトに纏めた作者の技量には脱帽と言うしかない。尚作者は本作で初めて本格推理小説に取り組んだとのことだがユーモアを交えつつ細部まで考え抜かれたその内容からは余裕すら感じられる。本作は秀逸なプロットとロジックが同時に堪能できる贅沢な作品である。
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傑作。二つの死に見られる不可解な偽装工作。登場人物たちの様々な思惑。前代未聞のギャンブルと共に浮かび上がる、周到に練られた殺人計画。そして、探偵役の前に立ち塞がる最後の壁を唯一無二のロジックで打ち破ったと思いきや、待ち受けていた作者の一撃に足下を掬われる――。
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司城志郎「そして犯人もいなくなった」読了。事の始まりは死人が歩いた事件だった。ナイフで心臓を刺され即死したはずの男がその後血痕を残しながら十四メートルも歩いたとしか思えない状況で発見されたのだ。それから間もなくして不可解な墜落死と首なし殺人が相次いで発生。一体何が起こってるのか?
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2012年05月29日(火)
「夢の中の失楽」というタイトルで作者が何をやりたかったのかは一目瞭然。とはいえ、現実と虚構が入り乱れるその構成をジュブナイル作品でやってしまったことがまず凄い。加えて単なるオマージュではなく、ちゃんとそれをやる必然性を持たせている点は○。
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はやみねかおる「機巧館のかぞえ唄」読了。機巧館で開かれたパーティーで、推理作家・平井龍太郎が新作『夢の中の失楽』の構想を明らかにした直後に密室から消失。そして龍太郎が消える前に口にしたかぞえ唄通りに次々と事件が起こる。現実と虚構が入り乱れるこの事件に名探偵・夢水清志郎はどう挑む?
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posted at 19:35:53
もっとも後者に関してはジュブナイル作品故にあまり小難しいものを書いても仕方がないという判断があったのかもしれないが、個人的にはもっと作者ならではのオリジナリティーある仕掛けや見せ方をやってほしかった。
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posted at 19:35:22
謎の盛り上げ方やキャラの描き方は悪くないものの、いかんせん解決のほとんどがどこかで見たものか、もしくは手掛かりの出し方が素直過ぎて、すぐに真相が分かってしまうのが難。
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はやみねかおる「魔女の隠れ里」読了。村おこしとして企画された推理ゲームのアドバイザーとして桜が咲き乱れる笙野之里にやって来た名探偵・夢水清志郎一向。だが、目的地に着いた途端、「魔女」と名乗る人物からのメッセージが流れると共に、予定にない推理ゲームが始まって――。
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2012年05月28日(月)
シリーズ一作目の「喪服を着た悪魔」に比べるとさすがにネタのボリュームという点では劣るものの、その代わり本作は様々な場面でミスディレクションに力が入れられている。故に推理が二転三転する謎解き部分は実にスリリングであり、そこだけでいえば「喪服を着た悪魔」よりも秀逸だと思う。
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posted at 23:29:15
風見潤「古都に棲む鬼女」読了。歌舞伎「紅葉狩」終演直後に鬼女というダイイング・メッセージを残して死んだ老人が全ての始まりだった。――長野県・戸隠山の麓にある鬼無里という歌舞伎に纏わる地で次々と起こる連続殺人に、少年探偵・羽塚たかしが挑む。
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posted at 23:28:43
ミステリとしては特に犯人を絞り込むロジック部分がよくできている。また動機に関して作者は「推理ではわからないと思う」と断りを入れているが、それでも伏線をきちんと張ってフォローを入れているあたりは充分評価できるだろう。本作はジュブナイル本格の良作である。
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posted at 23:27:25
読者への挑戦状まで用意されたガチガチの本格推理長編。二百頁強という短い頁数の中に、これでもかとばかりにふんだんにネタが詰め込まれているため、終盤はやや書き急いでいる感が否めないものの、本作に賭ける作者の気合いの入れようが窺えて好感が持てる。
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posted at 23:26:59
風見潤「喪服を着た悪魔」読了。平家の落人伝説を始め、様々な伝説が残る黒須島で島の網元・湯田家の遺産相続絡みと思われる三つの殺人事件が発生。一人目は池で溺死し二人目は絞殺後ペンキを顔に塗りたくられ三人目は不可能状況下の洞窟で刺殺されて――果たしてぼくは犯人を突き止められるだろうか。
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posted at 23:26:29
2012年05月24日(木)
事件の構図は何となく読めるものの、重要なのは着地点よりもむしろ過程の方にある。作者がやろうとしたのは事件を通して「ジゼル」を描くことであり、故に黒猫の講義を織り交ぜながら決まった着地点に向かって突き進むその物語はただひたすらに美しい。
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posted at 21:25:46
前作の連作短編形式から一転、一つの事件を追う長編となった本作。前作同様、ポウの作品をモチーフの一つとして扱ってはいるが、今回のメインはバレエ「ジゼル」の方であり、それに現在と過去の二度にわたり起きた事件が絡んでいく。
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posted at 21:25:12
森晶麿「黒猫の接吻あるいは最終講義」読了。五年前、バレエ「ジゼル」の上演中にバレリーナが、小道具から本物にすり替えられていた剣を体に突き刺し、死亡する悲劇が起きた。そして五年の時を経た今、同じ舞台で「ジゼル」を鑑賞していた付き人と黒猫の目の前で、ダンサーが倒れるハプニングが――。
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posted at 21:24:24
2012年05月23日(水)
但し最後の短編「情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群」は笑いの中に皮肉と社会的テーマを織り混ぜた内容であり、ただのユーモア小説として終わらせなかったのが何ともこの作者らしい。本作は作家・深水黎一郎の意外な一面が楽しめる短編集である。
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posted at 21:04:43
例えば最初の短編「漢は黙って勘違い」は「鼻かみたい」と「裸見たい」を聞き違えるみたいなネタで最後まで突っ走ったような話で、これをくだらないと取るか、全力でくだらないことをやっている姿勢に感心するかで評価は大きく分かれると思う。
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posted at 21:04:18
深水黎一郎「言霊たちの夜」読了。言葉をテーマにした非ミステリ短編集……というとやたらと高尚な内容に思えるが、さに非ず。早い話、東野圭吾でいうところの「○笑小説」みたいなノリのユーモア小説であり、従来の深水作品を知っている人間が読むと、作者に一体何があったのかと仰天するに違いない。
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posted at 21:03:35
ある作家が書いた小説に出てくる登場人物と同じ名前の人物が次々と死んでいくという謎は魅力的な反面、肝心の解決が意外性に乏しく悪い意味で落差を感じてしまう。またそれまで話の構成が丁寧だったにも拘わらず終盤になると少々駆け足なのも×。できればきちんと謎に見合った真相を見せてほしかった。
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posted at 16:42:19
佐野洋「同名異人の四人が死んだ」読了。作家・名原信一郎の書いた中編小説「囁く達磨」の登場人物と同じ名前の男が変死した。最初は単なる偶然の一致と思われた事件も同名の変死者が四人にも及ぶと犯罪性を帯びてくる。四人の変死者と名原を繋ぐ接点が見出だせないまま、事件は謎を深めていく――。
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posted at 16:40:41
2012年05月22日(火)
また一部のこの時代だからこそ可能なトリックも地味にポイント高し。唯一の欠点はイマイチ事件に統一性がないことだが、これだけのネタを纏めあげた点は充分賞賛に値する。積木鏡介や飛鳥部勝則が好きな人には是非ともお勧めしたい作品である。
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posted at 21:32:50
大作にして怪作。これでもかとばかりに詰め込まれた謎と悪魔的真相の連続には頭がクラクラすること請け合いで、この衝撃度は個人的には「暗闇坂の人喰いの木」に匹敵する。そして、この悪魔的真相を成立させているのは作中で幾度となく披露される蘊蓄であり、この配分も実に申し分ない。
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posted at 21:32:22
相原大輔「キルケーの毒草」読了。大正時代を舞台に続発する神隠し。一方毒薬のコレクションとギロチンが所蔵された館では主人の娘が大量の血液を残して姿を消し、続いて娘の婚約者が毒殺される。しまいには装飾された首なし死体、不可能状況下で出現した生首の謎まで飛び出し事態は混迷を極めていく。
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posted at 21:31:59