麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年05月14日(月)
しかしながら本作にはそういったキワモノ作品より、サスペンス色の強い作品の方が多く収録されており、中でも子供の轢き逃げ事件を隠蔽しようとする犯人とそれを追う新聞記者を描いた「水の音」は意外性が巧く決まった秀作。なお収録作の一つ「闇の中の柩」は前述の「蘇った脳髄」にも収録されている。
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posted at 19:54:36
とはいえ、全くないというわけではなく、例えば浮気相手を殺した男がその死体を完全に消し去ろうとする「溶解」のオチはあんまり過ぎて思わず笑ってしまったし、「透明願望」での透明人間(!)が協力者である主人公に女を抱きたいと要求してくる展開は、作者のキワモノ作品ではよくあるものだ。
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posted at 19:54:03
草野唯雄「未知なる犯罪領域」読了。「恐怖ミステリの第一人者による短編傑作選」という帯に惹かれて読んでみた本作。草野唯雄のホラーミステリというと高確率でキワモノなのだが(爆)結論からいうと本作は「蘇った脳髄」を読んだ時のような「とんでもないものを読まされた」感はあまりなかった。
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posted at 19:53:19
2012年05月13日(日)
とはいえ、それはあくまで申し訳程度であり、肝心の伏線が張っていない(連続殺人の死因など)、アレとアレに全く繋がりがない、無駄な会話の水増し、全体的に説明不足など欠点を挙げたらキリがない。メインの設定だけ考えて終わり、ではなく、きちんと細部まで作り込んでほしかった。
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posted at 21:43:57
一言でいえば、粗い。死者の動機を自分好みに作成する「動機演出家」というメインの設定が殆ど活かされていないという点は先日読んだ「名探偵は推理しない」に通じるものがあるが、伏線が全くなかった「名探偵~」に比べれば、申し訳程度に伏線が張ってある本作の方が幾分かマシと言えるだろう。
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posted at 21:43:16
飯山満「動機演出家 雪織甘楽のヒトゴロスイッチ」読了。朱比市を騒がせている若い女を狙ったバラバラ連続殺人事件。被害者はいずれも顔をズタズタにされ、腕を切断されていた。ひょんなことから、その八人目の被害者の遺留品を手に入れた甘楽と鴻理の二人はそれを手掛かりに犯人の動機を調べ始める。
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2012年05月11日(金)
むしろ同じ雪の密室を扱った天城一「冬の時代の犯罪」の方がネタだけでいえば独創的。その他印象に残ったのは酒井嘉七「京鹿子娘道成寺」と霜月信二郎「密室のショパン」で前者は歌舞伎と某有名古典ミステリの融合が面白く、後者は密室だけに留まらず様々なトリックを有機的に組み合わせているのが○。
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鮎川哲也編「密室探求 第二集」読了。梶龍雄の単行本未収録短編「白鳥の秘密」を含む十二編が収録された密室アンソロジー。目当ての「白鳥の秘密」は足跡なき雪の密室を扱っており、伏線の張り方や構成は収録作中最も優れている反面、肝心のネタがある設定を出した時点ですぐに割れてしまうのが難。
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posted at 18:07:06
2012年05月10日(木)
犯人によってばら蒔かれた偽の手掛かりの中から探偵役が真相を掴み取っていく過程は実にスリリングで、その道筋となる伏線の張り方も巧いの一言に尽きる。第八章が終わったタイミングで全ての手掛かりが出揃うので、我こそはと思う人は是非とも挑戦してもらいたい、フーダニット物の秀作である。
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posted at 22:37:33
終盤の謎解きでは探偵役が刀城言耶のように推理を二転三転させた後、ある意外な事実から真犯人を指摘する。そのネタだけを取り出せば本格ミステリの定番とも言えるものだが、本作はそれを隠し通すためのミスディレクションがとにかく秀逸。
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posted at 22:36:41
物語開始早々、探偵役が受けるのは銃弾の洗礼……「奥秩父狐火殺人事件」や「殺人への勧誘」など梶作品には時たま何者かに狙撃される場面が出てくるが、本作もまたその一つ。主人公の設定からも予想がつくようにハードボイルドめいた展開で進んでいくものの、本作はれっきとしたパズラー作品である。
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posted at 22:35:48
梶龍雄「赤い靴少女殺人事件」読了。旧家・貫端家の長男、敏一に身辺護衛を依頼された元警視庁公安課の刑事で探偵の速水。敏一のいる軽井沢の別荘に向かう途中、速水はユキと名乗る少女と知り合うが、彼女は何者かから命を狙われていた。やがて別荘に到着するも時既に遅く、敏一は無惨な刺殺体に……。
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posted at 22:34:08
2012年05月09日(水)
だが、そういったお近づきになりたくないキャラが巻き起こす騒動は時として黒い笑いを生み出す。そんな黒い笑いと記憶に纏わる物語の共演は、小林泰三作品ではもはや定番とも言えるテーマだが、本作ではそれに加えて一部ミステリ的意外性が用意されており、グロ分が足りない以外は概ね満足度は高い。
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posted at 22:03:48
「セピア色の凄惨」と似た構成の連作ホラー短編集。「セピア色の凄惨」を読んだ時も思ったが小林泰三は○チガイキャラの描写が実に上手い。本作でいえば完璧な子供が欲しいがために何度も中絶を繰り返す女や公平という名の理不尽を押し付けてくる教師などは絶対にお近づきになりたくないタイプだろう。
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posted at 22:02:52
小林泰三「惨劇アルバム」読了。美咲が古びたアルバムを開くと、そこには幸せに満ちた光景があるはずだった。ところが一枚の写真から蘇ってきたのは、自分が幼い頃に死んだという有り得ない記憶だった――。自分がこれまで頑なに信じていた「完璧に幸せな人生」は全て幻だったのか?
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posted at 22:01:52
表題作も悪い作品とは言わないが、「山荘の絞刑吏」に比べると、どうしても見劣りしてしまう。あくまでメインは「山荘の絞刑吏」の方であると言っても決して過言ではないと思う。
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posted at 18:16:06
だが、その直後に死んだはずの客を目撃した人間が現れて――という内容のこの中編は、犯人特定の伏線こそあからさまだが、死者の復活や絞首台に吊るされた死体など不可解な事件を次々と起こしつつ二転三転するプロットが実に秀逸。大きなサプライズはないが、手堅い出来の良作と言っていいだろう。
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posted at 17:58:05
島田一男「赤い影の女」読了。本作には表題作と「山荘の絞刑吏」の二編が収録されているが、注目すべきは前者ではなく、むしろ後者の方である。山荘に籠り間もなく迎える時効を待つ一人の男。そんな時、山荘の宿泊客の中に警官が紛れていることを知った男は、最も疑わしい客の一人を手にかけてしまう。
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posted at 17:57:32
2012年05月08日(火)
前半こそ捜査一課十一係の紅一点・塔子の可愛さを楽しむ作品だったが(爆)、連続殺人の犯人を追い詰める際のロジックは悪くない。但し、爆破事件との繋がりに関しては作り込みが甘く、犯人の語りで済ませてしまっている点で「ヴェサリウスの柩」と同じ欠点を抱えてしまっている。
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posted at 22:20:22
以前、殊能将之氏が「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」に対する感想で「平行して描かれる複数の事件が一つに繋がるのが本格ミステリ」と述べていたことがあったが、そういう意味では本作は本格ミステリ要素がある作品と言うことができるだろう。
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posted at 22:19:30
麻見和史「水晶の鼓動 警視庁捜査一課十一係」読了。殺人現場となった部屋を毎回ラッカースプレーによって真っ赤に染める、奇妙な連続殺人。それと平行して都内各所で発生する、連続爆破事件。二つの凶悪な事件に新人刑事・如月塔子が所属する警視庁捜査一課十一係の面々はどう挑む?
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posted at 22:18:47
2012年05月07日(月)
しかしながら、ミステリ風味のショートショートと考えるなら「ドラキュラ殺人事件」なんかは嫌いではない。また「ゴカイと五階」の逆説めいた発想も悪くはないと思う。とはいえ、そういった作品は全体のほんの一部にしか過ぎないため、作者の余程のファンでない限り、本作はお勧めできないだろう。
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posted at 21:18:56
というのも本作の収録作の大半がダイイング・メッセージ物なのだが、その殆どが言葉遊びや雑学の域を出ておらず一編一編読み終わる度に脱力すること必至である。たまに密室物や猟奇殺人物があっても唸らされるものは皆無に等しく単なるこじつけだったりアンフェアだったりするのが非常にいただけない。
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posted at 21:18:35
二階堂黎人「増加博士の事件簿」読了。「増加博士と目減卿」にも登場した巨漢の名探偵・増加博士が活躍する27編の掌編が収録された作品集。増加博士がズシン、ズシンと地響きを立てながら登場する度に京極夏彦の「どすこい」をつい思い出してしまうが、それはあながち間違っていない。
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posted at 21:17:42
2012年05月05日(土)
だがその一方で、短くまとめることを意識し過ぎたのか、これから話が面白くなるというところで終わってしまったような、悪い意味でこぢんまりとしてしまった印象を受ける。悪い作品ではないが、この作者ならもっと巧いことできたのではないかという気がする。
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posted at 23:57:06
依井貴裕「胡桃の日」読了。姉の家に遊びに行った奈都美が何気なく取った電話は、姉の子供・祐輝を誘拐したと告げる誘拐犯からのものだった――。依井貴裕が手掛ける誘拐物。短めの短編ながらも丁寧に張り巡らされた伏線が心地いい。
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posted at 23:56:06
2012年05月03日(木)
そして、トドメは犯人の正体。意外といえば意外だけど、強引かつ伏線ゼロ。というか何故警察がすぐにそのことに気付かなかったのか疑問が尽きない。とりあえず本作は「彼は残業だったので」が笑って許せる人にこそお勧めしたい作品である。
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posted at 19:06:51
B級を超えたC級本格という話を聞いて読んでみた本作だが、成る程、確かにこれは凄い。「ニャーン!ニャーン!ニャーン!――ズドン!」という脱力描写に勝るとも劣らない脱力の密室トリック、「……モロ……モロ……」というダイイング・メッセージのあんまり過ぎる真相には開いた口が塞がらない。
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posted at 19:06:16
左右田謙「狂人館の惨劇」読了。狂った建築家によって紀伊半島の海沿いに建てられた古色蒼然たる館――通称「狂人館」でクリスマス・イブの夜、招待客の一人である若きプロ野球選手が密室内で銃殺された。それを皮切りに次々と起きる不可解な事件の数々。しまいには霊媒実験中に当主が蒸発してしまう。
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posted at 19:05:32
事件が起きてからの展開は実に意表を突くものであり、一見「私」の計画が失敗したようにすら思えるが、それも全て計算通りだったことがラストで分かり唖然とさせられる。正直この荒唐無稽な計画が可能かどうかは不明だが、最後まで犯人の正体を伏せきった作者の技巧には脱帽と言うしかない秀作である。
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posted at 19:04:00
冒頭の、完全犯罪を企む「私」の独白。それから間もなく三人の若い女が登場し、宏助を殺害する動機が語られた後、事件が起きる。果たして「私」の正体は誰なのか?――本作が優れているのは何と言ってもここまで犯人の条件を限定させた上で強烈なサプライズを生み出すことに成功している点だろう。
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posted at 19:03:25
青柳友子「完全犯罪の女」読了。決心しなさい。いま、お金を自分のものにしなさい。あの男を、殺すのよ! ――鏡に向かいながら、私は会社社長・西条宏助の殺害を決意した。けれど、私が罪に問われることがあってはならない。私は、完璧に犯行をなしとげなければならない……。
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posted at 19:03:02