麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年03月22日(金)
シリーズ三作目の今回、作者が持ってきた題材は「白い四角形」。何も描かれていないからこその逆転の発想で恐怖を喚起させようとする試みは○。また影がようやく美術調律者としての能力を発揮し出したのもさることながら、本筋の話も徐々に核心に迫り始めた感がある。
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posted at 23:53:47
倉阪鬼一郎「白い封印 美術調律者・影」読了。最凶の悪霊と化した異形の天才芸術家の父・黒形上赤四郎との二度の対決を経て、遂に幼少期の忌まわしい事件を思い出してしまった影。そんな中「白い四角形」を使って世界に呪いをかける黒形上の新たな崇拝者が現れて――。
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posted at 23:53:12
その他、大学教授が密室で毒殺される「『黒い森』の宿」は某古典文学をブラックにしたような味わいは悪くないがミステリとしては微妙。また木曜日になるとかかってくる奇妙な電話と密室の射殺事件を扱った「木曜日の女」もバレバレなトリックはアレだが、一応ミスリードを入れた作者の努力は買いたい。
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posted at 17:42:48
表題作を含む四編を収録した連作ミステリ。ベストは表題作で傑作とまではいかないまでもこの舞台ならではの構図と些細な気付きからのひっくり返しは好印象。次点は魔女伝説がある村での溺死事件に端を発する「ライン河の二重教会」で中盤の展開から真相は読めてしまうものの前半と後半のギャップが○。
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posted at 17:41:53
高柳芳夫「ベルリンの柩」読了。西ベルリンの日本総領事館に勤める草葉は世界医学会議に出席する望月の接待中、酔っ払った一人の男を助けた。男はそのお礼に伯父から受け継いだという宝石の一部を渡す。それから間もなく男が謎の変死を遂げ、同時期に東ドイツから来た世界医学会議の出席者が失踪する。
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posted at 17:41:17
2013年03月21日(木)
完璧すぎる密室に対して探偵が導き出した真相は幾つか作例があるものの、このオチによって完全にバカミスと化している。一方「忘却の侵略」は姿の見えない侵略者に襲われるSF物だが、侵略者の正体に迫るロジック展開は正に本格ミステリのそれ。個人的には本格ミステリとしても評価したい一編である。
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posted at 21:48:46
とはいえ全く楽しめなかったかと言えばそんなことはなく、少なくとも表題作と「忘却の侵略」の二編はミステリ読みである自分の琴線に引っ掛かった。……いや、表題作に関してはバカミス読み(!)と言った方がいいだろうか。
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posted at 21:48:11
小林泰三「見張らしのいい密室」読了。既刊「目を擦る女」の収録作三編に単行本未収録の三編を加えた短編集。タイトルだけ見るといかにもミステリっぽいが、基本的にはハードSF寄りの短編集であり、正直言えばSFにほとんど耐性がない自分としてはかなりつらかった(汗)。
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posted at 21:46:48
2013年03月20日(水)
特に「冷えた孤独」のオチは完全に予想外でびっくりした。本格ミステリとしては「透明な雪」が秀逸で、盲目の人妻を殺害した間男探しという趣向がそのまま真相のミスディレクションになっている点が○。本作は不倫作家(?)笹沢左保の本領が遺憾なく発揮された作品集である。
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posted at 17:29:59
また寝たきりの老社長に隠れて不倫する若い後妻とその先妻の弟が行き着く破局を描いた「炎の命乞い」は○○の構図(伏せる意味がない気もするが)でぞっとさせてくれる。その一方で不倫という題材はイヤミスとの親和性も高く、前述した「死の痣」と「冷えた孤独」はその典型と言っていいだろう。
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posted at 17:29:24
全体的にサスペンスタッチの話が多いが、そんな中にもミステリ的テーマが随所に盛り込まれているのが面白い。例えば懸賞小説の発表が悲劇に繋がる「死の痣」はある意味「見えない人」物と言えなくはないだろう。
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posted at 17:29:04
笹沢左保「不倫」読了。タイトルにあるように不倫を題材にした短編五編を収録したミステリ短編集。唯一「喪失の女」だけは非ミステリ作品だが、海辺の町を舞台に人妻とバイク青年の出会いと別れを描いただけの話であるにも拘わらず、じっくり読ませてしまうあたりに作者の小説家としての力量が分かる。
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posted at 17:28:39
尤もその擬態も本物と既に区別がつかない時点で融合と見なしてもいいかもしれない。そういう意味では本作は「ジークフリート」以上に作者の新たな可能性を見出だすことができる作品と言えるだろう。
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posted at 13:25:44
そして、この「人は見かけに寄らない」ということこそが本作の重要なテーマであり、それを作者はある対比を使って読者に痛烈に訴えかける。「ジークフリート」に比べると仕掛け自体はシンプルだが、その代わり今回擬態化したジャンルは戦争小説、恋愛小説、社会派小説、成長小説と実に多岐に及ぶ。
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posted at 13:25:10
作者久々の長編は「ジークフリートの剣」同様、一般小説に擬態化した本格ミステリであると同時に「ジークフリート」に登場した老婆のスピンオフ作品でもある。「ジークフリート」では謎めいた老婆だったが本作では打って代わってお茶目な印象で、つくづく人は見かけに寄らないことを痛感させられる。
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posted at 13:24:55
深水黎一郎「美人薄命」読了。独り暮らしの老人へ給食を配送するボランティアを始めた大学生の総司はその過程で片目の視力を失った老婆・内海カエと親しくなる。ある日、カエは総司に将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語って聞かせるが、その話には総司の運命を変える秘密が隠されていた。
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posted at 13:24:19
2013年03月19日(火)
その他、ふと立ち寄ったバーで知り合った〈幻の女〉を巡る「赤いお月さま」や、見知らぬ女性から届いた奇妙なラブレターに端を発する「ラブレター」も伏線の張り方が実に巧い。色々なタイプの短編が読めて、かつミステリとしてもやられたいという人には是非とも本作をお勧めしたい。
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posted at 18:09:21
にも拘わらずあえてそうせず、サブトリックの一つとして使ったところにもこの短編の凄さが垣間見ることができる。次点は人形の赤ん坊を本物と思い込んでいる女にベビーシッターとして雇われることになった「わたし」の恐怖譚「人形と暮らす女」でミステリとホラーが絶妙に融合した傑作である。
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posted at 18:08:44
そんな中からベストを選ぶなら表題作で、警察と犯人との息詰まる駆け引きと現代の魔女狩りとも言える展開が織り成すサスペンスストーリーがラストで本格ミステリへと反転する様が素晴らしい。また警察が犯人を罠にかけるべく考案した仕掛けも秀逸で、これだけでも短編が一本書けるのではないだろうか。
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posted at 18:08:25
全編ハズレなしの短編集。収録作はいずれもラブストーリー、誘拐、ハードボイルド、ホラー、サスペンス……とバラエティに富んでいるが、その一方で一編以外は本格ミステリとしても充分評価することができる。
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posted at 18:06:20
山崎洋子「三階の魔女」読了。マンションにある真琴の部屋に突如警察が入り込んできた。何と隣の部屋に侵入した男が主婦と赤子を人質にして、真琴に心中を要求していると言うのだ。憤然とする彼女をマンションの住人と警察は無理やり説き伏せようとするが……。表題作含む七編収録。
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posted at 18:05:54
2013年03月17日(日)
ぶっちゃけこの表題作が強烈過ぎて、残りの短編があまり印象に残らないが(爆)、子供視点の話やホラー風味の話などバラエティに富んだラインナップでそれなりに楽しませてくれる。とりあえずキワモノ好きには表題作を強くお勧めしたい。
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posted at 22:34:55
中には濡れ場を演じながら推理する(!)なんてシーンもあって度肝を抜かれるが、それ以上に強烈なのは結末の意外性である。犯人の正体もさることながら、まさかあんな所にそんなものが仕込んであるとは……。多分、こんなことを思い付くのは斎藤栄が水野泰治くらいのものだろう。正に怪作である。
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posted at 22:34:29
収録作のうち、唯一の中編である表題作は粗筋だけ見るとシリアスな内容のようだが、のっけから「式を挙げれば夫婦なんだから、新婚旅行の間中、キミはパンティをはいてはいけないよ」(原文ママ)なんて台詞が飛び出したりして陰惨な雰囲気をお色気シーンで見事に相殺してくれるのでご安心を(?)。
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posted at 22:34:08
斎藤栄「《悪の華》殺人事件」読了。新婚旅行で訪れた大阪のホテルで、新婦がバラバラ死体となって発見された。容疑者の一人として疑われた大学生の保は事件の背後にある誘拐殺人が関わっていることを知るが、その矢先に第二のバラバラ殺人が――。表題作含む全五編収録の中短編集。
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posted at 22:33:01
「最後の密室」は仰仰しい前置きに古典ミステリのネタバレを散々したあげく、ただの皮肉で終わってしまったのがアレ。これなら国内作家Oの某短編の方が捻りがきいていて面白いと思う。正直、巻末エッセイで作者が語っているミステリ論に対し、内容の方が伴っていないような気がしてならなかった。
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posted at 18:02:46
「心の影」はアリバイトリックはバレバレだが、タイトルにもなっている心の影の使い方が巧い。収録作の中で一番本格らしい短編と言える。「死の接点」は発端や展開は面白いのに真相が極めて普通過ぎるのが難。「孤独な殺人者」殺人計画自体は盲点を突いていて良いが、オチが微妙過ぎて反応に困る。
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posted at 18:02:22
本作は作者が再編成した自選短編集とのことだが、お世辞にも出来がいいとは言い難いのが残念。まず「沈黙協定」「気まぐれな死体」の二編はそれなりに意外性はあるものの、肝心な情報を最後まで伏せているのがいただけない。
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posted at 18:01:35
土屋隆夫「最後の密室」読了。身に覚えのない強姦の恐怖に戦く人妻。現場から消えた後、別の場所から発見された死体。鉄壁のアリバイを崩す心の影。毒入りミカンを食べて死んだ少女。悪い女に捕まった男が立てた殺人計画の顛末。そして作者が最後の密室に挑んでみせる表題作含む六編+エッセイを収録。
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posted at 18:01:09