麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年03月07日(木)
故に全てを読み切ったと思って油断していると思わぬ返り討ちを食らうことになる。言うなれば本作はこれまでの作品同様、定番の仕掛けをミスディレクションとして活かすことにより、もう一つの真相の隠蔽に成功した作品であり、前の二作品を気に入った読者なら間違いなく楽しめることだろう。
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posted at 22:12:22
本作は夫と妻、二人の視点で進行する構成となっているが、ある程度ミステリを読み慣れている人間であれば作者が何をやろうとしているかすぐに気が付くに違いない。そしてそれだけで終わっていれば本作はよくある仕掛けのミステリという評価で落ち着くところだが作者はそこに更に一工夫盛り込んでいる。
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posted at 22:11:15
深木章子「螺旋の底」読了。北フランスの村・ラボリにある要塞のような屋敷に嫁いできた女には一つの目的があった。それは、屋敷の中央を貫く螺旋階段の底にある、陰惨な過去と共に封印された地下室を暴くこと。一方、夫の方にも彼女を迎え入れたのにはある理由があった――。
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posted at 22:10:42
個人的なベストは「この気持ちのいい朝に」で状況設定を活かした真相が○。残りの二編「夕映えの虹」「灰色の英雄」は非ミステリながら読ませる作品で、特に「灰色の英雄」のやりきれなさは一読忘れ難い印象を残す。
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posted at 16:18:12
表題作はブラックユーモアに満ちたサスペンス。「左あれば右がある」は倒叙物で破綻に至る伏線はしっかり張ってあるが、そもそもの犯罪計画に無理があるような気がする(もしかしたら昔だったら可能なのかもしれないが)。
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笹沢左保「闇の埋葬」読了。結婚直後の男女が密室で無理心中した理由に迫る表題作を始め、未亡人の犯罪と破綻「左あれば右がある」、三度にわたる殺人予告に怯える令嬢「この気持ちのいい朝に」、蒸発したい男女の物語「夕映えの虹」、家出した少女のために苦心する少年「灰色の英雄」の五編収録。
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2013年03月06日(水)
本作が凄いのはそれらの要素が全て有機的に結び付いていることでありこれを成立させるのは並大抵の苦労ではなかっただろう。思えば前作の選評で島田荘司は「この作風では量産がきかないであろう」と心配しており事実それは的中したわけだがとりあえず待たされただけのことはある作品なのは間違いない。
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posted at 23:30:04
旧家で起こる連続殺人という王道のシチュエーションを扱いつつもそこに前作同様島田荘司が提唱する21世紀本格を取り入れただけでなく構図の反転と異形の論理からくる毒殺トリックを盛り込み、更に奇想の光景を現出させた後「殉教カテリナ車輪」を思わせる哀愁に満ちたエピローグで物語に幕を下ろす。
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posted at 23:29:37
傑作。第一回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作である前作「玻璃の家」から約四年ぶりの本作だが、こうして読み終わってみるとそれだけ時間がかかったのも仕方ないと思えるほど、厄介な代物であることがよく分かる。
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posted at 23:29:21
松本寛大「妖精の墓標」読了。信州の名家・新羽家で起こった連続怪死事件。末期癌患者の先代が毒殺されたのを皮切りに妖精が見えると主張する画家が崖から転落死し、更に当主の妻が謎の失踪を遂げる。この奇妙な事件に巻き込まれた桂木は米国ボストンに暮らす心理学者・トーマに事件の調査を依頼する。
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posted at 23:28:04
ベストは一人の日本人旅行者の急死に暗号やバラバラ事件が絡む「禁断の罠」で、何が起こっているか分からない五里霧中な状況から導き出される異形な真相が堪らない。次点は表題作で事件と史実の重なりが秀逸。犯人当てとして書かれた「バラはなぜ赤い」もタイトルが象徴するシンプルなロジックが○。
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香港を舞台にした連作ミステリ。「旨い、この味だ」と言いながら次々と料理をたいらげ、ついでに食べている料理に纏わる蘊蓄を披露する探偵の姿は嵯峨島昭の作品に登場する酒島警視と被るが、中国の歴史や文化が事件と密接に繋がる構成はさながら現代における鯨統一郎作品を思わせる。
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posted at 19:05:40
伴野朗「殺意の複合」読了。旧正月元旦の香港で日本総領事館に勤める男がアパートの自室で刺殺体となって発見された。机の上の毛沢東選集に残された血染めの手形は何を意味するのか? 表題作含む七つの事件に食通で大食漢の中国人探偵・陳展望が挑む。
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2013年03月05日(火)
その他、ある研究所での殺人事件を扱った「殺意の成立」もトリックそのものは面白いが、それを示す伏線がバレバレ過ぎるのが難。むしろこの短編はオチの方を評価するべきだろう。
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posted at 18:20:52
そんな中で唯一、口紅で残されたダイイング・メッセージを巡る「真紅の復讐」は比較的構成のバランスがとれており、伏線も違和感なく張られている。前述した「闇の中の仮面」や「冷たい手」はトリック自体は面白いが、実際にそれが成立するかどうかという点ではかなり疑問が残る。
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posted at 18:20:33
作者による自選短編集。収録作はサスペンス物である「毛皮と真珠」を除けば全て本格ミステリのカテゴリに入れることができるものの、そのほとんどが事件発生から解決までの過程が急だったり、手掛かりがあからさまだったりするのが残念。
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posted at 18:19:49
三好徹「殺人者の肖像」読了。高層ビルのエレベーターに爆弾を仕掛けたという脅迫電話を受け全てのエレベーターが止められ厳重な捜索が行われたその頃、展望台下のレストランで女優が殺害される。犯人はどうやって現場まで上ったのか? 高層ビルでの不可能犯罪を扱った「闇の中の仮面」含む七編収録。
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2013年03月04日(月)
ただしサスペンス物にしろ本格にしろ、ほとんど真相(もしくはオチ)が読めてしまうのが残念。唯一例外なのは殺人が絡む移動時間の謎を扱った「死体は待っていた」で、状況設定とトリックが違和感なく融合した良作と言っていいだろう。
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posted at 21:04:05
サスペンス物と本格が混在したノンシリーズ物の短編集。収録作にはエレキギターやオートバイといった作者の趣味が反映されているものがあり、特に表題作はそうした要素を巧く活かして、謎を解くきっかけにしている点が興味深い。
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posted at 21:02:57
大谷羊太郎「悲鳴」読了。バンドマンの芳夫が関わった四つの悲鳴。一つ目は人影の少ない海岸で彼の姿に驚いた若い女が上げたもの。二つ目は裏窓から覗いた不審者に怯えたホステスの悲鳴。三つ目は密室で見知らぬ男と遭遇した彼自身の悲鳴。そして、四つ目の悲鳴の後に殺人が……。表題作含む七編収録。
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posted at 21:02:15
2013年03月03日(日)
次点は同じく犯人当ての表題作で、綱渡りの犯行計画とそれを支える丁寧な伏線が好印象。その他、クローズドサークル状況下での犯人探しと探偵探しが楽しい「犯人は誰だ刑事は誰だ」や、トリックに幾つか作例があるものの、ノスタルジックな雰囲気が忘れ難い「旅の密室」も一読の価値ありな作品である。
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posted at 14:04:57
犯人当てを始め、密室、クローズドサークル、アリバイ、倒叙物まで取り揃えたバラエティ豊かな短編集。ベストは推理作家協会の新年会恒例の犯人当てとして書かれた「正直なうそつき」でタイトルに象徴されるロジックもさることながら、戦時中という設定を活かした仕掛けが素晴らしい。
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posted at 14:04:35
日下圭介「女怪盗が盗まれた」読了。最近マンションを騒がせていた女泥棒が捕まった。とりあえず朝までマンションの一室に閉じ込めておくことになったが、それからしばらくして女泥棒は密室から消失、別の場所から死体となって発見される。これは女泥棒の共犯者の仕業なのか? 表題作含む七編収録。
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posted at 14:04:17
2013年03月02日(土)
その他、作者のデビュー作でもある「伝言」は全て見抜いたと思わせといてからの引っくり返しが秀逸。「夜の乱れ」は捻りを利かせているのはいいが、それを支える伏線がないのが残念。「太陽が二つ」はミステリ部分よりも結末の対比が印象的。
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posted at 19:11:02
タイトルにもあるように偽装をテーマにしたノンシリーズ物の短編集。収録作のうちベストは「第三の被害者」で、作者らしいサスペンス性と謎解きのバランスが絶妙。作者がずっとアイディアを温めていた自信作と語るだけのことはある傑作だと思う。
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posted at 19:10:49
笹沢左保「偽装」読了。二つの死を繋ぐ奇妙な伝言「伝言」、偽装工作の結果が二転三転する「夜の乱れ」、動機なき殺人と脱走囚立て籠り事件の意外な関係「第三の被害者」、アリバイ工作に利用された女「太陽が二つ」、女子大生と関係を持った講師がアリバイの証言者になる「処女の価値」の五編収録。
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posted at 19:07:12
その他、謎の老人から人殺しの醍醐味(!)の話を聞かされる「殺しへの招待」、ショートショート「アリバイ」も皮肉なオチが実に印象的。ミステリよりも語り口の巧さでみせる短編集である。
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posted at 12:55:10
唯一ミステリ色が強いのは洋上ホテルにする計画のある客船ヨットで起こった密室殺人を扱った「オートレック号の秘密」で、伏線の弱さは感じるものの、二転三転する推理の果てに待つ盲点をついた真相と皮肉なオチが面白い。
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posted at 12:54:43
表題作及び「回春連盟」にはお馴染みの十津川警部が登場するものの、基本的にはノンシリーズ物の短編集といっていいだろう。加えて収録作のほとんどがミステリよりもブラックユーモアの色が強く、どちらかと言うと西村京太郎の作風というより赤川次郎の作風に近いかもしれない。
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posted at 12:51:46
西村京太郎「変身願望」読了。公園で凍死した浮浪者と火事で焼死した本屋の主人。だがその正体は大臣経験もある現役の代議士とテレビ司会者だった。有名人が全く別の人間として死んでいる二つの事件に十津川警部は共通するキナ臭さを感じ取る。それから間もなく第三の事件が――。表題作含む九編収録。
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posted at 12:50:52