麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年05月30日(木)
一応、終盤で意外性を出そうとはしているものの、それまでの展開を考えると正直あまり意味があるとは思えないのが難。どちらかと言えば二時間サスペンスを見るような気持ちで読んだ方が楽しめるかもしれない。
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posted at 18:31:38
まず最初に断っておくと、犯人が毎回死体に装飾を施す理由に関しては作中で警部が語るように犯人の性癖みたいなものなので特に考えなくてもいい(爆)。ミステリ的な見所としては第三の殺人におけるアリバイトリックだが、気付きのポイントは悪くないのに端から読者に解かせる気がない構成なのが残念。
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posted at 18:31:18
池田雄一「京都大文字連続殺人」読了。東京銀座の大通りで若い女の全裸死体が発見されて一ヶ月後、今度は新宿で十二単を身に纏った女の死体が発見される。二人共4WD車で京都から運ばれ放置されたことから同一犯の仕業と警察は断定、やがて京都に住む一人の男が浮かび上がると共に第三の殺人が……。
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posted at 18:30:48
2013年05月28日(火)
一方、表題作の前日譚とも言える中編「はるかなり盗人の日々」は、ごちゃごちゃしていた表題作に比べるとスッキリした構成の犯人当てで、さりげない伏線の巧さに見るべきところがある。とはいえミステリ部分よりもどちらかと言えば「なつかしの日々」に想いを馳せる主人公の姿が印象に残る作品である。
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posted at 18:56:30
作者お馴染みのテレビ業界黎明期を舞台にしたミステリ。短めの長編である表題作は個々の事件だけ取り出してみれば大した出来ではないものの、全体の構図としてはいかにもテレビ的でなかなか面白い。またラストに明かされる趣向は作者の作品を読み慣れていると分かってしまうが、お約束の安心感がある。
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posted at 18:54:58
辻真先「なつかしの殺人の日々」読了。テレビドラマがまだ生放送しかなかった時代。人気サスペンスドラマ「黒のエチュード」の準主演女優が変死したのを皮切りに次々とトラブルが続発する表題作の他、ドラマの生放送中に小道具のクローゼットの中から死体が発見される「はるかなり盗人の日々」を収録。
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posted at 18:54:37
2013年05月27日(月)
これが完全に諸刃の剣になってしまっており、恐らくここから事件の全貌に気付いてしまう人も多いのではないだろうか(尤もこれに関しては自分が似た試みの作品を知っていたからというのもあるのかもしれないが)。
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posted at 17:42:13
アンフェアな記述にならないように気を遣っている点は好感が持てる反面、昨今のミステリを読み慣れていると驚きどころがほとんどない作品。丁寧を通り越して些かくどさすら感じる事件の検証はある定番の構図のミスディレクションなのはいいとして、問題はもう一つのミスディレクションの方である。
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posted at 17:41:47
井沢元彦「陰画の構図」読了。三人の男の許に美貌の人気女優・倉本亜紀子から自殺を予告する電話があった翌日、ガスが充満した密室状態の部屋で彼女が死んでいるのが発見された。警察が自殺と見なす中、殺人の可能性を疑う亜紀子の元恋人で弁護士の立花透は友人の津村健司と共に事件の解明に乗り出す。
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posted at 17:40:46
2013年05月22日(水)
ミステリ部分はあくまで物語の苦さを際立たせる演出の一つに過ぎず、それと平行して主人公が映画という煌びやかな虚構を強調すればするほど、残酷な現実が浮き彫りになっていく。本作は過ぎ去った青春の余韻が忘れ難い作品である。
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posted at 18:16:19
戦後直後を舞台にした、梶龍雄作品を彷彿とさせる青春ミステリ。ある程度の年齢を重ねた読者であれば、過去と現在が交錯するその構成から、否応なく過ぎ去った青春に想いを馳せることだろう。ミステリとしてみると正直温さは否めないが、それは本作のメインではない。
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posted at 18:15:52
辻真先「くらやみの天使たち」読了。終戦直後、映画に狂っていた中学生の私は授業をサボって潜り込んだ映画館で粧子と出会い生まれて初めての恋に落ちた。それ以降、私は映画と恋に充実した日々を送っていたが、そんなある日、密室状況の映画館のトイレでうるさ型の福宮先生が刺殺される事件が起こる。
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posted at 18:15:35
2013年05月21日(火)
ミステリとしては逆転の発想とも言うべきトリックと見立ての裏に隠された意図が秀逸だが、それ以上に南条圭という探偵の特性を活かしている点が○。また歴史の新解釈の方も説得力があり、特にエピローグで披露される説は宮澤賢治を絡めた効果も相俟って何とも言えないロマンを感じさせてくれる。
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posted at 18:18:10
首切り見立て殺人に歴史の新解釈を絡めた作者渾身の一作。この手の作品は大抵どちらか一方に比重が偏ってしまうことが多いのだが、本作に関してはどちらにも力が入れられているばかりでなく、有機的に繋がっているのが好印象。
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posted at 18:17:08
井沢元彦「義経はここにいる」読了。佐倉財閥の後継者・森川義行が「ヨシツネに殺される」という謎の電話を残して二日後、パーティーに送り付けられた酒樽の中から義行の生首が発見される。果たしてそれは源義経の悲劇の見立てなのか? 奇怪な殺人事件の謎と平泉金色堂の秘密に名探偵・南条圭が挑む。
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posted at 18:16:13
2013年05月20日(月)
とはいえミステリとしてはよく練られており、運良く(悪く?)作者の狙いに気付かなければ、最後でアッと驚くに違いない。本作は津村秀介「北の旅 殺意の雫石」のように、トラベルミステリであることを逆手にとった仕掛けが面白い、本格ミステリの良作である。
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posted at 18:21:33
だがその一方で、作中にある手掛かりが出てきた時点で人によってはミスディレクションに引っ掛かる前に真相に気付いてしまう可能性があるのが難。これに関しては作者のミスというより事件の性質上出さざるを得ないものであり、それを考えると痛し痒しといったところだろう。
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posted at 18:20:59
本作は三部構成となっており、第一部では被害者が殺されるまでの旅行の過程が、第二部では沙織と雄介の捜査行が、第三部では名探偵による最後の謎解きが描かれる。それは一見トラベルミステリではよくある構成のように思えるが、実はこれこそが大胆なミスディレクションになっているのが秀逸。
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posted at 18:20:30
井沢元彦「殺人ドライブ・ロード」読了。不動産業で財を成した大沢円次郎の長女・良江が夫・英夫との第二のハネムーン中に殺害された。犯人は良江の死体を車に積んだまま事故死した英夫の元愛人と見られたが良江の妹・沙織は英夫に疑いを持ち、大学の同級生である雄介と共に英夫のアリバイ崩しに挑む。
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posted at 18:19:37
2013年05月19日(日)
この最終話に関してはあまり多くは語らないが、これまでのエピソードの積み重ねがそのまま強烈なミスディレクションとなり、盲点とも言える真相を成立させているのが素晴らしい。本作は短編らしい切れ味の良さと大掛かりな仕掛けを両立させた、作者の新たな代表作とも言うべき作品である。
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posted at 18:13:51
三編とも短編でここまでやるかというくらい凝りに凝ったプロットで読者を翻弄したあげく、驚愕と恐怖と皮肉に満ちた真相に叩き落としてくれる。そして、そこから更に物語は「神の灯火」と「そして誰もいなくなった」が融合したような怒濤の最終話へとなだれ込んでいく。
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posted at 18:13:30
特に夫の浮気を疑う新妻と何者かの気配に悩まされる女性販売員の話が交錯する「304号室の女」、民生委員を務める男が憧れの女性の婚約を破談させたことに端を発する「善意の第三者」、父親に虐待される少女の日記と記憶喪失の男の意外な関係が明らかになる「心の旅路」は正に折原一の真骨頂。
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posted at 18:12:49
傑作。本作は一つの集合住宅で起こった幼児虐待、DV、年金不正受給、振り込め詐欺といった極めて現代的な事件を住人たちの視点を通して描いていくという実にこの作者らしい手法が用いられた連作ミステリだが、圧巻なのはやはり収録作のクオリティの高さと連作形式を活かしたアッと驚く仕掛けだろう。
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posted at 18:12:14
折原一「グランドマンション」読了。「グランドマンション一番館」を巡ってアクの強い住人たちが次々と事件を引き起こす。騒音問題、住居侵入、ストーカー……そして、最後に待ち受ける「神の灯火」と「そして誰もいなくなった」を融合したような衝撃。ようこそ、不可解で愉快なグランドマンションへ。
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posted at 18:11:49
2013年05月17日(金)
しかもその暗号は実に画期的なものであり、受賞したのもそれが一番の理由なのだろうが、そこ以外にも真相を成立させるために様々な配慮が行き届いている。途中に出てくる簡単すぎるダイイング・メッセージから大したことはないだろうと高をくくっていると、確実に足下を掬われることになる傑作である。
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posted at 23:54:17
本作は所謂回想の殺人テーマを扱っているが、その過去の事件は既に決着がついており、一見どこにも矛盾がないように思える。だが作者はそこに、タイトルにもなっているバイリンガルに起因する、ある暗号を介することにより、それまでの事件の構図を見事にひっくり返してみせるのだ。
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posted at 23:50:53
高林さわ「バイリンガル」読了。アメリカの大都市で起きた母娘誘拐事件は多くの犠牲者を出したが、三歳になる娘のニーナだけは助けることができた。それから三十年後、日本で暮らす事件の関係者の一人・永島聡子の許にニーナと名乗る女が現れて――。第五回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
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posted at 23:49:28