麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年07月26日(金)
山形石雄「六花の勇者4」読了。「黒の徒花」と呼ばれる聖具が「七人目」に関する重大な手掛かりであると聞き、それが造られた神殿へと向かう六花の勇者たち。その行く手を、人間を兵器に作り替えた「屍兵」が立ちはだかるが、その中にアドレッドの故郷の人間も含まれていることが判明し――。
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posted at 18:19:35
ミステリ×ファンタジーシリーズの四作目。微妙なコンゲームを繰り広げた3巻よりは物語的に面白くなってはいるものの、肝心のミステリ要素は更に稀薄になっている。何となくこのままただのファンタジーシになってしまいそうな気がしなくもないが、とりあえず次回作でテコ入れがあることを期待したい。
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posted at 18:19:48
2013年07月27日(土)
土屋隆夫「ミレイの囚人」読了。人気推理作家の江葉章二は街で美しく成長したかつての教え子・白河ミレイと再会する。ミレイの誘いに応じ彼女の家を訪れた江葉だったが、一瞬の隙をつかれて足に鎖を繋がれ書斎に幽閉されてしまう。彼女の目的は何なのか。そして、それと平行して起きた殺人との関係は?
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posted at 17:25:16
トリック自体は単純な一発ネタだが、それを悟らせないように組み上げたプロットが秀逸。それに加えてミレイのキャラが何とも艶かしく描かれており、読みながら凄く飛鳥部勝則が書きそうなキャラだなと感じた(そういう意味では、飛鳥部の絵を表紙に起用した創元推理文庫版の判断は実に正しい)。
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posted at 17:25:31
飛鳥部っぽいといえば本作の構成もまたしかりだが、これについての詳しい言及はネタバレになるので各自で読んで確かめてほしいと思う。ただその一方で、最後に語られる動機が些か伏線不足なのと、ミレイのその後の扱いに不満を感じるが、それを差し引いても、個人的には偏愛したい作品である。
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posted at 17:26:00
2013年07月30日(火)
土屋隆夫「妻に捧げる犯罪」読了。交通事故で性的不能になったばかりか妻にも裏切られた男がかけた悪戯電話がある夜、偶然にも殺人現場へ繋がってしまう。男は電話での僅かなやり取りから事件の全容を推理していくが……。犯人も被害者も犯行現場も不明の殺人事件の真相とは?
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posted at 17:10:10
本作の見所は何といっても電話で得た僅かな手掛かりから犯人や被害者、犯行現場まで特定してしまう点で、その過程は実に鮮やか。その後の展開にしても首吊り死体が着替えた理由といった不可解な謎で読者の興味を惹き付けるものの、終盤になると一転して微妙なサスペンス物になってしまうのが残念。
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posted at 17:10:43
2013年07月31日(水)
土屋隆夫「あなたも探偵士になれる」読了。「小説を楽しみながら探偵士になれる!」がコンセプトの異色謎解き短編集。バスの中での不可能犯罪「民主主義殺人事件」、舞台上で発生した殺人事件「わがままな死体」、完全犯罪を計画した犯人が逮捕された理由を推理する倒叙物「Xの被害者」など七編収録。
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posted at 16:30:31
本作は読者に探偵士を目指してもらうべく七つの短編を「予備テスト」「二級探偵士への道」「一級探偵士への道」の三つの難易度に分けて収録しているが、正直「二級探偵士~」の途中までは初歩的なネタばかりでかなり物足りない。それが一転して面白くなってくるのは「民主主義殺人事件」以降だろう。
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posted at 16:30:51
「民主主義殺人事件」はトリックよりもむしろ手掛かりの隠し方に見るべきところがある。「わがままな死体」は生憎トリックは読めてしまったが、ユーモラスな語り口と構成が○。「Xの被害者」は同様のネタを用いた作品が幾つかあるものの、伏線とタイトルが秀逸。ベストを挙げるなら「Xの被害者」。
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posted at 16:31:15
綾辻行人「Another エピソードS」読了。「見えるの? きみには、僕が」夏休みに家族と共に別荘へやってきた見崎鳴はそこで死の前後の記憶を失い、消えた自らの死体を探し続けているという賢木晃也の幽霊と出会う。興味を惹かれた鳴は彼の死体探しに協力することになるが……。
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posted at 21:02:02
本作の帯には「Another」の続編と銘打たれているが、どちらかといえば番外編に近い。「Another」が特殊状況下から抜け出そうともがく話だったのに対し本作は奇妙な幽霊譚で、「Another」同様ミステリ的仕掛けはあるものの、正直それに過度な期待はしない方がいいだろう。
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posted at 21:02:33
というのも今回の仕掛けは人によってはかなり早い段階で気付く類のものであり、むしろ作者が「陰摩羅鬼の瑕」のような読み方を推奨しているのではと勘繰ってしまう。しかしながら「Another」の設定を活かしたある動機部分は悪くない。あくまでミステリとして読まない方が楽しめる作品である。
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posted at 21:03:28