麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年02月15日(土)
むしろ個人的には堂々と手掛かりを示しているにも拘わらず、それと気付かせない細やかな技巧の数々が見られたのは好印象。本作は「猫魔地獄」に腹が立った自分のような読者(!)にこそ読んでもらいたい良作である。
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posted at 17:50:10
もっとも前作同様、登場人物が突然メタに走ったり、冒頭の事件でアンチミステリ的解決をかましたりと相変わらずマトモでない部分は散見されるものの、終わり良ければ全て良しという言葉があるように、最後はきっちりとこの時代設定ならではの意外な真相で締めてくれる。
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posted at 17:43:56
「猫魔地獄のわらべ歌」で話題になった作者による時代小説+本格ミステリ+横溝ガジェット+クトゥルフ+メタを盛り込んだ一作。「猫魔地獄」が本格ミステリを謳いつつも肝心なところで時代小説であることを言い訳にした微妙な作品だったのに対し、本作は意外にも(?)マトモな本格でちょっと驚いた。
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posted at 17:43:40
幡大介「股旅探偵 上州呪い村」読了。中仙道倉賀野宿で奇病を患った若者が火嘗村の名主屋敷に住む三姉妹の死を予言して死んだ。若者の死を看取った渡世人の三次郎が火嘗村を訪れたのを境に様々な怪異が村を襲う。甦る死者、滝壺に吊るされた女、そして遂に仮面の長女が御籠り堂で大岩に潰されて……。
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posted at 17:43:28
2014年02月14日(金)
そして真相に至り、読者は本作がもう一つ有名な古典ミステリを元にしていることに気付かされる。もっとも真相だけみれば苦しい部分もなくはないが、二重のオマージュを取り入れることでそれをうまくカバーした良作である。
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posted at 22:06:52
タイトルから察しがつくように「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品。本作が秀逸なのはモータークルーザーという舞台を活かしたクローズドサークルを構築している点であり、本家の孤島とはまた一味違ったサスペンスストーリーが楽しめる。
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posted at 22:06:35
夏樹静子「そして誰かいなくなった」読了。豪華クルーザー『インディアナ号』に五人の客が招待された。だが招待者は姿を見せないばかりか夜には五人の罪を告発する内容のテープまで流れる。そして、それを境に一人、また一人と乗客が殺されていく。それはあたかもクリスティの有名なあの作品のように。
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posted at 22:06:22
2014年02月12日(水)
見所は何といっても終盤で明かされる構図の反転であり、それを知った後に読み返してみると、随所に作者の細かい配慮が見てとれることだろう。一部苦しい点もなくはないが、タイトルの意味がしみてくる読後感がそれを綺麗に帳消しにしてくれる、良作である。
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posted at 23:43:57
無関係にみえる二つの物語が平行して進んでいく本作の構成に対し、大抵の読者がどうせそれらが最終的に一つに繋がるんだろうと考えるに違いない。確かにその通りなのだけど、それはあくまで本作の真相を効果的に見せる演出の一環に過ぎない。
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posted at 23:43:27
夏樹静子「天使が消えていく」読了。台風が九州を縦断した夜、博多のホテルで宿泊客の男が絞殺され、その後ホテルの経営者も青酸カリ入りの牛乳で毒殺される。一方、婦人誌記者の亜紀子は心臓に障害を持つ赤ん坊のために奔走する。結果、赤ん坊は手術を受け助かるが、その母親の態度には不信感が……。
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posted at 23:42:01
2014年02月11日(火)
この真相は一見無茶なように思えるが、随所に盛り込まれた工夫とロマンティシズム溢れる演出でそれを見事にカバーしている点に作者の力量のほどが窺える。本作は、ほとんど綱渡りとしか思えないこの真相を作者がどう成立させるかが見所の作品である。
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posted at 18:41:14
交換殺人に男女の運命的な出逢いを絡めた秀作。基本的に男側の視点で物語が進行するため倒叙ミステリ的な趣があり、完璧に思えた犯罪計画が崩れていく様も見応えはあるものの、それ以上に最後に明かされる真相が素晴らしい。
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posted at 18:40:55
夏樹静子「第三の女」読了。雷鳴とどろく晩秋のフランスのホテルで出会った男女。運命に導かれるようにお互いの殺したい相手を打ち明けた二人は、その夜ベッドを共にしつつも別れてしまう。やがて帰国した男を待っていたのは、自分の殺したい相手があの女に毒殺されたという事実だった。
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posted at 18:40:41
しかしながら少女の正体が明らかになって以降は、てっきりアリバイ崩しがメインになるかと思いきやそんなこともなく、ただ一方的に犯人が追い詰められていくだけの展開になってしまっているのが残念。個人的にそこはもう少し捻ってほしかった。
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posted at 18:40:31
凝った構成で魅せる良作。章が終わるごとに挿入される少女のモノローグがいい感じでサスペンスを盛り上げると同時に巧いミスディレクションとなっており、真相を知った後に読み返してみると、その伏線がかなり早い段階からさりげなく張られていたことに驚かされる。
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posted at 18:40:04
今邑彩「少女Aの殺人」読了。深夜放送の人気DJ・新谷可南の許に「F女学院の少女A」と名乗る人物から手紙が届く。その内容は養父からの性的虐待に悩む少女が殺人を示唆するショッキングなものだった。可南が調べたところ家庭環境が該当する生徒は三人。やがてそのうちの一人の養父が殺されて……。
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posted at 18:39:51
2014年02月09日(日)
そしてこのシリーズではお馴染みの、隠されていたもう一つの真相に関しては、一見無茶に思えるものの、それまでの伏線の積み重ねが絶妙にフォローしている点が秀逸。幾つか蛇足的な部分もなくはないが、それらが気にならなくなるほどのものが盛り込まれている秀作である。
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posted at 18:08:53
貴島刑事が探偵役を務めるシリーズの三作目。本作が面白いのは、プロローグで描かれる犯罪計画の一部が同時に巧妙なミスディレクションにもなっている点であり、それが死体が殺人を犯したとしか思えない不可解な状況設定と結び付いて一筋縄ではいかない強固な謎を作り出している。
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posted at 18:08:20
今邑彩「「死霊」殺人事件」読了。妻を保険金目当てに殺害しようとしていた男が数日後、密室状態の自宅で友人と一緒に死んでいるのが発見され、二階には何故か泥まみれの妻の死体がベッドに寝かされていた。更に男は息を引き取る間際、電話で「死体が生き返った」と言い残していることが分かり……。
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posted at 18:08:09
2014年02月08日(土)
文庫版あとがきによると本作は本格ミステリではなくサスペンスに分類されるらしいが、個人的には脅迫状に隠されたある伏線に最も唸らされた。とはいえ復讐者の正体に関しては展開上ほとんどの読者が途中で分かってしまいそうだが、それを差し引いても伏線とプロットで楽しませてくれる良作である。
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posted at 19:56:12
もともと今邑彩はサスペンスを得意とする作家だが、本作でもそれは健在で、設定を巧みに活かし、次から次へと登場人物たちを容疑者に仕立てあげては、何気ないシーンでヒロインを脅かしていく様はもはや熟練の域に達している。
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posted at 19:55:46
今邑彩「七人の中にいる」読了。ペンション「春風」のオーナー・晶子には二十一年前のクリスマスイヴに起きた医者一家虐殺事件に加担した過去があった。そんな晶子のもとにあの事件の真相を知る人物から復讐予告が届く。果たして復讐者はクリスマスイヴを控え「春風」に集った七人の客の中にいるのか?
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posted at 19:55:27
2014年02月07日(金)
もっともSF展開はあくまで歴史ミステリとしての要請であるため物語にはあまり絡んでこないし、殺人事件にしてもトリック的には必ずしも優れているわけではないが、両者の最後に待つ哀愁感はなかなかのもの。暗号物が苦手だと少々つらいが、それだけに留まらない魅力を秘めた作品である。
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posted at 23:10:27
あの「占星術殺人事件」をおさえて第二十一回江戸川乱歩賞を受賞した、作者のデビュー作。本作が最も秀逸なのは実在する和歌を暗号として綺麗に読み解いてしまった点であり、これに関しては素直に凄いと思うものの、暗号音痴(!)な自分としてはむしろSF展開と後半の殺人事件の方を面白く読んだ。
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posted at 23:10:18
井沢元彦「猿丸幻視行」読了。明治四十二年夏、特殊な薬で折口信夫と意識を同化した現在の学生・香坂明は百人一首にも採用されている猿丸大夫の歌が実は暗号だったという衝撃的事実を知る。やがて暗号解読に成功した信夫は宇治山中の猿丸村へと招かれるが、そこで奇怪な事件に巻き込まれることに……。
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posted at 23:09:49
2014年02月05日(水)
そんな状態なので折角フーダニットに凝らされたある仕掛けも見事に不発で終わってしまっているし、最終的な真相も数学に興味がないとだから何? の一言で片付いてしまう。加えて某超越者が何をしたいのかさっぱり分からないし、トリックのためのトリックであるのも個人的にはかなりマイナス。
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posted at 21:56:37
例えば密室トリック一つとっても、ただでさえ見取り図で察しがつきやすいのに序盤から大ヒントを与えてくれる超親切設計である。また過去の事件の真相や館の秘密の一部にしても隠す気がないとしか思えない書き方で真相当てならぬヒント当て(沢山あるヒントを全部見付け出せるか)の様相を示している。
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posted at 21:56:26
三度目の正直ならず。これまで作者が発表した二作品はいずれも既視感あるトリックを使った初心者向けミステリだったが、それは本作もまた変わらない。いや、むしろこれまで以上に手掛かりがあからさまで、ぶっちゃけ読者を騙す気があるのかと本気で疑いたくなってしまった。
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posted at 21:56:12
周木律「五覚堂の殺人」読了。超越者に導かれ東北山中の館〈五覚堂〉に足を運んだ放浪の数学者・十和田只人。そこで彼はビデオテープに記録された〈五覚堂〉連続密室殺人事件の一部始終を見せられることになる。だが彼のいる〈五覚堂〉には惨劇の痕跡が一切なく消失した事件の解を彼は探すことに――。
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posted at 21:55:46