麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年05月01日(火)
香吹茂之「山比見村の殺人 第一回」読了。あのエロ漫画本格ミステリ「雄鳴館殺人事件」のまさかの続編、しかも今度は山奥の因習が残る村を舞台にした見立て殺人物だと言うのだからテンションが上がらずには入られない。今回は作者ならではのドMエロスにどうトリックを絡めるのか、大いに期待したい。 pic.twitter.com/AlUl5c03dq
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2018年05月02日(水)
長井彬「幽霊とピッケル」(「ミステリー傑作選 24 頭脳明晰、特技殺人」収録)読了。山で転落死した男の魂がピッケルに乗り移ったとしか思えない不可解な出来事が相次ぐ中、再び問題の山でかつての転落事故を再現したような事件が起きて――。
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posted at 00:31:33
仕掛けとしては極めてシンプルながら、山ならではの怪談を効果的に使ってあっと驚かせてくれるのがいい。やはり作者の山岳ミステリにハズレなしということを改めて思い知らせてくれる佳品である。
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マツキタツヤ/宇佐崎しろ「アクタージュ」1巻読了。メソッド演技を独学で使いこなす少女・夜凪景が女優を目指す物語ながら異能を活かした心理戦が実に熱い。連載当初は作画の弱さがネックだったが、回を重ねるごとに画力が上がってきて、ようやく物語の面白さに追いついてきた感があるのは○。
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2018年05月10日(木)
田村由美「ミステリと言う勿れ」2巻読了。前回バスジャックからの急展開で終わった「犯人が多すぎる」は何気ない人間観察がもたらす構図の反転の連続とぞっとする幕引きが絶妙の一言に尽きる。また「つかの間のトレイン」は一話完結の暗号もので、暗号の解釈により変化する物語が秀逸な佳品だった。
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2018年05月12日(土)
「レザーフェイス 悪魔のいけにえ」観了。一言でいえばレザーフェイスができるまでを描いた作品。一応登場人物の誰がレザーフェイスになるか終盤にならないと分からないというミステリ的趣向が用意されているが、ミステリファンからするとバレバレかもしれない。
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とはいえその試み自体は面白いと思うしレザーフェイスになる過程もシーンの対比を盛り込んだりしてなかなか巧く演出していたのではないだろうか。欲をいえばそつなく纏めすぎている点とせっかく可愛い女優を起用しているのにお色気要素が少ないのが少々気になるが全体的に見れば悪くない作品だと思う。
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2018年05月13日(日)
「バーニング・ムーン」観了。ヤク中不良青年が幼い妹に聞かせる残酷寝物語。ストーリー、演出、役者の演技、音楽、画質とどれをとってもビックリするほどチープだが、スプラッターだけはやたらと気合が入っていて特に終盤におけるルチオ・フルチばりのスプラッター描写が炸裂する地獄のシーンは圧巻。
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posted at 19:30:31
(但し地獄なのに電ドリなどの工具がいっぱい出てくるのはかなり違和感があるが)。正直真っ当なホラー映画ファンには全くお勧めできないが、スプラッター部分だけは一見の価値がある珍品である。
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「リヴィッド」観了。お宝を求めて寝たきりの老婆が住む屋敷に忍び込んだ若者たちが体験する恐怖。お化け屋敷物に吸血鬼や美少女要素を絡めたゴシックホラーでゴア表現を美しくも残酷に演出しつつ現代の御伽噺を実に見事に作り出している。幻想味のあるラストも含め好きな人には堪らない作品である。
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「悪魔の沼」観了。襲った人間を飼っているワニに食わせるモーテルの主人を巡るホラー映画。内容紹介にあるスプラッターを期待するとやや物足りないかもしれないが、それ以上に演劇風の演出と多彩な人間ドラマ、そして惜しげもなく晒されるおっぱい(!)が実にいい。
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2018年05月19日(土)
大倉崇裕「福家警部補の考察」読了。地位と愛情を天秤にかける医師、夫の企みを察知し機先を制する料理好きな妻、身を挺して師匠の名誉を守ろうとするバーテンダー、数年越しの計画で恋人の仇を討つ証券マン――犯人の思惑を福家警部補が透徹した眼力で見抜く四編収録。
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posted at 16:12:42
福家警部補と犯人たちの対決を描く倒叙ミステリシリーズの五作目。今回収録された四編のうちベストを選ぶならやはり「是枝哲の敗北」になるだろう。犯人の仕掛けたトリックを崩していく過程もさることながら何より犯人の職業を活かした決め手とタイトルに隠された二重の敗北の意味が素晴らしい。
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posted at 16:13:00
次点は「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」で、既に起きた射殺事件の真相究明は勿論のこと、更にこれから起きようとしている事件をどう防ぐかというタイムリミットサスペンス展開が加わって最後まで予断を許さない緊張感に満ちているのが良かった。
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2018年05月20日(日)
「GODZILLA 決戦機動増殖都市」観了。アニメ版ゴジラ三部作の二作目。前作の話はまだ想像の範囲内だったが、二作目の今回は正に奇想炸裂という内容でタイトルの意味が分かった瞬間は鳥肌ものだった。前作もアニメでしかできないゴジラだと思ったが、今回はそれ以上と言っていいだろう。
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posted at 22:55:49
前作がホップだとするなら今回はステップであり、ゴジラという固定観念を見事に打ち崩してくれる。また主人公に突き付けられる究極の選択から浮き彫りになる人間性が実に虚淵らしく、この内容だけでも充分過ぎるのに虚淵によると三作目は更に無茶しているとのことなので思わずニヤリとしてしまったw
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posted at 22:56:29
2018年05月21日(月)
山崎洋子「横浜秘色歌留多」読了。頽廃に酔う高級娼館、悪魔主義の大作家、灰青色の瞳の美少女を巡る男達の死闘、そして蓄音機から「黒い瞳」が流れる中、自動人形に囲まれたベッドに横たわるピンク色に染められたロシア人の毒殺死体――横浜の町で失踪した父親を探す娘が巻き込まれた惨劇の真相とは?
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posted at 00:09:32
編集者の許に送られてきた老婆の手紙から始まる、ロマンに満ちた歴史ミステリ。大正期の横浜を舞台に繰り広げる登場人物たちの愛と毒の宴は鮮やかの一言であり、それに加えて不可解な装飾が施された死体という魅力的な謎と世界史におけるある有名なテーマが実にいいアクセントとして機能している。
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posted at 00:10:04
ミステリとしてみると真相よりもむしろ犯人を示す伏線や手掛かりの出し方に見るべきところがあり特に構成を巧く利用してある登場人物の特徴をさりげなく描いている点が秀逸。また最後まで読んで何故こういう構成にしたのか納得がいくと同時にそこから恐ろしくも悲しい人間性が見えてくるところもいい。
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posted at 00:10:34
氷桃甘雪「六人の赤ずきんは今夜食べられる」読了。森に住む「赤ずきん」と呼ばれる少女たちは赤い月の夜、狼の化け物に喰い殺される運命にあった。彼女たちを守り抜くと決意した猟師の私は森の外れの塔に六人の「赤ずきん」と共に朝まで籠城することになるが、彼女たちの中には裏切り者がいた――。
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posted at 22:17:27
第12回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。童話の赤ずきんをベースに人狼ゲームの要素を盛り込んだ今時の作品ながら、なかなかどうして異世界本格ミステリとしてもきちんと成立しているのがいい。但し冒頭にある塔の見取り図からその手のトリックを期待すると、やや拍子抜けを覚えるかもしれない。
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posted at 22:18:01
本作のミステリ的な見所としては「誰が裏切り者なのか?」というフーダニットと「どうやって裏切り者が狼に情報を伝えていたのか?」というハウダニットの二点であり、どちらも読者の思い込みを巧く逆手にとった発想であっと驚かせてくれる。
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posted at 22:18:19
加えて作者の遊び心を感じさせてくれる結末も○で、やや粗削りなところもあるが、それ以上に盛り込まれたアイディアの面白さが光る異世界本格ミステリの良作と言っていいだろう。
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2018年05月23日(水)
小杉健治「東京‐岐阜Σ0秒の罠」読了。詐欺商法でのし上がった悪徳会社の会長が殺された。捜査陣は対立していた専務・工藤をマーク。しかし彼には鉄壁のアリバイがあった。工藤有罪を信じる刑事の沢月は執念の捜査の末、アリバイを崩し工藤を逮捕するが、その後の法廷で思わぬ展開が待っていた。
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posted at 21:47:58
前半はアリバイ崩し、後半は法廷ミステリという異色作。解説によると本作で作者は初めてアリバイ崩しに挑んだとのことだが、そうとはとても思えない二重三重に考え抜かれたトリックが事件を追う刑事の沢月と共に読者をこれでもかと翻弄してくれる。
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posted at 21:48:17
それだけでも充分満足度は高いのだが、驚いたことにやっとアリバイが崩れたと思ったら次は法廷でまさかの第二ラウンドの始まりである。しかも凄いのは裁判が進むにつれて何が真実なのか分からなくなってくるところであり、ここでも読者はいいように翻弄されることとなる。
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posted at 21:48:33
そして終盤、意外な裁判の結果と共に明かされる真相はびっくりするほど哀愁に満ちたものであり、思わず前のページを読み返さずにはいられなくなる絶妙な構成には脱帽と言わざるを得ない。何よりこの内容を文庫本にして約360頁ほどの長さで纏めあげた手腕は驚愕の一言に尽きる。
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posted at 21:48:58
いかにもトラベルミステリっぽいタイトルからは想像がつかないかもしれないが(そういう意味では深谷忠記「南房総・殺人ライン」を彷彿とさせる)、騙されたと思って是非読んでほしい傑作である。
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posted at 21:49:13