麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年09月29日(土)
しかしながら徐々に繋がる意外な人間関係を見せつつあくまで感動的なミステリとして着地した「熟れた月」と異なり、本作は舞台である地方都市にずっと前から異界の入口がぽっかりと開いていたことを否応なく見せつけると共に作者がホラーの優れた書き手であることを読者に思い知らせてくれる。
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posted at 15:50:58
ある地方都市を舞台にした連作という形で様々な事情を抱えた人々が織り成す群像劇。非現実的要素を盛り込みながらもリアリティのある物語とその構成は作者が今年度に発表した「熟れた月」とかなり似通っている。
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宇佐美まこと「少女たちは夜歩く」読了。狂気の恋に落ちた女子高生、奇妙な絵の修復を依頼された女、不治の病に侵された男、謎の獣と少年、死んだ人間が見える女……街の中心にある城山の魔界にからめとられ闇に彷徨う人々。絡み合う悲劇の糸はどこへつながるのか。そして彼らに救いの時は訪れるのか。
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2018年09月28日(金)
また短編の切れ味でいえば「赤過ぎる部屋」で、作中で語られるある衝動に纏わる謎解きとそれが齎す結末の余韻が絶妙の一言に尽きる。惜しむらくは乱歩テーマ以外の二編を収録したことでイマイチ纏まりに欠ける内容になってしまったことだが、それに目を瞑れば新たな乱歩世界が堪能できる良作である。
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加えてそこかしこに作者のファンであればニヤリとする要素が盛り込まれているのも嬉しい。ミステリとしてはやはり「G坂の殺人事件」がベストで、語り手のミステリマニアならではのエピソードも楽しいが、その中にさりげなく仕掛けられた罠と乱歩らしい歪んだ心理及び事件の構図が実に秀逸。
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ホラーミステリの書き手として知られる作者による江戸川乱歩をテーマにした連作ミステリ。作者の怪談でお馴染みの語りの妙が本作にも活かされており、怪しい乱歩の世界を再現しつつ、一方でロジカルな謎解きも成立させている点がいい。
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posted at 18:27:21
三津田信三「犯罪乱歩幻想」読了。幻の同居人、地下の秘密倶楽部、眼前で起きる殺人、夢遊病の青年、鏡の中の魔――江戸川乱歩トリビュートの五編「屋根裏の同居者」「赤過ぎる部屋」「G坂の殺人事件」「夢遊病者の手」「魔鏡と旅する男」他、二編収録。
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posted at 18:24:21
但し本作を首切り物の収穫とするにはやや躊躇いがある。本作の場合、首切りはあくまで要素の一つに過ぎず、メインはある込み入った構図の方と言っていいだろう。その構図を描くには些か駆け足のきらいがあるのが勿体ないが、意外性という点では一読の価値アリな快作である。
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「使用人探偵シズカ 横濱異人館殺人事件」に続く謎めいた使用人・栗花落静(ツユリシズカ)シリーズの二作目。見立てがテーマだった前作に対し本作では首切りを扱っているが、犯人の残した見立てから犯人の次の行動を予測した前作同様、本作でも首切りから犯人の行動の予測を試みているのが面白い。
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月原渉「首無館の殺人」読了。没落した明治の貿易商の令嬢・華煉は目覚めると記憶を失っていた。そして彼女がいる首無館の異名を持つ館は閉ざされていて、出入り困難な中庭があった。濃霧たちこめる夜、異様な連続首無事件が始まる。首を抱く首のない死体、奇妙な琴の音、空中に現れる首……。
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2018年09月23日(日)
「ザ・プレデター」観了。1と2の物語を踏まえた3的位置付けの内容で過去作のオマージュを盛り込みつつユーモアも光る前半一時間は非常に面白い反面、後半は明らかなキャラの使い捨てと慌ただしい展開、わざわざアレを送り届けた理由の説明不足など気になる点が多いが最後の大風呂敷は嫌いではない。
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2018年09月21日(金)
それでいて皆、儀藤との捜査を通じて何か大切なものを得たり人間的に成長したりするのでドラマとしても見応えのある内容に仕上がっている。そういう意味では痴漢冤罪を扱った「死神の顔」が良かったが、ミステリ的には二転三転しつつ絶妙な盲点を就いてくる誘拐物の「死神の背中」を推したい。
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posted at 18:48:08
死神と呼ばれる刑事が終わったはずの事件の再捜査をする、所謂回想の殺人物の連作ミステリ。作者の看板探偵である福家警部補シリーズでは事件関係者や犯人の視点から度々福家警部補の人物像が描かれるのに対し、本作では不幸にも相棒に選ばれた警察官の視点から儀藤の人物像が実に魅力的に描かれる。
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posted at 18:47:45
大倉崇裕「死神刑事」読了。男の名は儀藤堅忍。警視庁内にある謎の部署で無罪確定と同時に事件の再捜査を始めるのが任務である。そして儀藤の相棒になる者は組織から疎まれ出世の道も閉ざされることになる。故に彼に付いた渾名は死神。強盗殺人、偽装殺人、痴漢冤罪、誘拐――四つの事件に死神が挑む。
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posted at 18:47:22
加えてその大ネタを自信満々に語るあとがきが余計痛々しさに拍車をかけてしまっているのが残念。トリックに前例があるのは仕方ないとしてもせめて前代未聞を謳うのであれば、それに相応しい目新しさを見せてほしかった
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posted at 09:03:17
しかしながら同時にタイトルで叙述トリック物であることをばらしてしまったが故に仕掛けが見えやすくなってしまっている欠点を抱えており、しかも使われている叙述トリックがどれも前例あり、更に連作の大ネタに至ってはその使い方すらも前例ありなのがいただけない。
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posted at 09:02:54
タイトルからも分かるように収録作全てが叙述トリック物の短編集。といっても全編叙述トリック物の短編集は幾つか前例があるが、こうしてタイトルから叙述トリック物であることを宣言する作品は珍しいのではないだろうか。
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posted at 09:02:37
似鳥鶏「叙述トリック短編集」読了。最初に「この短編集はすべての話に叙述トリックが入っています」と断る。そうすれば皆、注意して読みますし後出しではなくなります。問題は「それで本当に読者を騙せるのか?」という点です。そこに挑戦したのが本書です。――作者が叙述で読者に挑戦する連作集。
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posted at 09:01:57
2018年09月20日(木)
一方ミステリとしてみるとなかなか大胆な一発ネタであり、それを誤魔化すために設定などで色々苦心しているのは分かるが、正直人間関係を無駄に複雑にし過ぎたせいで肝心の見せ方が巧くいっていないのが残念。この手の仕掛けをやるならば変にごちゃつかせず、もう少しスッキリとまとめてほしかった。
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posted at 00:49:33
少女の幽霊が見える作家が現在で起こった殺人事件の動機を探るため過去に思いを馳せるノンシリーズ長編。基本的には現在の事件におけるホワイダニットがメインとなるが過去パートが最も長くかつこの作者特有のジェンダー要素の強いドロドロの人間関係が延々と語られるのでかなり人を選ぶかもしれない。
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posted at 00:45:26
西澤保彦「幽霊たち」読了。入院中の作家・横江の許を刑事が訪ねてきて「横江の元同級生・多治見を殺した犯人が理由を知りたければ横江に聞いてくれと語っている」と告げる。身に覚えのない横江だったが、やがて事件は彼が四十年前に資産家・岩楯一族と暮らした子供時代の記憶と繋がりを見せ始める。
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2018年09月14日(金)
もっともミステリとしてみると最初に主人公が気付くヒントとなるものがやや唐突なきらいがあるものの最低限の伏線は張られているし、どんでん返しの連続と共に明らかになる残酷な事実と仄かな百合要素がいいアクセントとなって、結末で匂わせているその後の物語の余韻をより一層際立たせているのは○。
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posted at 18:21:38
まず最初に断っておくと、副題にあるような攻防戦は本作にはほとんどない。しかしだからといって本作にミステリ的な楽しみが全くないかと言えばさにあらず。物語が進むにつれて変化していく主人公の価値観が、二人のヒロインの隠された心情と事件の構図を徐々に浮き彫りにしていく過程が実に秀逸。
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posted at 18:21:27
三田千恵「彼女のL~嘘つきたちの攻防戦~」読了。遠藤正樹は嘘がわかる特異体質で、川端小百合は決して嘘をつかない少女で、佐倉成美は常に嘘をふりまく少女だった。ある日、川端と佐倉の共通の友人が急死する。川端は「彼女は殺された」と言い、佐倉も「彼女を追い詰めたのは私」とうそぶいて――。
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posted at 18:21:15
2018年09月13日(木)
また解決編を読んでいると描写不足、説明不足に感じる所が多々あり、そのせいでいまいちキャラの行動原理がぴんとこず、折角の大ネタも巧く機能しているとは言い難い。ネタを詰め込むなら詰め込むで、それに相応しい物語をきっちり描いてほしかった。
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posted at 22:48:03
但し前作ではいい意味で詰め込みすぎという印象を受けたのに対し今回は悪い意味で詰め込みすぎており、解決編で明らかに消化不良を起こしている。しかも詰め込んだネタの中には興醒めなものもあり、どうにも玉石混淆な感が否めない。
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posted at 22:47:51
デビュー作「ジェリーフィッシュは凍らない」から続くシリーズの三作目。事件と主人公コンビの物語が交互に描かれる構成はいつも通りながら、今回はそれにリアルタイムで進行する高層ビルでの爆破テロというパニックサスペンスが加わり、シリーズ中最もスリリングな内容に仕上がっている。
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posted at 22:47:39
市川憂人「グラスバードは還らない」読了。密売された希少動物を飼っている噂のある不動産王ヒュー・サンドフォードの城・サンドフォードタワーで爆破テロが発生した。一方、ヒューの所有するガラス製造会社の社員とその関係者四人は知らぬ間に拘束、窓のないガラスの迷宮で次々と殺されていく――。
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posted at 22:47:19