麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2019年03月28日(木)
エラリー・クイーン「犯罪カレンダー 1月~6月」読了。私立探偵の確定申告の書類盗難に端を発する殺人事件を描いた「マイケル・マグーンの凶月」、南北戦争の生き残りの老兵たちが次々と変死していく「ゲティスバーグのラッパ」など1月から6月までの六編を収録。
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posted at 00:19:39
カレンダーをコンセプトにした作品集の前編。尤も収録作の中には「犯罪」を扱っていないものもあるため厳密に言えばタイトルにやや偽りありなのだが、それが気にならなくなるくらいの凝ったプロットとシンプルながらキレのあるロジックで魅せてくれる。
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posted at 00:20:02
ベストは「マイケル・マグーンの凶月」で、次々と事件が起こる巧みな展開とあるエラリーの発言による二重の煙幕が実に秀逸。次点は「ゲティスバーグのラッパ」で、逆説的なロジックと事件の絶妙なずらしからくる犯人の意外性がいい。
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posted at 00:20:13
その他「皇帝のダイス」は微笑ましいオチばかりに注目されがちだが、何気にある趣向が使われた作品として興味深い。また「くすり指の秘密」におけるエラリーとクイーン警視がそれぞれどうやって犯人にたどり着いたのか、その思考の違いが面白かったw
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posted at 00:20:25
2019年03月29日(金)
エラリー・クイーン「犯罪カレンダー 7月~12月」読了。探険家の島での財宝探しと殺人事件を描いた「針の目」、仮装パーティーの殺人ゲームで本当に人が殺される「殺された猫」、人探しで立ち寄ったレストランで思わぬトラブルに巻き込まれる「ものをいう壜」など7月から12月までの六編を収録。
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posted at 21:29:04
カレンダーをコンセプトにした作品集の後編。個人的には前編よりも好みの作品が多かったが、その中でも特に良かったものを挙げるとするなら、やはり「針の目」と「ものをいう壜」になるだろう。「針の目」は「孤島パズル」を彷彿とさせる内容で、財宝探しと殺人事件の関係にきちんと意味がある点が○。
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posted at 21:29:31
消えた銃弾の行方からのロジックもいいが、それ以上に財宝に隠された企みが秀逸。一方「ものをいう壜」は偶然に支えられたプロットやシンプルなロジックから導き出される犯人の意外性など国内作家Oの某短編を思わせる秀作と言っていいだろう(あと何気にタイトルも巧い)。
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posted at 21:29:44
その他、暗闇の殺人という特異なシチュエーションを活かした「殺された猫」や、ある二つのものを結び付ける推理が鮮やかな「墜落した天使」も捨て難い。唯一不満があるとするなら「三つのR」で、前編に収録された某作とネタがやや被ってしまっているのが難か(加えて某作の方がオチも決まっている)。
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posted at 21:29:56
2019年03月31日(日)
エラリー・クイーン「間違いの悲劇」再読了。往年の大女優が怪死を遂げた。ダイイング・メッセージや消えた遺言状、徐々に明らかになる背景、そして続発する事件にエラリーは翻弄され、幾度も袋小路を踏み惑うことになる――。未完成長編の梗概である表題作に加え、単行本未収録の中短編七編を収録。
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未完成長編の梗概「間違いの悲劇」に、クイーンの短編集ではお馴染みの「クイーン検察局」物や「パズル・クラブ」物の短編六編及びノンシリーズ物の中編「動機」を加えた作品集。特筆すべきはやはり表題作で、梗概であるにも拘わらず、クイーンの凄みを十二分に感じさせてくれる。
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posted at 13:11:37
事件の意外すぎる展開の連続には作中のエラリーだけではなく読者も翻弄されること請け合いであり、その裏で執拗に繰り返される現代本格でも度々用いられるあるテーマには読んでいてここまでやるかと空恐ろしさすら覚える。
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posted at 13:11:51
そしてその積み重ねがあるからこそ終盤エラリーに齎される一つの閃きが正に天啓というべき神がかりを見せており正直梗概だけでそれが分かるクイーンはやはり只者ではない。次点はミッシング・リンクテーマの中編「動機」でノンシリーズ物だからこそできる構成でさりげない意外性を演出しているのが○。
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posted at 13:11:58