麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2019年05月31日(金)
それまで語られた要素が巧みな伏線として機能する点もさることながら「遠海事件」などでも見られた真相に物語性のある奥行きがきちんと用意されているのもいい。また本作はこれまでの詠坂作品の中でも最もエンタメ性が高いので詠坂初心者にも安心して(?)勧めることができる快作と言っていいだろう。
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捻くれた作品を書くことで知られる作者による異能バトルミステリ。といっても本作を半分以上読んでもよくある異能バトル物のような展開ばかりが続き、ミステリのミの字も感じられないかもしれないが、第六章あたりから出てくるある謎とその真相が本作をミステリたらしめている。
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詠坂雄二「君待秋ラは透きとおる」読了。唯一無二の力「匿技」の持ち主たちを集める「日本特別技能振興会」。透明化の匿技を持つも組織に背を向けて生きようとする君待秋ラは、終わりなき戦いに巻き込まれてゆく。その背後には戦後「振興会」発足時からの巨大な闇が横たわっていた。
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2019年05月29日(水)
故にラストのクイーン警視の存在が救いとして際立つのが実に心憎い。本作は笹沢左保作品を彷彿とさせる男女の情念を周到にプロットに組み込んだダイイング・メッセージ物の秀作である。
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そしてそれによって二転三転するプロットの面白さとイレギュラーへの対応に迫られる犯人側のドラマが同時に堪能できるのは○。また作者による執拗なミスディレクションが最終的にエラリーを始めとした登場人物たちに残酷な現実を突き付けるようになる点も秀逸の一言に尽きる。
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クイーン後期の長編ミステリ。男女の色恋沙汰、ダイイング・メッセージ、裁判という本作に詰め込まれた要素から同じくクイーンの某作を思い出す人もいるかもしれないが某作が完璧な計画のもとで行われた犯罪であるのに対し本作は度重なるイレギュラーに振り回される計画犯罪を描いているのが興味深い。
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エラリー・クイーン「顔」読了。エラリーを訪れた若い女優は彼に重大な告白をした。往年の名歌手グローリー・ギルドの夫・アーマンドから殺害計画を打ち明けられたというのだ。そしてある日グローリーが何者かに心臓を撃ち抜かれ殺害される。彼女が死に際に残された文字はたった一語「顔」だった。
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2019年05月27日(月)
ポール・アルテ「花売りの少女」読了。花売りの少女とサンタクロースに纏わる二つの雪密室の話。仕掛けはいずれもびっくりするほど単純ながら一つ目の雪密室はさりげない手掛かりの出し方が、二つ目の雪密室は真相そのものが皮肉なオチになっている点が秀逸。仕掛けよりも演出の巧さが光る佳品である。
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2019年05月26日(日)
その他「或るローマ帽子の謎」は不可解な死体の状況が一瞬で腑に落ちるロジックとそれを支える登場人物や舞台設定の妙に、表題作は大胆な隠蔽工作と事件の最大のヒントとも言えるある人物の台詞に唸らされるに違いない。
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ベストを選ぶなら「或るフランス白粉の謎」で、犯人の行ったある工作から展開されるロジックによって導き出される意外な犯人とその目的は驚愕の一言に尽きる。次点は「或るオランダ靴の謎」で、犯人の周到な策略もさることながら、それが逆に犯人を追い詰める致命的な一手となる展開が実に秀逸。
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タイトルからも分かる通りクイーンの国名シリーズをテーマにした四つの事件に作者の看板探偵の一人・南美希風が挑む連作ミステリ。特筆すべきは全編ハズレなしと言っていい高いクオリティーを維持しており、ロジックミステリが好きな読者にとってはこの上ない贈り物となることだろう。
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柄刀一「或るエジプト十字架の謎」読了。トランクルームの密室。白い粉が舞い散る殺人現場。足跡なき泥濘の逃亡者。案内板に磔にされた首のない死体。法医学の実地見聞のため事件現場に赴く法医学者エリザベスのガイド役として付き添う南美希風は神の悪戯としか思えない四つの事件を解明できるのか?
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正直どうしてこんな話になったのか作者の頭の中を覗いてみたくなるが、そのせいで雪の密室のトリックがどうでもよくなってしまうのが本作の最大の欠点かもしれない(爆)。とはいえこの構成を採用したからこそ、本作はいい意味で怪作として読者の記憶に残るだろう。
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探偵役のオーウェン・バーンズが活躍するのが1911年冬であるのに対し、もう一つの物語の舞台は1991年初夏という言うなれば未来の話であり、一見するとそこに何の繋がりもなさそうに思えるが、それがまさかの繋がりを見せた瞬間、本作は忘れ難い異形の作品と化する。
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「あやかしの裏通り」に続く名探偵オーウェン・バーンズシリーズの邦訳第二弾。本格ミステリではお馴染みの雪の密室を扱った本作だが、特筆すべきは何といっても八十年の時を経た二つの物語が平行して語られる、その異様な構成だろう。
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ポール・アルテ「金時計」読了。1911年冬。森に聳える山荘に一癖も二癖もある男女が揃った朝、森の中で山荘の主の死体が発見される。現場は完全な雪の密室だった。一方1991年初夏。劇作家アンドレは子供の頃に観たサスペンス映画を探していた。やがてそれは少年時代のある記憶と繋がっていく。
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2019年05月25日(土)
殺人トリックはシンプルながらよくできているし展開そのものを巧くミスディレクションとして使っている点も○だが、ある事件に関して一見繋がっているようでいて繋がっていないのが気になる。とはいえ、それさえ目を瞑れば主役コンビの活躍とスリリングな展開が絶妙な良作である。
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警察小説と本格ミステリのハイブリッドを売りにした長編ミステリ。本作はこれまでの作者の作品の中でも特に本格色が強く、作者得意の殺人トリックは勿論のこと、フーダニット部分にも力を入れた内容に仕上がっている。
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吉田恭教「警視庁特殺 使徒の刻印」読了。警視庁捜査一課来生班のエース・佐倉智孝は強引な捜査手法で物議を醸す若手刑事だ。元同僚で犯罪ジャーナリストの有働佳祐は危うげな彼が心配で仕方ない。ある日、手首を鎖で繋がれた焼死体が発見される。その背中には使徒を意味する焼印が押されていた――。
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「プロメア」観了。最高。一言でいえばグレンラガン要素のあるキルラキルの物語をパンスト的カートゥーン(+ポリゴン)調で表現したような内容で目まぐるしい高速アクションと予想を裏切る展開の連続、それでいて熱さのツボを絶妙に押さえている。約二時間の濃密体験で実に心地いい疲労感が味わえた。
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また事件そのものも複数の不可解な出来事が徐々に繋がっていくという百鬼夜行シリーズ本編を彷彿とさせる流れになっているのでシンプル過ぎた前作と比べて読み応えがあるのも○。但し本編と比べると真相が分かりやすいのが難だが、河童というテーマを物語で巧く表現した良作であると言っていいだろう。
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京極堂の妹・中禅寺敦子と「絡新婦の理」に出てきた呉美由紀の二人が活躍する百鬼夜行シリーズの番外編的シリーズ第二弾。もともとキャラの薄い二人を反映するように内容もいまいち物足りなさが目立った前作に対し、本作は前多々良勝五郎という濃いキャラが加わったおかげでかなり面白くなっている。
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京極夏彦「今昔百鬼拾遺 河童」読了。昭和29年、夏。夷隅川水系に次々と奇妙な水死体が浮かんだ。三体目発見の報せを受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが――。
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2019年05月24日(金)
しかしながらそれこそが作者の罠であり、真っ当な犯人当てにうつつを抜かしていると足下を掬われることになる仕掛けが実に心憎い。ネタバレになるので詳しい言及は避けるが最後で明らかになる物語の真の構造には見事にしてやられた。本作は早坂作品の中でも仕掛けが綺麗に決まっている傑作である。
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嵐の孤島で起こる連続殺人の裏で殺人犯と殺人鬼が対決する長編ミステリ。まず目を惹くのは何といっても「殺人犯 対 殺人鬼」というタイトルに象徴される二つの視点で交互に語られる変則倒叙形式だが物語そのものはこの作者にしては珍しく真っ当な犯人当てっぽい展開なので少々意外に思うかもしれない。
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posted at 00:17:34
早坂吝「殺人犯 対 殺人鬼」読了。孤島の児童養護施設に入所している男子中学生の網走一人はある夜、島の外に出た職員たちが嵐で戻れず施設内が子どもたちだけになった隙に剛竜寺の部屋に忍び込む。彼をこの手で殺すために。しかし剛竜寺は既に殺されていた。片目を抉られ、金柑が押し込まれた姿で。
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2019年05月19日(日)
物語が完全にSFに移行しても作者らしいバトル描写が健在な一方で、もう一つの作者らしい愛の描写が他作品とは異なるのが興味深い。ラストの捻りに関しては登場人物の少なさが完全に裏目に出てしまってそれほど意外性がないのが難だが、少なくとも前日譚としての期待にはきちんと応えた作品である。
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映画「楽園追放」のオリジナル前日譚。一言でいえば「楽園追放」のヒロインであるアンジェラができるまでを描いた作品であり、帯にある虚淵玄の「こんな体験をしてたんなら、そりゃガッツのある子になりますよアンジェラさん」という言葉にも納得がいく内容に仕上がっている。
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手代木正太郎「楽園追放 mission.0」読了。ナノハザードにより廃墟と化した地球。電脳世界・ディーヴァで捜査官となったアンジェラは先輩であるメットと組まされることとなった。その直後、ディーヴァにあらゆる人間たち、構造物、メモリを食い荒らす悪性プログラムが襲い掛かる事件が発生して――。
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逆にショートショートになるとその辺は控えめなので純粋にブラックユーモア物として楽しめるだろう。一応ラストで作者が本作の趣向を明らかにしているが正直全体の作り込みが甘いためにどうしても取って付けた感は否めない。本作は作者の持ち味であるサービス精神ぶりが空回りしてしまった作品である。
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奇妙な密室殺人が描かれる一方で事件の被害者である作家が書いた十編の短編とショートショートが挿入される長編ミステリ。どちらかというと密室殺人よりも短編やショートショートの方がメインの印象が強いが、その短編の大半がいかにもオヤジ趣味な下ネタばかりなのでかなり人を選ぶかもしれない。
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辻真先「殺されてみませんか」読了。『夕刊サン』の記者・可能克郎に持ちかけられた小説の連載企画。克郎は部長の田丸が推薦する作家の野末未来に会いに行くが、その野末は密室状態のトイレの中で何者かに殺されていた。しかも「可能克郎が、殺した」という不可解なダイイング・メッセージを残して。
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posted at 21:42:23