麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年02月01日(火)
「The Bloodstained Shadow」観了。悪魔的儀式の参加者たちが謎の殺人鬼に次々と殺されていく話。監督が大のアルジェントファンだけあってゴブリン風のサウンドや次第にエスカレートしていく殺人シーンの演出がいい。また殺人鬼の正体よりも映像を効果的に使った手掛かりの見せ方が秀逸な作品である。
タグ:
posted at 00:18:34
市川憂人「断罪のネバーモア」読了。度重なる不祥事から警察の大改革が行われた日本。茨城県つくば警察署の刑事課に配属された藪内唯歩はコンビを組んだ警部補の仲城や同僚達との関係に悩みつつも担当した殺人事件を解決に導いていく。そんな彼女の前に7年前の猟奇殺人が意外な形で関わってきて……。
タグ:
posted at 22:07:33
近未来設定の警察小説と本格ミステリを合体させた連作もの。全四話構成の本作は現代の警察が抱える様々な問題やコロナ禍を取り入れつつも基本的には心に傷を持つ新米刑事の奮闘記となっており、個々の事件は地味ながらも設定を活かしたシンプルなロジックでそれなりに魅せてくれる。
タグ:
posted at 22:07:50
しかしながら問題は最後の第四話でそれまでのシンプルさとのギャップを狙って複雑に入り組んだ謎解きであっと言わせたかったのかもしれないがこの作者の悪い癖で色々詰め込みすぎた結果、謎解きが渋滞を起こしており、確認するのが面倒になるばかりか正直真相が見抜けるレベルなのかどうかさえ怪しい。
タグ:
posted at 22:08:07
しかも真犯人をただの○○○○○にしてしまったせいで社会派要素と上手く噛み合っておらず、最終的に何がやりたかったのかよく分からない作品になってしまっている。本作の帯には「白黒が全反転する奇跡の終盤に瞠目せよ」とあるけれど、個人的には残念ながら、その奇跡を確認することはできなかった。
タグ:
posted at 22:08:47
2022年02月03日(木)
「美人ダンサー襲撃」観了。偶然殺人現場に居合わせた美人ダンサーに迫る犯人の魔手。アルジェント大好きな監督によるサスペリアpart2まんまのテーマ曲や殺人の手口が笑える一方でジャッロらしからぬ犯人の動機が妙に印象に残る。また犯人の正体は意外と言えば意外だが肝心の伏線が全くないのが残念。
タグ:
posted at 00:32:20
「墜落大空港」観了。旅客機墜落の真相にただ一人生き残った記憶喪失の機長が迫る話。なぜ旅客機が墜落したのかという謎を巡るミステリと彷徨う亡霊達によるホラーが結び付いてある驚愕の事実を浮かび上がらせる点が実に秀逸。見方によっては某有名ホラーミステリ映画の元ネタとも言えるかもしれない。
タグ:
posted at 02:22:11
香吹茂之「女神家の一族」〈最終話〉読了。傑作。早坂吝を彷彿とさせるHの最中からの犯人の指摘もさることながらまさかの京極夏彦ばりの真相に愕然。更にコロナ禍を自分の知る限り最も巧く活かしたミステリでもあり、これまで作者が発表した本格ミステリエロ漫画の中でも最上の出来なのは間違いない。 pic.twitter.com/O2VoYp5MDz
タグ:
posted at 20:08:45
2022年02月04日(金)
鴨崎暖炉「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」読了。世間で密室殺人が激増する中、著名なミステリ作家が遺したホテル「雪白館」で密室殺人が起きた。館に通じる唯一の橋が落とされ孤立した状況で凶行が繰り返される。現場はいずれも密室、死体の傍らには奇妙なトランプが残されていて――。
タグ:
posted at 16:06:30
第20回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作。本作が面白いのは現場が密室である限りは無罪であることが担保された世界を作り上げたことでありそれにより密室の必然性を気にせず好きなだけ密室トリックを盛り込めるという点ではある意味「密室殺人ゲーム」と似ているかもしれない。
タグ:
posted at 16:06:53
しかしながらその肝心な密室トリックはバリエーションこそあるもののいかんせん質より量の感が否めず、中には前例があるものも混じっている点が難。加えて一つ一つの事件にしてもただ詰め込まれているだけで、最終的にそれらが有機的に繋がるという訳でもないのも好みが分かれるかもしれない。
タグ:
posted at 16:07:12
どちらかというと本作はトリックより犯人当てのロジックの方に見るべきものがあり特に終盤のロジックにおいてある印象に残る伏線を張ることで説得力を高めている点は○。また密室という趣向に青春小説要素を絡めたことで独特な物語に仕上がっており全体的に見れば良い意味で意欲作と言っていいだろう。
タグ:
posted at 16:07:36
2022年02月05日(土)
池田雄一「「日本海4号」11分の壁」読了。蓉子の夫が伊豆・石廊崎で溺死した。現場に残された自筆の遺書から同僚の女性殺害を苦に覚悟の自殺と断定された。夫の無実を晴らそうと決意した蓉子は夫の上司・光岡に疑いを持ち、紀行作家の子安の協力を得て光岡が主張するアリバイを崩そうとするが……。
タグ:
posted at 16:40:46
作者がエイコー・ノベルズ第一弾として書き下ろしたアリバイ崩し物。粗筋だけ見るとベタなトラベルミステリのように思えるが、それは二章までのこと。三章に入ると一転、新たな容疑者が浮上したばかりかこちらも鉄壁のアリバイがあり一体どっちが犯人なのかと作中のヒロイン同様読者を翻弄してくれる。
タグ:
posted at 16:41:14
更にそこへ第二、第三の殺人を起こすだけでなく、死んだ夫に纏わる不可解なエピソード、そしてまさかの鉄壁のアリバイのダメ押し(!)をすることで事件はますます混迷化、読者に一切の先読みを許さない練られた展開が素晴らしい。
タグ:
posted at 16:41:36
尤もアリバイトリックとしては既存の組み合わせではあるものの、それまで犯人の圧倒的有利だった状況がラスト数ページで一気にひっくり返るカタルシスはなかなかのもの。ややラストに詰め込みすぎたきらいはあるが、普通のトラベルミステリには絶対にしないという作者の気概が感じられる良作である。
タグ:
posted at 16:42:06
2022年02月08日(火)
池田雄一「寝台特急「北斗星」「あさかぜ」連続殺人」読了。北斗星2号ツインDXに女の死体が、同時刻にあさかぜ4号個室デュエットから男の死体が発見された。男の死体に残されたナイフから同一犯の仕業と判明。捜査を進めるうちにある過去の事件と一人の容疑者が浮上するも鉄壁のアリバイが立ち塞がる。
タグ:
posted at 21:03:13
北と南から東京に向かう寝台特急を舞台にしたアリバイ物。毎回作者は手を替え品を替え鉄壁のアリバイに守られた容疑者優勢の状況からどう逆転するかという点に拘ってみせるが本作は見方によってはその部分に数多くのドラマや映画の脚本を手掛けた作者の手腕が遺憾なく発揮された作品と言えるだろう。
タグ:
posted at 21:05:24
捜査が進むにつれて浮かび上がってくる過去の事件の凝りようも見所の一つだが最大の見所は何と言っても鉄壁のアリバイに守られた容疑者との対決であり、そこからの逆転劇は前述した作者の手腕と共にある意味アリバイ物を逆手にとった仕掛けとも言えるかもしれない。本作はプロットも必見の良作である。
タグ:
posted at 21:05:54
2022年02月10日(木)
依空まつり「サイレント・ウィッチ III 沈黙の魔女の隠しごと」読了。代表選手として参加したチェス大会の会場で〈沈黙の魔女〉モニカは因縁あるかつての旧友・バーニーとまさかの再会を果たす。そんな中、またしても第二王子の暗殺を目論む刺客が会場に紛れ込んでいて……。
タグ:
posted at 00:42:02
気弱で臆病だけど最強の引きこもり天才魔女が正体を隠し王子に迫る悪を密かに裁く学園ファンタジーミステリシリーズの三作目。といっても今回はミステリ要素は鳴りを潜め、代わりにこのシリーズのもう一つの特長であるモニカの成長物語としての面白さが前半のチェス大会で堪能できるようになっている。
タグ:
posted at 00:56:24
一方後半ではこのシリーズでしばしば感じられる少女漫画的なノリが前面に押し出されており、特に第二王子とモニカのロマンス(!)とセンチメンタルなエピソードは必見。更にそれに加えて次回以降に繋がってくるであろう伏線もあちこちに張られている気配があるので次回の学園祭編を楽しみに待ちたい。
タグ:
posted at 00:57:30
2022年02月11日(金)
池田雄一「カルチャーセンター殺人講座」読了。都心のカルチャーセンターで脚本家の飛池克久がミステリーシナリオの書き方講座の授業を始めた途端、血まみれの男が教室に飛び込んできて絶命した。被害者は飛池と同じ講師の一人である作曲家。やがてそれは講師たちを狙った連続殺人事件に発展する。
タグ:
posted at 18:46:10
カルチャーセンターを舞台にした連続殺人を扱った長編ミステリ。連続殺人と主人公が受け持つミステリーシナリオ講座がリンクする趣向自体は面白いものの、被害者たちがいずれも生徒である人妻たちと不倫関係にあり、ちょくちょく濡れ場が挿まる点はいかにも通俗的で好みが分かれるところだろう。
タグ:
posted at 18:46:46
作中で主人公の脚本家が度々タイトルを伏せた上で古今東西の有名ミステリのネタを割り、これをどうアレンジしようかという趣旨の発言をしているが、本作の展開もまた定番のネタを幾つか組み合わせて、ちょっとしたアレンジを加えたものが導入されている。
タグ:
posted at 18:47:36
但しあくまでちょっとしたアレンジに過ぎないためさほど意外性が感じられないのが難だがただ一点ある場面を国内作家Nのように活かした点は○。とはいえ色々アンフェアなところあるしオチも定番過ぎて面白みに欠けるものの二時間サスペンスみたいなものと割り切れば、これはこれで楽しめる作品である。
タグ:
posted at 18:48:01
2022年02月12日(土)
るーすぼーい/古屋庵「無能なナナ」9巻読了。モエ編完結。倒叙展開を巧く隠れ蓑にしたサプライズもさることながら「なぜあえて轢き逃げという殺害方法を選んだのか?」が真相にきちんと説得力を与えていて○。そしてメインの物語も大きく動き出し、次の舞台はまさかの刑務所……?(何にせよ楽しみ)
タグ:
posted at 13:20:35
池田雄一「裏番組連続殺人事件」読了。地下5メートルもの深さに埋められていた白骨死体。事件の捜査でドラマ撮影中の女優・杜七重に会いに盛岡に向かった新米刑事の石部はそこで全裸で殺されている七重の第一発見者となってしまった。しかも殺人はなぜかドラマの脚本通りの状況で行なわれていて――。
タグ:
posted at 16:21:34
ドラマの脚本通りに起こる連続殺人の謎を扱った長編ミステリ。前作「カルチャーセンター殺人講座」同様、本作もまたやたらと濡れ場が多いが、本作の場合それが後にトリックの重要な気付きとして機能する点がまず面白い。しかもそのトリックの成立にあたってTV業界の内幕が一役買っているのも○。
タグ:
posted at 16:21:55
もっとも後半で明かされる地下5メートルもの深さに埋められていた白骨死体の真相や女優殺しの隠されていた背景に関しては後出しかつ取って付けた感が否めないしオチの構図ももっと巧くやれたのではないかと思ってしまうものの徹頭徹尾TV業界ならではの事件を描いている点だけは評価できる作品である。
タグ:
posted at 16:22:14