麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年11月19日(土)
「ファイブ・デビルズ」観了。嗅覚に特別な力を持つ少女が母の隠された記憶に迫る話……なのだけど正直オチはありきたりで嗅覚を使ったタイムリープにしてもきちんと物語に活かされているとは言い難い。どちらかというとホラーの枠組だけを借りて様々な愛の形と選ばれなかった未来を描いた作品である。
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posted at 23:32:00
2022年11月18日(金)
しかしながら本作の最大の見所は事件を通して探偵役である小四郎が得たものが最終話でどう結実するかであり、その結果が史実の非情さと相俟ってタイトルにもなっている「虹の涯」の意味を際立たせる点が実に秀逸。と同時にその積み重ねが前述したホワイダニットに対する説得力にも繋がっているのは○。
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posted at 21:31:14
そんな本作をミステリとしてみると収録された全四話中三話までは不可能犯罪を巡るハウダニット、そして最終話のみ戦場に出没する謎の殺人鬼の動機を巡るホワイダニットを扱っているが、いずれもシンプルかつ伏線が丁寧なこともあって謎解きに至る前に真相に気付くのはそれほど難しくはないだろう。
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作者が得意とする連作時代ミステリ第三弾。前二作と同じ江戸時代末期を舞台としつつも本作ではこれまでとは異なり歴史上の人物である天狗党――尊皇攘夷の思想を深くした水戸藩過激派の首領格である藤田小四郎を探偵役にしているのが特徴で、事件を通して彼の人生を活写してみせる。
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戸田義長「虹の涯」読了。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる父の死の真相。蔵の中での不可能殺人。燃える密室で起きた傷害事件。そして戦場に度々現れる殺人鬼〈化人〉の謎――。天狗党の首領格・藤田小四郎が昔馴染みの漢方医・山川穂継と共に四つの難事件を解き明かした先に待つものは?
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2022年11月17日(木)
花林ソラ/伏見航介「ウェルベルム ―言葉の戦争―」2巻読了。今回から物語の情報量と新キャラが一気に増え1巻の時よりもぐっと面白くなった。またミステリ的な見所も健在で現場に残された不自然な痕跡から狙撃犯の能力と位置を特定する過程が実にスリリング(あとヒロインもより可愛くなってきて○)
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2022年11月16日(水)
ただ欲を言えばもう少し決定的な伏線を張ってほしかった気もするが、それを差し引いてもタイトルに象徴される作者がやりたかったことは実現できていると思う。少なくとも七不思議というオカルト設定ならではのボーイミーツガール物としては楽しめる作品である。
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posted at 23:26:23
とはいえ七不思議の謎に関しては読者に端から解かせる気はなく所謂ミステリ的な醍醐味にも乏しいため、そこに期待するとやや肩透かしを覚えるかもしれない。しかしながら最後に明かされるある事実は国内作家Aの某作を彷彿とさせるものの、それまでの流れを活かした青春ミステリらしい苦さがあって○。
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posted at 23:26:02
「豚のレバーは加熱しろ」の作者によるオカルト青春ミステリ。本作の内容を一言で例えるならば七不思議を題材にした脱出ゲームであり、七不思議の謎を解き明かさないと未来永劫異界と化した学校に囚われてしまうというペナルティーはある種のデスゲームに近いものがあるだろう。
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逆井卓馬「七日の夜を抜け出して」読了。遊辺高校の新入生・中里蓮は十二年前に校内で起きた神隠し事件を解明するため頂上探究部を訪れるが三人の生徒と共に超常的な力により学校に閉じ込められてしまう。しかもどうやらこの学校の七不思議を全て解き明かさないと永遠にここから出られないようで……。
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posted at 23:24:42
一方「形式的真実」は冒頭で形式的真実と実体的真実について説明をした上でそれを物語を通して実践してみせた点がまず秀逸。加えて過去と現実の事件で用いられたトリックも単純ながら絶妙に盲点をついているのも○で何より最終的に明らかになる構図に対するタイトルの強烈な皮肉が忘れ難い傑作である。
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posted at 09:14:23
「同化」は事件の真相自体はシンプルなものながら、そうとは気付かせないストーリーテリングの妙に唸らされる。そしてそれ以上に物語の進行と共にタイトルの意味合いが変わっていく点が秀逸で、最終的に犯人を追い詰める決め手となるある小道具の使い方も○。
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加藤元浩「Q.E.D.iff ―証明終了―」23巻読了。失踪を遂げたフラメンコ・ダンサーの女。その行方を追うにつれて二人の女の奇妙な関係と不審な痕跡が次々と見付かる「同化」、相続問題が原因で起きた傷害事件。その一方で執事が失踪し四年前の事故死にも殺人の疑いが浮上する「形式的真実」の二編収録。
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2022年11月12日(土)
「ドント・ウォーリー・ダーリン」観了。完璧な生活が保証された理想の街に隠された秘密とは?正直オチに関しては誰もが真っ先に思い付くものでかなりガッカリ。むしろオチが明かされるまでの不穏な空気を楽しむのが吉だが一方でラブラブ(死語)だった主人公夫婦のギャップも見所の一つかもしれない。
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posted at 19:57:30
「すずめの戸締まり」観了。「天気の子」よりも話が一貫しているのは○だが展開はかなりご都合主義&見せたいシーンを優先しすぎたせいか所々キャラの行動原理が謎だったり設定に説得力がなかったりと粗が目立つのが残念。なお終盤に明かされる事実で綾辻行人の某作を思い出したのは自分だけでいい。
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posted at 19:57:14
そしてそれと平行して虚実入り乱れていく展開がやがてSFとして収束していく様もまたこの作者らしさが窺えるがその一方で読者の想像に委ねた結末はやはりどこか幻想小説的だと思う。かなりの変態キャラも出てくるので決して万人受けとは言えないが、ある種の変格ミステリとしても楽しめる怪作である。
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posted at 01:14:59
『赤後家の殺人』さながらの殺人。走行中の車内で耳を切られて死んだ男。両目や両腕、両足を奪われた死体。意味のない密室に意味のないすり替え。そして目張り密室……いずれの真相もこの作者らしいハッタリがきいたものながら特に秀逸なのは最後の目張り密室で大胆な犯行と構図の反転が光っている。
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posted at 01:14:23
ミステリ作家の新珠静香が現実で巻き込まれる事件と何者かが静香の名前を騙って編集部に送り付けてくる「援交探偵(まさか上木らいちシリーズ以外でこの名称を見ることになろうとは!)・野添笙子シリーズ」の原稿で描かれる事件はどれも猟奇的な不可能犯罪ばかりで、真相の方も意外性に満ちている。
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posted at 01:13:36
本作について作者は後書きで「サイコ・スリラーであり、ニューロティックなサスペンスであり、広義な意味でのミステリーであり、アクション小説でもあります」と語っているが、自分は本作を読んでみて虚実入り乱れる幻想小説にして連作形式風の本格ミステリという印象を受けた。
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posted at 01:13:12
山田正紀「サイコトパス」読了。バラバラ死体にされたぼくの腕や足、頭がどこにいったのか捜してほしい――拘置所に収監中の男から奇妙な依頼を受けたミステリ作家の新珠静香。やがて彼女は自身が生み出した人気シリーズ「援交探偵・野添笙子」の原稿とリンクした猟奇的な不可能犯罪に巻き込まれていく。
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posted at 01:12:11
2022年11月09日(水)
その一方で積み上げた細かい謎と共に複雑な人間関係を解き明かしていく八木沼の推理も見応えがあり、目新しいトリックこそないものの、熟練した作者の技巧が堪能できる良作である。
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posted at 20:41:42
特筆すべきは密室という状況もさることながら殺害手段や大小様々なものが消失している事実など細かい謎を積み上げることでタイトルにもある通り事件の迷宮ぶりを際立たせている点であり、何となく真相が読めたと思っても更にその先がある一筋縄ではいかない事件の構図が○。
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posted at 20:41:20
大谷作品ではお馴染みの八木沢警部補が探偵役を務める長編ミステリ。とはいえ八木沢警部補が登場するのは物語の中盤以降であり、それまでは美奈子視点で次々と起こる不可解な事件の様子がサスペンスタッチで描かれる。
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posted at 20:40:33
大谷羊太郎「恋愛迷宮殺人事件」読了。美奈子はある日、恋人の忽一に妻がいることを知る。早速、高崎の妻のいる家へ向かった美奈子はそこで殺人現場を目撃。怯える美奈子は悩んだ末、友人の綾子に相談するが、その行動がやがて密室殺人を引き起こすことに――。八木沢警部補の推理が冴える。
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2022年11月05日(土)
これもまた読者にある程度着地点を予想させておいてからの急転直下の盲点をついた真相が素晴らしい。本作はバラエティーに富んだ趣向と作者の捻りのきいたプロットが楽しい、粒揃いの作品集である。
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posted at 15:47:12
犯人を絞り込む推理に主人公の置かれた状況を活かしている点も○だが、何よりも更にそこから一捻りした真相が実に見事である。次点は人物消失がテーマの「現れない」で、理想の恋人に出逢ったと語る女が不幸な事故で命を落とすが何故か通夜や葬式にもそれらしい男が現れない不可解な謎が描かれる。
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posted at 15:46:51
個人的にベストを挙げるとするなら倒叙をテーマにした「知る」で、末期癌に冒された主人公が偶然殺人の現場を目撃したことから自分の命を狙う何者かを推理するだけでなく、その人物に早く自分を殺すよう仕向けようとする展開がまず面白い。
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posted at 15:46:35
ミステリの様々な趣向に作者独自の料理法で挑むという試みの連作ミステリ。その点を踏まえて読むと確かに一編一編定型に囚われないこの作者らしさが窺えるのが好印象で、例えば表題作は暗号の大胆な提示の仕方もさることながらそれに誘拐を絡めたスリリングな展開、そして予想外の黒いオチが実に秀逸。
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posted at 15:46:17
笹沢左保「シェイクスピアの誘拐」読了。ハムレットを演じる名優・上杉夏也が舞台上から美貌の人妻・柏原絵美に投げた謎のメッセージが怪事件の幕開けだった――。暗号、安楽椅子、倒叙、不在証明、動機、人物消失、完全犯罪、そして怪奇と死体。一編ずつ異なる趣向を凝らした表題作含む八編を収録。
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posted at 15:45:58