麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年09月27日(火)
「ルチオ・フルチのマーダロック」観了。ダンススクールの生徒を襲う連続殺人を描いたジャッロ。フルチなのに残虐描写が殆どない点こそ物足りない反面ミステリとしてみると意外にも真っ当で犯人の手掛かりは勿論のこと途中の「幻想殺人」を彷彿とさせる展開にもちゃんと必然性が用意されているのは○。
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2022年09月24日(土)
「LAMB/ラム」観了。羊飼いの夫婦が羊から生まれた何かを育てる話。時折不穏な空気を漂わせつつも基本的には派手な展開もなく静かに物語が進行するが、それも終盤にあるとんでもないものが出てきて一変、唖然呆然のままEDを迎えることになる。とりあえず観たら思わず誰かに語りたくなる作品である。
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2022年09月23日(金)
そういう意味では「『樽の木荘』の悲劇」や「ジェフ・マールの追想」も見逃せないがどちらにしろ本作で作者の作品は最後だと思うとやはり寂しさは否めない。これだけ不可能犯罪に拘った作家は昨今では貴重であり、だからこそ巻末の二階堂黎人による解説や帯の文句が読後に胸に沁みてくる作品集である。
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加えて作者ならではの豪快なトリックも見所で、個人的には「暗号名『マトリョーシュカ』」と「鉄路に消えた断頭吏」がお気に入り。またたとえトリックが微妙だったとしても前述したミステリマニアならではのサービス精神によって巧くフォローされた作品が幾つかあり、充実した読後感を味わえるのが○。
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2013年に急逝した作者の未収録中短編全十編を収録した作品集。本作を読んで思うのはバラバラの中短編を集めた作品集であるにも拘わらず不思議と連作のような統一感を感じる点だがそれは単にどの作品も作者の拘りであるパスティーシュとミステリマニアならではのサービス精神が貫かれているからだろう。
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加賀美雅之「加賀美雅之未収録作品集」読了。五階の密室から燃えながら墜落した男、走行中の列車で起きた首切り殺人と三重密室……該博な知識と驚きに満ちたトリック設計、ゴシック・ミステリの香気をたたえた筆致で独自の地位を築いた作者のデビュー20周年に際して未収録だった中短編全十編を収載。
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2022年09月22日(木)
ただどんでん返しで作者が一番見せたかったのは恐らく今後探偵役と敵対するであろうキャラの登場でありそれと前作「忌木のマジナイ 作家・那々木悠志郎、最初の事件」のある事実と結び付けて因縁の深さを強調してみせる。そういった点から本作はシリーズのターニングポイントになりそうな佳作である。
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尤もそのタイムループの真相に関して言えばホラーとして落とし込むにはそれしかないよねというものながらその事実を示す伏線として単なるキャラ付けと思われたある小道具を活かしたのは面白い。またいいエピソードと思わせておいてどんでん返しでその逆の構図を示してみせるのも実に性格が悪くていい。
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ホラー作家で怪異譚蒐集家の那々木悠志郎が様々な怪異に遭遇するホラーミステリシリーズの四作目。今回は連続殺人が繰り返されるタイムループの謎という一見するとSF的とも言える現象を扱っているが怪奇現象や不穏なエピソードをそこに絡めることで、きちんとホラーらしい物語に仕上げている点は○。
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阿泉来堂「邪宗館の惨劇」読了。天田耕平たちが避難した廃墟はかつて信者が大量死した曰く付きの宗教施設だった。そこで耕平は残虐な連続殺人が何度も繰り返される謎のループ現象に陥ってしまうが、そんな彼の前に現れたのは怪異譚蒐集のため、この地を訪れたホラー作家・那々木悠志郎であった。
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2022年09月21日(水)
とはいえ本作のネタは前例があるものだし、「見えない精霊」に比べると謎の見せ方も巧くいっているとはお世辞にも言い難い。しかしながらタイトルが象徴する結末は作者がこれまで描いてきた風変わりな名探偵譚の一つとして味わい深い作品である。
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瀕死の名探偵とその相棒が逃げ込んだ古城の隠し部屋で伝説の魔物に襲われる長編ミステリ。前作「オレだけが名探偵を知っている」に引き続き本作もまた相当変な話だがカッパワン第1期20周年に合わせて書かれたためか、どことなく作者のデビュー作である「見えない精霊」を彷彿とさせるものがある。
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林泰広「魔物が書いた理屈っぽいラヴレター」読了。治療手段のない毒で意識を失った名探偵の君を連れて相棒の俺が数人と共に逃げ込んだのは不死身の魔物が召喚されたという古城の「空中牢獄」だった。その魔物が姿を現し次々に人が殺されていく中、俺は君の命を救うため必死のトリックを仕掛ける。
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posted at 22:58:11
もっとも最終的な真相に関しては途中で読める人もいるかもしれないが、それを差し引いても一体何を読まされているのか分からなくなる展開の連続は一度読んだら忘れられないインパクトがあるだろう。二百頁に満たない短い作品ながらその分作者のヤバさが凝縮された問題作である。
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posted at 22:54:03
しかしながらそんな有り得ない展開こそが石持浅海の真骨頂であり、更にそこから倫理観を置き去りにしてますます加速していくシュールなディスカッションには普通の読者であれば唖然呆然するところだが訓練された(?)石持ファンなら「待ってました!」と拍手喝采すること請け合いである。
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posted at 22:53:17
ツッコミ不可避なシュール過ぎるシチュエーションの長編ミステリ。まず殺人の現場を目撃した人間が多すぎだし(しかも全員目撃したのは別々の場所)その目撃した人間がなぜか全員犯人の殺害を計画し、あろうことか犯人がいる研修所にたまたま全員集結するという展開はもはやコントと言っていいだろう。
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石持浅海「高島太一を殺したい五人」読了。塾講師の高島太一が人を殺した。偶然その現場を目撃した五人の太一の同僚達はそれぞれの事情から警察には通報せず別々に太一を殺害することを計画。そして五人は太一が研修所で一人になるタイミングを狙って計画を実行に移すがそこでとんでもない事態が……。
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2022年09月17日(土)
だがその反面ある程度作者の作品を読んでいる読者からすると展開や「竜舌」の正体に既視感を覚えてしまうかもしれない。しかしながらそれを差し引いても積み重ねてきた物語を纏め上げる作者の確かな手腕に最後まで読ませられる作品である。
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作者が長年温めていたというホラーラブロマンス作品。悠久の時を超えて巡る愛と禍の因果を全五話の連作形式で描いた本作は大筋だけ見れば定番の伝奇ラブロマンス物ながら、そこに作者がこれまで描いてきたジャンルをこれでもかとぶちこんで壮大な物語に仕上げている点はさすがといったところだろう。
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posted at 17:31:18
宇佐美まこと「ドラゴンズ・タン」読了。古の中国で世界を滅ぼしたいという男の怨念から生まれた「竜舌」。古井戸に宿る奇異な生命体は漢、唐、明……と時代を経ながら歴史のはざまで姿を現しては暗躍し、人知れず不気味な存在へと変貌して行く。そして時は満ち、現代の日本で遂に竜がよみがえる――。
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2022年09月16日(金)
そして何より本作が秀逸なのはこの舞台を選んだ必然性であり、それが前述した名探偵テーマと結び付き、最後の最後で○○○○に象徴される究極のホワイダニットを読者に突き付けるのが最高にクールの一言に尽きる。本作は前作から更に完成度を上げた、現時点での作者の最高傑作である。
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posted at 22:43:00
というのも仮に最初の推理で終わったとしても充分良作レベルなのに、そこから推理のビルド&スクラップが展開されるにつれ、意外なところから伏線を回収するだけでなくロジックに奇想まで取り込んで確実に秀作レベル、傑作レベルと段階を経て推理の凄みが増しているのがよく分かるのだ。
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posted at 22:42:43
だがそれ以上に見所なのは帯にも書かれている「圧巻の解決編150ページ!」であり、そこではカルト教団の信仰をロジックで覆すべく作者お馴染みの多重推理が展開するわけだが、これがなかなかどうして、いつも以上に凄まじい切れ味で畏れ入る。
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posted at 22:42:03
「名探偵のはらわた」に続く名探偵をテーマにしたシリーズの二作目。といっても物語としての直接的な繋がりはないので本作から読んでも特に問題はない。それはさておき前作が連作だったのに対し本作は長編で、ある意味タイムリーな(?)カルト教団の本拠地で続発する不可能犯罪の謎で魅せてくれる。
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posted at 22:41:28
白井智之「名探偵のいけにえ」読了。病気も怪我も存在せず失われた四肢さえ蘇る奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒はそこで次々と不可能状況下で起きる連続殺人に遭遇する。奇蹟を信じる人々に現実世界のロジックは通用するのか?
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2022年09月15日(木)
但し表題作のみはミステリでいうところの○○○○○テーマとして捉えることもでき、ちょっとした意外性が味わえるだろう。とはいえ前二作のようなミステリと思って読むと間違いなく肩透かしを覚えることになるので、端から別物として読んだ方が吉な作品である。
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「黒野葉月は鳥籠で眠らない」「301号室の聖者」に続き新米弁護士の木村が活躍する連作短編集。帯に「連作リーガル・ミステリー」と書かれているが実際読んでみると前二作ほどミステリ寄りではなくどちらかというと弁護士が厄介な依頼を機転を利かせて解決するお仕事小説の色合いが強いように思える。
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織守きょうや「悲鳴だけ聞こえない」読了。新米弁護士の木村は顧問先の企業からパワハラ調査を依頼される。だがパワハラを訴える投書はあるものの、被害者も加害者もわからず、社員の聞き取り調査を始める。表題作の他、四編収録。
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2022年09月13日(火)
しかしながら本作の本領はミステリ部分が絡むことでより際立つドラマ性であり、殺人事件を含めた様々なトラブルを主人公と彼の相棒である沢本がどう乗り越え、タイトルにもある「豪球復活」に繋げていくのか、気付けばその物語の虜になること請け合いの良作である。
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posted at 19:09:51
一方ミステリとしてみると消えるボールの謎は魅力的だが真相を期待すると正直肩透かしと言わざるを得ない。また主人公に隠されたもう一つの秘密に関してもかなり早い段階で読めてしまう人が少なからずいることだろう。
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再起を目指す記憶喪失の天才投手の前に立ちはだかる奇妙な殺人事件の謎を描いた長編ミステリ。作者が以前書いたゴルフを題材にした「救済のゲーム」はミステリとしては勿論、ゴルフ小説としてもすこぶる面白かったが、野球を題材にした本作もまた野球小説として非常に面白い作品となっている。
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posted at 19:09:14
河合莞爾「豪球復活」読了。記憶障害により全てを忘れてしまった天才投手・矢神大。ブルペンキャッチャーの沢本拓と共に再起を目指す彼はある日、昔の自分が書いたと思しきノートを発見する。そこには失われた豪速球の投げ方と「俺は消えるボールで人を殺した」という奇妙な殺人の告白が書かれていた。
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posted at 19:08:55