麻里邑圭人
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- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年10月27日(木)


いや、正確に言えば五人のうち一人だけをある方法で除外して以下次号(実際続くかどうかはともかく)で終わるので正直本作だけでは何とも判断がつかないのだ。まあこの設定を一作限りで終わらせるのは惜しいと思うのは分からないでもないが、お陰でミステリとしてはかなり消化不良と言わざるを得ない。
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久住四季と並ぶラノベミステリ界の雄(?)田代裕彦の新作は五人の美少女の中からたった一人だけ自分のことを愛する娘を選ばなければ待つのは破滅という新機軸・デッド・エンド・ハーレム物。これでその一人を見付け出すフーダニット展開になれば良かったのだが、残念ながらそうは問屋が卸さなかった。
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田代裕彦「修羅場な俺と乙女禁猟区」読了。ある日、節は大財閥の長にして父の十慈郎から婚約者候補として五人の美少女を紹介される。急な話に面食らう節だったがこの話には続きがあった。十慈郎は言う。「この娘たちはお前のことを殺したいほど憎んでいる。だがこの中にお前を愛する娘も一人いる」と。
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2011年10月25日(火)

故に本作における優佳の役回りは探偵役というより、この対決の審判役といった方が正しい。とはいえ推理マシーンとしての恐ろしさ(?)は健在なので、そちらを楽しみにしている人たちはご安心を。果たして犯人と被害者のどちらに軍配が上がるのか、最後の一行まで油断ならない作品である。
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石持浅海「彼女が追ってくる」読了。碓氷優佳を探偵役とする倒叙ミステリシリーズの第三弾。初めて本作のタイトルを見た時、自分はてっきり「彼女」とは優佳のことかとばかり思っていたのだが、さにあらず。実際は被害者のことを意味している。つまり本作の趣向は、犯人と被害者の対決なのである。
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2011年10月23日(日)

とはいえその前半にしても一見オーソドックスなミステリのように思えてその実、密室の扱いがぞんざいだったりどこか歪さが窺えはしたが後半の弾けぶりはその比ではない。特に弾けていたのは「更新世の殺人」と「正直者の逆説」だが、伏線フェチの自分としては「自らの伝言」をベストに推したいと思う。
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小林泰三「大きな森の小さな密室」読了。犯人当て、倒叙ミステリ、日常の謎、バカミス、SFミステリ等々バリエーション豊かな七編が収録された本作は、後半になればなるほど怪作ばかりになっていく構成がまず面白い。
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2011年10月22日(土)

これが最初から計算して描かれたものなのか、それとも途中から思い付いたものなのかは分からないが、どちらにしろかなり上手く繋げていることに変わりはない。正直この真相を見抜くのは厳しいと思うが、本作はむしろどこに着地するか分からない、良い意味で先の見えない展開を楽しみたい。
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個人的に好きだったのは密室で発見された死者を巡る第四話「面倒な館」で、元ネタは十中八九作者が敬愛する島田荘司の某作品だろう。だが、そんなコミカルな前半とは打って変わって、後半はシリアス全開の異世界本格ミステリになり、意外な構図が明らかになる。
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石黒正数「外天楼」読了。捨てられたエロ本の持ち主分析、宇宙刑事と悪の組織との戦闘中に起こった殺人、様々な解釈ができてしまうダイイング・メッセージ……外天閣と呼ばれる建物に纏わる珍事件の数々を描いた本作は、前半はミステリ好きの作者らしいパロディネタが楽しい。
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2011年10月21日(金)

不満点を挙げるならば、SF設定ならではの技巧的な面白さがあまり感じられないことだが、単純に「ちょっと不思議ないい話」を読みたい人にとっては問題なく楽しめるだろう。
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蘇部健一の新作は「恋時雨」路線のSFファンタジーだが、ただ奇跡が起こって救われる安易なハッピーエンド物にしていない点は個人的に好印象。得意のイラストによる演出も作品から浮くことなく、綺麗に溶け込んでいると思う。
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蘇部健一「古い腕時計 きのう逢えたら…」読了。片思い中の青年、プロ野球選手、お笑い芸人、借金を抱えた元ラーメン屋、作家志望の男、時効を待つひき逃げ犯、見習い棋士……偶然にも一日だけ時間を巻き戻せる不思議な腕時計を手に入れた七人の物語。「まちがった時間は、正さなければなりません」
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ポー作品の新解釈やペダンチック講義が楽しい反面、モチーフに拘り過ぎるあまり、ミステリとして些か苦しいものもなくはない。だが一方で優れた短編もあり、例えば第三話「水のレトリック」は香水に纏わるミステリアスな悲恋話が、思わぬ伏線と結び付いて仄かに甘い構図を浮かび上がらせる点が秀逸。
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森晶麿「黒猫の遊歩あるいは美学講義」読了。モルグ街の殺人事件、黒猫、マリー・ロジェの謎、盗まれた手紙、黄金虫、大鴉……ポーの作品をモチーフにした六つの事件を「黒猫」と呼ばれる芸術学専門の若き大学教授が鮮やかに解き明かす本作は、探偵小説の持つ詩的な美しさに満ちた連作短編集である。
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2011年10月18日(火)

唯一の不満は推理要素が少ないのと雛祭りの真相にあまり意外性がないことくらいだが、前者に関しては作品の性質上仕方ない部分もあると思う。だが、それを差し引いても、本作がリーダビリティ抜群の良質なエンターテイメント作品であることに変わりはない。
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一言でいうなら最先端医療サスペンスと三津田的異形世界のハイブリッド。複雑に入り組んだ死の連鎖を纏めあげる手腕はただ者ではない。確かに帯で謳っている殺人トリックは非常に面白いが、それよりも個人的に感心したのは奇病が生まれた背景で、これに心を擽られないホラー好きは恐らくいないだろう。
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吉田恭教「変若水」読了。厚生労働省に勤務する俊介は幼馴染み・玲子の突然死の背後にある病院の内部告発の真相を追及するうちに変若水という奇妙な村に辿り着く。誰も見てはならない雛祭り、墓荒らし、奇病、行方不明になったハイキング客……次々と浮かび上がる不可解な出来事は何を意味するのか?
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2011年10月17日(月)

しかも、それを利用して計画を立てたはずの犯人が、その密室に足許を掬われるという皮肉な構成が実に素晴らしい。個人的には近年の「Q.E.D.」の傑作の一つに挙げたい出来だったと思う。
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孤島の館で起きる密室殺人の解明を目的としたミステリーツアーの模擬体験中に、本当の密室殺人が発生してしまうこの話は、〈密室がどうやって作られたのか?〉という前半の趣旨が後半で起きる事件の絶妙な目眩ましになっている点がまず秀逸。
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「Q.E.D.」40巻読了。四角関係にある男女二組が盗難事件の容疑者になる「四角関係」もよくできているが、目玉は何と言っても「Q.E.D.」初のコミックス描き下ろし中編「密室 No.4」だろう。
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2011年10月14日(金)

一応、ミステリらしく終盤でノーマジーンの正体とその目的が明らかになるが、それにしてもミステリ本来の「やられた」という醍醐味とは些か異なる。あくまで寓話の域を出ることはないが、それ故に考えさせられるところも多い作品に仕上がっていると思う。
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posted at 20:54:24

まず最初に断っておくと、本作の寓話的設定はトリックを成立させるためのものではない。基本的にそれはノーマジーンとシズカの絆を効果的に描き出すために存在するが、どこか今の社会と被る部分のあるその世界観は、読み手によって色々思うところもあるだろう。
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posted at 20:52:37

初野晴「ノーマジーン」読了。終末論が囁かれる荒廃した世界。車椅子で生活をする鞄職人のシズカは介護ロボット支給の抽選に当選するが、肝心のロボットは届かず、代わりに現れたのは言葉を話す赤毛のサル・ノーマジーンだった。ノーマジーンは言う。「シズカの背中を押すためにぼくはきたんだ」
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2011年10月13日(木)

故に本作を読んで巧いなと思うことはあれど、やられたと思うことはない。『葉桜』がミステリ作家・歌野晶午の代表作なら、本作は差し詰め、小説家・歌野晶午の代表作になる可能性を秘めた作品である。
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posted at 22:08:23

但し、それは本作が『葉桜』に劣っているという意味では断じてない。考えようによっては本作も『葉桜』同様、あるネタを成立させるために作られた物語と言えなくはないが、サプライズ重視だった『葉桜』と違い、本作はあくまで説得力重視で書かれている。
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posted at 22:07:46

歌野晶午「春から夏、やがて冬」読了。『葉桜に君を想うということ』を超える衝撃がいま――という帯の文句から多分本作を読むミステリファンの大半が『葉桜』を念頭に置くだろうと思われるが、結論から言うとそれは間違っている。『葉桜』のような驚きを求めると十中八九肩透かしを覚えることだろう。
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2011年10月12日(水)

個人的に感銘を受けたのは第二話「幽霊屋敷の時間の渦」で、新築の家に出没する幽霊の謎が真下の手にかかるとどうなるか一読の価値あり。また第四話「アリバイ崩しにご用心」でも唖然とするような解決をでっち上げてくれる。本作は西澤ファンはもとより殊能ファンにも読んでもらいたい作品である。
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この真下というキャラ、名探偵になりきるあまり、真相に関係なく本格ミステリ顔負けの解決をでっち上げ、事件を解決した気になるという困った性格だったりする。故にどんな事件であろうと、真下の手にかかれば本格ミステリになってしまうのである。
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posted at 21:12:14

本作が西澤保彦の「チョーモンインシリーズ」に影響を与えていると聞き、読んでみたのだが、成る程、確かにミステリとして非常に興味深い内容になっている。基本的には本作で起こる事件はSFのカテゴリに入るものだが、そんな本作をミステリたらしめているのは「幻想探偵社」所長・真下の存在である。
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清水義範「こちら幻想探偵社」読了。やむを得ぬ事情で大学時代からの友人・真下と共に探偵社を始めることになったおれ。名探偵を気取る真下は本格ミステリーに出てくるような事件との出会いに胸をときめかせているようだが、実際はミステリー違いの奇々怪々な事件ばかりで……。
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