麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年06月05日(金)
その一方で解決の仕方はこのシリーズならではのものであり、そこに作者の考える探偵役の在り方が透けて見えるようで興味深い。本作はシリーズの異色作にして、ある種の怪奇ミステリとしても楽しめる秀作である。
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本作のあとがきで作者は「昭和初期くらいの夢幻と怪しい理屈がごっちゃになったような奇想小説が好き」と語っているが本作は正にそれを体現したような内容になっており、ある奇想を成立させるために構築された舞台設定や幻惑的な演出、様々な蘊蓄はさながら京極夏彦の百鬼夜行シリーズを思わせる。
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「子ひつじは迷わない」シリーズ四作目にして初の長編である本作はこれまで扱ってきた日常の謎とは打って変わって、まさかの館ミステリに。しかしながら同時に目次に並ぶ「ねじの回転」や「閉じた本」といった章題からも分かる通り、怪奇小説としての側面も持ち合わせている。
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玩具堂「子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき」読了。「迷わない子ひつじの会」の面々が泊まり込みアルバイトでやってきたのは「万鏡館」という名前とは裏腹に一切鏡がなく、中も外も全て白と黒で統一された奇妙な館だった。館の主人である美少女・芳花が鏡を見ることを禁じる理由とは?
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2020年06月04日(木)
そこで描かれるのはシリーズの主要登場人物たちのキャラの掘り下げと関係性の変化であり、シリーズ読者であれば見逃せない作品と言えるだろう。ちなみに唯一ミステリである水泳部での盗難事件を扱った第一話はネタこそよくあるものだが真相を水泳部らしいやり方で補強しているのが興味深い一編である。
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日常の謎系学園ミステリ「子ひつじは迷わない」シリーズの三作目。これまでの二作は日常の謎を扱ったミステリ短編が二編ないし三編ほど続いた後、最後に青春小説で纏める構成だったが、本作は実質ミステリと言えるのは最初の一編のみで、どちらかというと青春小説がメインの内容となっている。
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玩具堂「子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき」読了。水泳部で起きた校章盗難、自宅に呼んだ恋人が疎遠になった理由――今日も生徒からの悩みに答える「迷わない子ひつじの会」だったが、ある時「クラスメイトに絶好された」という相談を聞いてメンバーの一人・成田真一朗の様子がおかしくなり……。
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2020年06月03日(水)
そして最終話は前作同様ミステリではなく青春小説として着地させているが、今回はそこにスポーツ小説要素も加わり更に読み応えのある内容に仕上がっている。本作は前作以上にミステリ的技巧に磨きがかかった秀作である。
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一方ミステリ的巧さで言えば喫茶店でオムライスが出た日に決まって小動物や昆虫の死体が遺棄される第二話で、真相だけ取り出せば何てことないものだが、この話の見所は真相に辿り着くまでの過程で解き明かされる登場人物たちの隠された関係であり、それによって見えてくる人間ドラマが実に秀逸。
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ミステリ的に凄いことをやっているのは奇妙な国語のテスト問題に挑む第一話で、本来ロジカルに解かれることはない国語の問題をある発想に基づくロジックで鮮やかに解いてしまう本作は正に目から鱗であり、これはもはや一つの発明と言っても決して過言ではないだろう。
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日常の謎系学園ミステリ「子ひつじは迷わない」シリーズの二作目。前作が四話構成だったのに対し本作は三話構成と一話少なくなっているものの、だからといって前作からパワーダウンしたわけではない。それどころかミステリとしてのクオリティーで言えば間違いなく前作以上である。
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玩具堂「子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき」再読了。生徒からの悩みに答える「迷わない子ひつじの会」に今回持ち込まれたのは、恋の行方に関わる奇妙な国語のテスト、オムライスが呼ぶ死体遺棄(?)事件、一人の部員の対処に悩むソフトボール部顧問と、いずれも厄介な案件ばかりで――。
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2020年06月02日(火)
特にそれが顕著なのは第一話で、こういう形式だからこそできる仕掛けには素直に感心した。尤も最後の話のみ青春小説として着地させた点は賛否分かれるところかもしれないが、登場人物の関係性を巧く連作の纏めに落とし込んでいるのは○。本作は肩肘張らずに楽しめる青春ミステリの快作である。
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第15回スニーカー大賞《大賞》受賞作。全四話構成の日常の謎系連作ミステリである本作が扱っている謎はラブレターの差出人を探したり宇宙怪獣(!)の倒し方を考えたりするなど基本的に他愛のないものばかりだが、だからこそさりげなく盛り込まれたミステリ的技巧が光る内容に仕上がっている。
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玩具堂「子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき」再読了。生徒会が毎週水曜日の放課後に生徒たちの悩みを聞き、解決する相談会「迷わない子ひつじの会」。そこに持ち込まれる様々な悩みを解決するのは生徒会の精鋭メンバー……ではなく、その隣の資料室に居座る文芸部の幽霊部員、仙波明希だった。
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2020年05月28日(木)
加えて本作は本格ミステリとしてもかなり練り込まれており、特に第二の殺人における死体を解体した理由や第一の殺人のある些細な手がかりから犯人が絞り込まれる過程が秀逸。本作は作者初の読者への挑戦状もとい質問状が入っているところからも作者の意気込みのほどが窺える傑作である。
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そこに込められた意味には戦争経験者である作者にしか書けない凄まじさがあり、それが犯人の叫びを通して読者の心に深く突き刺さることになる。だからこそ、最後に明かされるこの作者らしいある趣向が一層泣かせるのだ。この心憎いばかりの計算は正に大ベテランしか成し得ない技巧と言っていいだろう。
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「深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説」に引き続き那珂一兵が探偵役を務める“昭和ミステリ”シリーズの二作目。前作が「探偵小説」だったのに対し本作では「推理小説」となっているのには勿論ちゃんと意味があるのだが、それ以上に読者の胸を打つのはたかが殺人じゃないかという奇妙なタイトルだろう。
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辻真先「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」読了。昭和24年、名古屋市内の新制高校三年生になった風早勝利は所属する推理小説研究会と映画研究会の合同一泊旅行の旅先で密室殺人に巻き込まれる。更に夏休み最終日の台風が襲来した夜、廃墟でバラバラ殺人に遭遇。二つの事件の繋がりとは?
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2020年05月27日(水)
そして本作を本格ミステリとしてみた場合、序盤から仕掛けられたある大胆なミスディレクションと、第二の殺人の奇妙な状況に隠された盲点をつくトリックが秀逸。ただその反面、連続殺人のサスペンス性を優先したのかもしれないが、後半の幾つかの殺人には些かアンフェアな感が否めないのが気になる。
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呪術師の末裔が住む曰く付きの島で連続殺人が起きるクローズド・サークル物。舞台設定や民俗学マニアの探偵役が出てくる点などから三津田信三の刀城言耶シリーズを思い浮かべる人がいるかもしれないが本作はあそこまでホラー寄りではなく、展開はあくまでクローズド・サークル物の定番に沿ったものだ。
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posted at 21:37:02
萩原麻里「呪殺島の殺人」読了。呪術者として穢れを背負った祖先が暮らした島・赤江島。そこに建つ屋敷の一室で僕が目を覚ますと目の前に作家・赤江神楽の刺殺体があった。だが全ての記憶がないばかりか現場は密室で殺せたのは僕しかいない状況だった。そして、それこそが連続殺人劇の幕開けだった。
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2020年05月25日(月)
なお本作についてあとがきには作者なりの「探偵小説」を目指したと書かれているが、その言葉通り、最後に語られる探偵役が事件の謎を解くスタンスがなかなか興味深く、そういう意味でも今後の探偵トリオ(?)の活躍がますます気になること請け合いの良作である。
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posted at 18:19:38
また人物画に突き立てられたナイフの謎を巡る「放課後、はさまれる、ひっくり返る」にしても、密室状況や関係者を集めた謎解きというミステリのお約束を踏まえつつ、それを鮮やかに裏切ってみせる手腕と日常の謎物らしい人間心理を丁寧に解きほぐしていく様が素晴らしい。
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posted at 18:19:14
特にそれが顕著なのは○士見ミステリー文庫が元ネタと思しきレーベルから出ていた推理小説のカバーだけ(!)が手掛かりという掟破りの犯人当て「史上最薄殺人事件」で、ネタそのものは国内作家Sの某作という前例があるものの、某作とはまた違ったアプローチで犯人と動機を突き止めてみせる点が秀逸。
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ライトノベルミステリ「子ひつじは迷わない」シリーズの作者による双子姉妹と一緒に日常の謎を解き明かす連作ミステリ。本作について作者はあとがきで「ミステリと言うよりはクイズ・ストーリー」と謙遜しているが本作で扱われている三つの事件からはいずれもミステリセンス溢れるずらしが感じられる。
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玩具堂「探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる」読了。親の仕事が探偵と明かしたせいで俺の許に持ち込まれる事件の数々。推理小説のカバーだけが手掛かりの犯人当て、人物画に突き立てられたナイフ。そして俺はなぜか両隣の席の山田姉妹と事件を解決することに……。
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2020年05月23日(土)
また犯人を突き止めた後の証拠固めに関しても抜かりがなく、何気ないシーンに隠された伏線が次々と回収されていく手際が実に見事。このシリーズらしい後味の良さできっちり締めてくれる、ジュブナイル本格の佳作である。
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そして本作もまたこれまでのシリーズ作品同様、フーダニットに力が入れられているが、今回はその不可能状況に拘ることで犯人の正体が見えてくる作りになっており、そこに仕掛けられたトリックはシリーズ三作中、最も凝っていると言っていいだろう。
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夏休みだけ探偵団シリーズの三作目。赤いペンキまみれの猫に端を発するニセ消防車を使った奇妙な絵画盗難という事件内容も魅力的だが、今回はそれに加えて一週間で事件を解決しなくてはいけないというタイムリミットとある不可能状況下の謎まで盛り込まれており、物語を一層盛り上げてくれる。
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新庄節美「夏休みだけ探偵団〈3〉桃太郎の赤い足あと事件」読了。なぜか赤いペンキまみれのノラネコ・桃太郎の赤い足あとを辿っていくと、人気のない倉庫にニセ消防車が隠されていた。やがてそれは貿易商宅で起きた奇妙な絵画盗難事件へと繋がっていく。……さあ、夏休みだけ探偵団の出番だ。
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