麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年02月29日(水)
探偵役が謎解きを始めた途端、今まで見えていた構図はガラリと反転し、次々と伏線が明かされていく様は正に快感の一言。特に伏線の隠し方の巧さという点では西澤作品の中でもかなり上位に入るのではないだろうか。また本作の登場人物である麻里の読書傾向に作者のミステリ遍歴が垣間見えるのも面白い。
タグ:
posted at 21:19:15
これ、なんてカジタツ?(誉め言葉) 本作は伏線と構図を何より重視する自分のような読者には格好の贈り物となるだろう作品である。扱っている事件含め、本作の展開は一見地味に思えるが、それも事件をモデルにした小説が探偵役である響季姉妹に託されてから一変する。
タグ:
posted at 21:18:45
西澤保彦「幻想即興曲 響季姉妹探偵 ショパン篇」読了。医者の夫を刺殺した容疑で逮捕されたピアノ教師。だが小学生の麻里は事件同時に彼女が別の場所でピアノを弾く彼女の姿を目撃していた。それから四十年後、作家になった麻里から事件をモデルにした小説を受け取った響季姉妹が真相を推理する。
タグ:
posted at 21:18:24
2012年02月28日(火)
面白かった。前作では一部のヒロイン以外はイマイチ影が薄い印象だったが、本作ではちゃんと全ヒロインのキャラが立っているのがいい。また前作ではただの引っかけで婚約者を一人脱落させていたのに対し本作では可能性を徹底的に潰した後でロジックの死角を突くというミステリ的な技巧で魅せてくれる。
タグ:
posted at 13:16:45
田代裕彦「修羅場な俺と乙女禁猟区2」読了。俺のことを殺したい程憎んでいる五人の婚約者候補の中からただ一人純粋に愛してくれる者を選ばなければいけない恐怖のゲーム「デッド・エンド・ハーレム」第2弾。今回はゲームの企画者である父から「あとひと月の間に選べ」と期限をつけられてしまい――。
タグ:
posted at 13:15:39
2012年02月27日(月)
「少年探偵セディ・エロル」シリーズの一作目。探偵役の設定は面白いと思うものの、同じ作者の「アイドルは名探偵」シリーズの一作目同様ミステリとしては特に語るところはない。どちらかと言えば本作は、シリーズキャラの顔見せ的なものなのだろう。
タグ:
posted at 17:58:52
井上ほのか「名探偵を起こさないで」読了。眉子・アロウラスは『少年探偵セディ・エロル』シリーズを愛読する内気な14歳の女の子。ところがある日事故のショックで人格が入れ換わり件の少年探偵セディになってしまう。それどころか怪盗事件や殺人事件に対し大人顔負けの名推理をするようになり――。
タグ:
posted at 17:58:13
2012年02月25日(土)
個人的なベストは「粘膜人間」のあのコンビが被疑者の拷問に精を出す(?)「極光」で、まさか「粘膜兄弟」で強烈なインパクトを残したアレがオチに関わってくるとは思わなかったw 本作から読んでも支障はないが、できれば粘膜シリーズの過去作を読んでからの方がより一層楽しめる作品である。
タグ:
posted at 16:09:02
なお本作の内容紹介には「目眩く謎と恐怖が迫る、奇跡のミステリ・ホラー」とあるけれど、収録作の中でミステリと言えるのは「石榴」くらいだろう。この短編を読むと、作者が意識して展開の落差によってグロテスクな真相を際立たせようとしているのがよく分かる。
タグ:
posted at 16:07:37
飴村行「粘膜戦士」読了。これまでの粘膜シリーズと同じ世界観で展開する五つの物語を収録した著者初の短編集。その一方で粘膜シリーズの読者には馴染みのある人物も登場するので、見方によっては京極堂シリーズにおける「百鬼夜行 陰」のようなサイドストーリー集としても楽しむことができる。
タグ:
posted at 16:06:58
2012年02月24日(金)
収録作はどれも初心者向け推理クイズの域を出ていないため、過剰な期待をすると肩透かしを覚えるが、最初からそういうものだと割り切ればある程度は楽しむことができるだろう。唯一の例外は「アリバイ」だが、生憎アリバイ物が苦手な自分には良さが全く分からなかった……。
タグ:
posted at 21:23:32
鮎川哲也「この謎が解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状!1」読了。犯人当てドラマ「私だけが知っている」のために執筆されたシナリオ7編を収録した作品集。まず本作には鮎川哲也の未完の作品「白樺荘事件」と同名のシナリオが収録されているが、これは題名が同じだけの別物なので、注意されたし。
タグ:
posted at 21:23:03
2012年02月23日(木)
また従来の小島作品というと謎の詰め込み過ぎが災いしてどこか散漫な印象が否めなかったが、本作ではちゃんとこれといったインパクトのある大仕掛けがあるのがいい。若干、三津田信三の某作を彷彿とさせるものの、個人的には作者が新しい一歩を踏み出した作品として評価したい。
タグ:
posted at 13:30:08
だが一番注目すべきポイントはそこではなく、犯人に関わる仕掛けにある。全てはここから逆算して作られており、それ以外のトリックはこの仕掛けから目をそらすための煙幕に過ぎない。この構造は島田荘司作品には見られないものだ。
タグ:
posted at 13:29:30
小島正樹といえば島田荘司のフォロワーとして名前が挙がることが多い作家だが、本作はその小島正樹が島田荘司とは決定的に違うことを初めてアピールした記念すべき作品である。確かに本作で起こる奇怪な現象の数々とその解決の仕方だけ取り出せば島田荘司的と言えるかもしれない。
タグ:
posted at 13:28:56
小島正樹「綺譚の島」読了。風もないのに木が揺れ、魚は死に絶え、海は赤く染まり、土中からは鈴の音が聞こえる……「よそもの殺し」の島で続発する、現実とは思えない奇怪な現象の数々。更に「贄の式」に参加した者たちが、次々と不可解な状況で殺されていく。
タグ:
posted at 13:28:31
2012年02月22日(水)
また、ある程度ご都合主義なのは少女小説だから目を瞑るにしても、話の纏め方が強引なのが些か気になる。できることなら頁数を増やしてでも、もう少し丁寧に仕上げてほしかった。しかし二作目が暗号&宝探しなのは、風見潤「スキー場幽霊事件」や有栖川有栖「孤島パズル」とダブって仕方がない……。
タグ:
posted at 18:38:51
井上ほのか「それはKISSから始まった」読了。人気アイドル・真名子と新人歌手の克樹のコンビが活躍するシリーズの第二弾。今回は宝石探しに暗号、そしてギャングに誘拐されたマネージャーの救出劇と見所は多い反面、前作に比べるとミステリ要素は低い。
タグ:
posted at 18:38:20
うーん……島田荘司推薦でデビューした作家ということで少なからず期待していたのだけど、正直ミステリの出来としては厳しい。犯人特定の根拠が弱い、トリックに捻りがない、ダイイング・メッセージがあからさま過ぎるなど、欠点を挙げたらキリがない。
タグ:
posted at 18:37:02
井上ほのか「アイドルは名探偵」読了。大作映画「帝王の館」の主役が事故死し、急遽代役を決めることになった。だがそれを妨害するかのように関係者の間に脅迫状が舞い込み、遂には代役候補の一人が撮影中に殺害される事件が発生。人気アイドルの真名子と新人歌手の克樹のコンビが犯人探しに乗り出す。
タグ:
posted at 18:36:34
2012年02月21日(火)
一応トリックらしきものはあるものの、前に読んだ「細い赤い糸」に比べるとミステリ的な見所はほとんどない。しかしながら作者が描きたいことは一貫しているように感じた。「青いリボン」が象徴する過ちがその後どのような結果を齎すことになるのか。その皮肉な構図が色々と感慨深い作品である。
タグ:
posted at 18:54:47
本作については作者のあとがきが端的に言い表している。『過去に他人を犠牲にしてうまく世の中を渡ってきた男が、死期を迎えて昔のことが気になり、自分の犠牲になった人たちのその後を調べ出す。するとその「過去」がまだ生きていて、新しい悲劇を引き起こしてくるという話です』
タグ:
posted at 18:53:55
飛鳥高「青いリボンの誘惑」読了。三谷裕は死期の近い父の健三から、昔長野の加荘市にある工場で一緒に働いていた同僚の家族が今どんな風に暮らしているか調べてほしいと頼まれる。時を同じくして、その加荘市の河原で、女教師が首を絞められて殺されているのが発見される。
タグ:
posted at 18:53:33
2012年02月19日(日)
そして美樹もまた、主人公を誘惑したことにより凄惨な制裁を受ける。その制裁こそ、タイトルにある「花切り」だ。読了後、「花切り」の意味を知って慄然とすると共に、グロテスクな美しさをそこに見出だすことができる、そんな一編である。
タグ:
posted at 12:47:02
飛鳥部勝則「花切り」読了。小林美樹(ミキ)という女のような名前を持つ美少年は、今日も薄笑いを浮かべて主人公を誘惑する。「おしゃべりとかじゃなくてさ、特別なこと、ちょっと大人っぽいことをしてみようよ」――かつて美樹の母親は、男と浮気して植木職人である父親から制裁を受けたという。
タグ:
posted at 12:46:10
2012年02月17日(金)
ちなみに最終話「そしてまわりこまれなかった」の著者注にて、作者は「『ドラクエI・II・III』のネタバレがあるため、未プレイの人は読まないでください(中略)そんな奴がこの宇宙にいるとは思えませんが、念のため」と書いているが、実を言えば自分はその未プレイの人間だったりする(爆)。
タグ:
posted at 21:30:08
それにしたところで、仕掛けの目新しさはあまりない。むしろ本作は、ミステリではなく、過ぎ去った青春小説として読むのが相応しいような気がする。特に本作はファミコン世代であれば、共感できる部分が多々あることだろう。
タグ:
posted at 21:28:39
詠坂雄二「インサート・コイン(ズ)」読了。スーパーマリオ、ぷよぷよ、ストII、ゼビウス、ドラクエという五つのゲームをテーマにした日常の謎系連作ミステリ短編集……といっても本格ミステリとして評価できるのは、ぷよぷよを題材にした「残響ばよえ~ん」くらいだろう。
タグ:
posted at 21:27:29
だが前作に比べると、お世辞にもその融合は上手くいっていないし(その前作にしても上手いとは言えなかったが)何より問題なのはミステリとしての興味を全く抱かせないことだろう。また前作にはあった青春小説要素が綺麗さっぱりなくなってしまっているのも個人的にはかなりマイナス。
タグ:
posted at 16:53:43
梶龍雄「殺人者にダイアルを」読了。軽井沢で死んだエリート銀行マンと、その彼を追って自殺をしたというホステス。その二つの死には頻発する金融強盗に関する陰謀が絡んでいた――。シリーズ前作にあたる「天才は善人を殺す」では社会派+密室だったのに対し、本作では社会派+アリバイを扱っている。
タグ:
posted at 16:53:05
「C.M.B.」19巻読了。収録作はどれも話としては面白いが、ネタが小粒なものばかりなのが物足りない。ベストは「Q.E.D.」とコラボした「大統領逮捕事件」で同じ事件を扱った「Q.E.D.」41巻収録「バルキアの特使」よりこちらの方が好み。コンゲーム的味わいの良作である。
タグ:
posted at 11:20:16
むしろ、こちらの一捻りこそが一番やりたかったことなのかもしれない。この話を読んで何となく島田荘司の某短編を思い出した。決して後味のいい話とは言えないが、可奈とのエピソードが真相の救いのなさを幾分和らげてくれている。
タグ:
posted at 11:06:23
「Q.E.D.」41巻読了。「バルキアの特使」「カフの追憶」の二編収録。メインは国際司法裁判所で燈馬と森羅が対決する前者だろうが、個人的には燈馬が囚人から射殺事件の顛末を聞く後者を推したい。ネタ的には過去作で既にやってるものだが事件の真相が明かされた後にもう一捻りしている点は○。
タグ:
posted at 11:05:57