麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年06月29日(金)
しかもそれだけに留まらず、ある人物の些細な一言からロジックを積み重ねていき、その構図の裏に隠された思惑を暴き出してみせる点が素晴らしい。主人公のしたたかさがよく表れたラストシーンも申し分なく、作者のこれまで手掛けたシリーズの中では「平井骸骨」の次くらいに綺麗に纏まっていると思う。
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posted at 11:06:47
尤もこれに関しては着地すべきところに着地した感もあり人によってはさほど意外性は感じられないかもしれないが、個人的にはむしろその伏線の隠し場所の方に感心した。前巻のあとがきで結末はまだ考えていないと語っていた一方で、さらりとそんなものを仕込んでいたとは、なかなか食えない作者である。
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posted at 11:06:18
シリーズ三作目にして最終作ということで当初は「打ち切りエンド」だとばかり思っていたが(爆)結論から言えば、それは杞憂に過ぎなかった。これまで幾つも優れたラノベミステリを出してきた作者だけあって、今回も鮮やかな構図の反転を用意している。
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posted at 11:05:42
田代裕彦「修羅場な俺と乙女禁猟区3」読了。俺のことを殺したい程憎んでいる五人の婚約者候補の中からただ一人純粋に愛してくれる者を選ばなければいけない恐怖のゲーム「デッド・エンド・ハーレム」の最終章は彼女の衝撃的な一言で幕を開けた。「あたし、もう《ゲーム》をやめようと思ってるんだ」
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posted at 11:05:21
2012年06月28日(木)
一見本格ミステリらしからぬストーリー展開に思わぬ仕掛けを施し鮮やかな構図の反転を決めてみせる。仕掛けとしては単純だがそれ故に成功した時の効果も大きい。また深木作品同様本作もミスディレクションが巧みで読み返してみるとかなり早い段階から罠が仕込まれていることが分かり思わず唸らされる。
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posted at 13:50:04
60歳以上を対象に本格ミステリ作品を募集する、島田荘司選ベテラン新人発掘プロジェクト受賞作。同じく島田荘司に見出だされてデビューした、還暦を迎えた新人というと「鬼畜の家」の深木章子を思い出すが、本作も深木作品に勝るとも劣らない、本格ミステリの秀作である。
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posted at 13:49:36
加藤眞男「ショートスカート・ガール」読了。事の発端は弁護士・添野が臼井あさぎと名乗る女から十五年前、駅で自分のスカートの中を盗撮した犯人が分かったので訴えたいとの相談を持ちかけられたことだった。それから三週間後、そのあさぎが痴漢をした犯人に大怪我を負わせる事件が発生する――。
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posted at 13:49:21
2012年06月27日(水)
言うなれば本作はミステリの形を借りて青春の痛みを描こうとしている米澤穂信の古典部シリーズにも通じるものがあり(もっとも古典部シリーズの方がまだミステリとしてはそつがないが)、それ系統が好きな人にはお勧めしてもいいかもしれない。
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posted at 22:18:16
郵便受けに入れられたリモコンの謎、殺人鬼の妄想に囚われた少女、反転する構図……本作は作者の作品の中では最もミステリらしいキーワードや展開を導入しているものの、あくまで中心に描かれているのは少女たちの心の物語である。そのため、仕掛け重視で読むと、少々肩透かしを覚えるだろう。
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posted at 22:17:52
友桐夏「星を撃ち落とす」読了。ストーカー被害に悩む有騎を助けてくれたのはクラスメートの鮎子だった。それが縁で有騎は鮎子と親しくなるが、しばらくして今度は鮎子の友人・茉歩が何かと悪い噂の絶えない少女・美雲とつるんでいるという話を聞く。傷ついたのは誰で、嘘をついていたのは誰なのか?
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posted at 22:17:22
但しこちらはこちらでトリックは悪くはないものの、被害者が全裸で街中を走った理由がかなり微妙。トリックの詰め込み度でいうならベストは表題作になるが、全体的にイマイチぱっとしない印象。
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posted at 13:28:52
特に古銭コレクターが密室で殺され、犯人の鉄壁のアリバイに捜査が難航する表題作は様々なトリックが詰め込まれているのはいいが、どれも地味な小細工という感じが否めない。むしろ事件的に興味を惹かれるのは全裸で街中を走っていた若い女が毒殺される(!)「ストリーカーが死んだ」の方だろう。
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posted at 13:28:36
山村美紗「死体はクーラーが好き」読了。同じノンシリーズ物の短編集でも前に読んだ「幻の指定席」はいい意味で山村美紗のイメージを裏切ってくれる短編が収録されていたのに対し、本作は良くも悪くもテレビの二時間サスペンスで知られるいつもの山村美紗らしい短編が揃っている。
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posted at 13:27:45
2012年06月25日(月)
但しこちらはミステリというより、結末のブラックな味わいを楽しむ作品という印象。個人的にはこの二編を読んだことにより、山村美紗という作家に対する評価を大いに改めた次第である。
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posted at 18:12:43
そしてその狙いが終盤で明らかになった瞬間、鮮やかな手品を見せられたような驚きがそこに待っている。加えて最後の一行による効果も絶妙で、無駄なところが何一つない文句なしの傑作と言っていいだろう。それと比べると浮気妻の悲劇を描いた「不用家族」は大分毛色が異なるもののこちらも秀作レベル。
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posted at 18:12:08
そのうちの一編「新幹線ジャック」は武装した犯人グループが新幹線のグリーン車二輛を占拠するという短編にしては珍しい題材を扱っている。人質の解放と引き替えに莫大な身代金を要求する犯人側と警察の緊迫したやり取りが描かれる中、焦点となってくるのはやはり犯人たちの狙いがどこにあるかである。
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posted at 18:11:32
山村美紗「幻の指定席」読了。ノンシリーズ物のミステリ短編集。本作に収録された七編のうち五編は正直微妙な出来と言わざるを得ないが、残りの二編に関しては例外中の例外。ぶっちゃけこの二編だけでも本作を読む価値があると言っても決して過言ではないだろう。
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posted at 18:11:10
2012年06月22日(金)
それが最も顕著なのが「獅子は死んだ」で大介は事件についてこう語ってみせる。「(前略)遺言状、遺産をめぐる欲ぼけのトラブル、遺言状の署名をまえにしておこった事件。――いまどき、こんなプロットを出したらその作家には、二度とミステリーの依頼はまわって来ないでしょうよ」
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posted at 17:35:52
本作の収録作のうち最も凝っているのは「殺された幽霊」だが、個人的に気に入った作品だと「獅子は死んだ」になるだろう。この短編に限らず収録作の幾つかには、どこか殊能将之作品にも似た本格ミステリのお約束に対するパロディ的側面が感じられる。
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posted at 17:35:26
栗本薫「伊集院大介の冒険」読了。オープンしたばかりのペンションに出没する幽霊退治のため、名探偵・伊集院大介は霊能者に化けて問題のペンションを訪れる。だが翌日、今度は謎の殺人事件が……。「殺された幽霊」を始め、伊集院大介の推理が冴える七編が収録されたミステリ短編集。
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posted at 17:34:50
いつだったか東川作品について誰かが「ミステリの伏線を隠すのにギャグは非常に有効」(大意)と言っていたが、それは本作にも当て嵌めることができる。個人的には終盤の一部の謎解きには見るべきところがあると思っているが、多分たいていの読者にとってはそんなことはどうでもいい話だろう(爆)。
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posted at 17:34:07
粗筋でだいたい察しがつくと思うが本作は○ターウォーズや○イリアンなどのSF映画を始めとした膨大なパロディとダジャレ、下ネタをごった煮にしたような作品である。従って「殺人事件」とは名ばかりで……と思いきや話が三分の二を過ぎたあたりでミステリへと急展開したのにはさすがにびっくりした。
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posted at 17:32:51
栗本薫「エーリアン殺人事件」読了。遥かなる宇宙の涯てで巨大宇宙船シーラカンス号が救助した船の中には黒光りするち○この形をした最強最悪の宇宙生物が潜んでいた!人間を餌にし鉄でも貫通する酸を振り撒くこの宇宙生物を捕獲するよう命じられたアル中宙航士ルーク・ジョニーウォーカーの運命は?
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posted at 17:32:36
2012年06月21日(木)
また前作で読者を脱力の彼方(?)に連れ去ったあの要素は本作でも健在だが、設定のせいか今回はそれほどやってしまったという印象はない。いい意味ではったりの利いた、コンゲーム物の良作である。
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posted at 17:29:02
リーダビリティの高い面白いダメミス(!)「ラガド」でデビューした作者の第二作は、追跡不可能な女を巡るコンゲーム小説。大筋の展開こそありがちだが、尾行に焦点を当てた駆け引きと仕掛けが絶妙で、特に終盤は散りばめられたパズルのピースがバシバシはまっていくような快感が味わえる。
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posted at 17:27:12
両角長彦「大尾行」読了。高精密システムによる探偵術をウリにした大手探偵社に勤める村川はある日、社長から某製薬会社の元社長宅に通う女の尾行を命じられる。その女は不思議なことに何度尾行しても必ず途中で見失ってしまうという。彼女の正体は? そして背後に隠されていた恐るべき策略とは?
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posted at 17:26:48
2012年06月20日(水)
保険金殺人を巡り、一対一の男女が騙し合いを演じる「サバイバル・ゲーム」も悪くはなかったが、些か消化不良の感あり。解説によるとこれを更に発展させた長編があるとのことなので、近いうちにそちらも読んでみたいと思う。
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posted at 18:27:48
収録作のほとんどが愛欲の背景に気の利いたオチを付けたような印象で、ミステリとして読むと少々物足りないかもしれない。個人的なベストを挙げるなら表題作で、オチこそ途中で読めてしまったものの、物語全体に漂う妖しい雰囲気は非常に好み。
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posted at 18:16:38
青柳友子「石膏の家」読了。謎めいた年上の女に誘われてやってきた古びた邸宅で若いギター弾きの男が見たものは……。表題作を含む全八編が収録された本作は一応ミステリー短編集と銘打ってあるものの、ミステリらしいミステリはそのうち二編しかない。
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posted at 18:16:07