麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2015年06月30日(火)
尤も後者に関しては別のところで読者を驚かそうと頑張ってはいるが、犯人の絞り込みが雑だったり重要な事実を隠蔽していたりするのがいただけない。作者は二作目も書く気があるようだが、願わくは次作ではもう少しミステリ部分を作り込んでほしいと思う。
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posted at 22:21:07
というのも本作は二つの事件を扱っているのだが、まず最初の事件ではどんな魔法が使われているのか分からない読者はいないのではないかとしか思えないほどヒントがあからさまだし、もう一つの事件にいたってはもはや隠す気すらない。
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posted at 22:18:31
ファンタジー設定を使ったミステリ。まず作者はあとがきで「魔法がある事を前提にした上で、事件にどんな魔法が使われたのかという謎解きにすれば、新しいアプローチである気がして、面白そうだなと思ったのです」と語っているが、結論から言えばその目論みは見事に破綻している。
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posted at 22:18:12
井上悠宇「城下町は今日も魔法事件であふれている」読了。魔法が人々の生活に根付いた世界――騎士らしくない騎士ノエルと堅物の美しき従騎士アリエスは、訳ありの天才魔術師エスティカと共に、誰もいないのに吹っ飛んだ貴族の謎から国家を揺るがす大事件まで解決する羽目になる。
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2015年06月28日(日)
作家・笹沢左保が探偵役として活躍する長編。真相は単純ながら、そうと気付かせない語りの巧さが相変わらず素晴らしい。特にある人物について語られれば語られるほど、それが煙幕として機能する点が秀逸。また心理面と論理面から導き出される自殺を否定する八つの根拠も○。
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笹沢左保「真夜中に涙する太陽」読了。六年ぶりに蘇った推理作家・大野木冬彦の出版記念パーティーが開かれるが、そこには大野木を憎む人間たちも顔を見せていた。その後、大野木が自宅で就寝中に何者かに刺される事件が発生。大野木に慕われていた作家・笹沢左保は事件の解明に乗り出す。
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2015年06月27日(土)
作者の持ち味であるグロとユーモア、強烈なキャラクター不在の怪奇幻想長編。故に決してつまらないわけではないが、従来の作品に比べるとどうしても物足りなさが否めない。加えてオチが予想通りな上に、いまいちピンとこないのもいただけない。
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飴村行「ジムグリ」読了。X県山間の町。そこには虻狗隧道と呼ばれる謎の洞窟があり〈モグラ〉と称される住民が住んでいた。ある日、博人の妻・美佐が「トンネルにまいります」との書き置きを残して失踪する。美佐を探しに洞窟へ潜った博人が見たものは……?
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posted at 01:33:21
2015年06月22日(月)
ベストは「首吊り死体と南京錠の謎」で密室の謎の解明がその後の意外性を引き立てているのが○。次点は脱力必至のバカトリックを成立させた状況設定の巧さが光る「消えたフィアットを捜して」だが、ユーモアミステリならではのキャラ設定とロジックの繋がりが絶妙な「亀とライオン」も捨て難い。
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東川作品のシリーズ物は二作目からが本番というジンクスは本作もまた例外ではなかった。基本的に全編ハズレなしだが、前半二編は奇妙な謎から論理的に犯人を突き止めていく点が、後半二編は起きた不可解な出来事から事件の構図に気付く点が秀逸。
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posted at 22:49:12
東川篤哉「ライオンの歌が聞こえる 平塚おんな探偵の事件簿2」読了。亀愛好家の死体が裸足だった理由、被害者に珈琲をかけて逃走した轢き逃げ犯、南京錠の密室で発見された首吊り死体、幻の衝突事故と消えたフィアット……四つの奇妙な謎にライオン探偵・エルザと天然ボケ助手・美伽のコンビが挑む。
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2015年06月21日(日)
そして何より秀逸なのは多重推理とクイズ番組を結び付けた理由にちゃんと必然性が用意されていることであり、そこに込められたテーマから本作が今だからこそ書けた作品であることがよく分かる。とはいえこれだけの伏線と推理を詰め込んだのは並大抵の苦労ではなかっただろう。
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posted at 16:15:17
作者久々の長編は本格純度が極めて高い多重推理物。といっても後から出てきた新事実によって推理が否定される「聯愁殺」タイプだが、問題編の途中でも答えられる早押しクイズ形式を採用したことにより、そういった展開に不自然さが感じられないのは○。
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深水黎一郎「ミステリー・アリーナ」読了。大晦日の定番番組《推理闘技場(ミステリー・アリーナ)》。問題編を聞いて分かった時点で犯人を指摘するこの番組は正解すれば一攫千金だが、外した場合は文字通りの地獄が待っている。そして今回問題に挑むのは腕に覚えのあるミステリ読みのプロたちだった。
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2015年06月20日(土)
特に秀逸なのはここで明かされるある事実とゴルフにおけるある関係を結び付けた点であり、これにより21世紀本格の風格も感じられるのが○。また読了後にタイトルが沁みてくるのもいい。個人的には是非ともこの探偵役で続編を書いてほしいものである。
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posted at 00:31:58
そして中盤に至りようやく事件が起こるわけだが、やはり本作でも作者のミスディレクションの巧さは健在だった。ある程度真相が透けて見えると思わせて、意外なところからひっくり返してみせるその手腕には脱帽と言わざるを得ない。
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posted at 00:31:45
島荘流奇想本格の秀作。といっても前半はミステリらしからぬゴルフ小説を読まされることになるのだが、このゴルフ小説が滅法面白い。例えるなら御手洗潔が奇抜なプレイスタイルで《全米オープン》に挑む(!)ような話で仮に事件が起こらなかったとしても一流のエンタメとして満足していたことだろう。
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posted at 00:31:20
河合莞爾「救済のゲーム」読了。かつて先住民を虐殺した騎兵隊長が神の怒りに触れ串刺しとなった神の木がそびえ立つ《全米オープン》の18番ホールで、ピンフラッグに串刺しとなった死体が発見された。伝承そのままの奇怪な事件に巻き込まれた天才プロゴルファー・ジャックが遂に辿り着いた真相とは?
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posted at 00:30:58
2015年06月18日(木)
勿論その「一番有り得ない解答」を真相として成立させるための作り込みは抜かりなく、ミステリ読者にはお馴染みのあの手この手を駆使してあっと驚かせてくれるのが実に心地いい。本作は「悩虚堂の偏屈家」を読むことで真価が発揮される作品である。
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posted at 23:04:36
だがその感想も最終作「悩虚堂の偏屈家」で一変することになる。全体の三分の一を占めるこの作品はルヴォワールシリーズのロジックと駆け引きの面白さを凝縮したような内容であり、「一番有り得ない解答を真相にする(大意)」という作者のミステリ手法を最も体現しているように思う。
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posted at 23:04:07
名探偵キングレオとその助手・大河の活躍を描きつつルヴォワールシリーズのキャラも登場する連作ミステリ。さりげない伏線から導き出される推理にはおっと思わせられるところはあるものの、基本的にはどれもネタが小粒で物足りなさを覚える――それが四編目まで読んだ時点の正直な感想だった。
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posted at 23:03:48
円居挽「キングレオの冒険」読了。赤毛連盟、踊る人形、まだらの紐、白面の兵士……京都の街で次々と起こるホームズ譚になぞらえたような難事件の数々。それらを超人探偵キングレオが全て解き明かした時、ある殺人事件を巡り伝説の老探偵との対決の火蓋が切って落とされることになる。
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2015年06月17日(水)
なお唯一の例外である「天空のらせん階段」は作者の新境地とも言えるバカトリック物で、三津田信三が作者に「深木さんもバカミスを書くんですね」と語ったというエピソードにも納得の(?)一編である。
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posted at 22:32:36
特に表題作は法月綸太郎「キングを探せ」の引用が全てを顕していると言っても過言ではない。凝りに凝った交換殺人を巡り展開が二転三転、気持ちいいくらい読者を翻弄してくれる。やはり交換殺人テーマはプロット本格と相性がいいと再認識すると共に短編とは思えない密度の高さに唸らされる傑作である。
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posted at 22:32:17
作者初の短編集は安楽椅子探偵物の連作ミステリ。技巧的なプロットに定評がある作者にしては珍しくストレートな本格という印象だが、実際読んでみると最初の一編「天空のらせん階段」を除き、全て捻りに捻ったプロット本格であることがよく分かる。
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posted at 22:31:45
深木章子「交換殺人はいかが?」読了。元刑事の君原が過去に関わった難事件、怪事件の数々を推理作家志望のかわいい孫・樹来が解き明かす短編集。密室、幽霊、ダイイング・メッセージ、交換殺人、双子、童謡殺人――ミステリではお馴染みのテーマを扱った六編を収録。
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posted at 22:31:18
一方「量子力学の年に」は、新興宗教で起きた迷宮入りの乱射事件、教祖の用いる不思議な鏡、百年後に発見されたミイラ化した教祖の死体といった魅力的な謎の数々もさることながら、何より量子力学を活かした唯一無二の解答とそれが浮き彫りにする犯人の絶望感が素晴らしい。
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リニューアルしたシリーズの1巻。「iff」は新規読者を意識したのがミステリとしてはかなりストレートな作品。とはいえ容疑者を全て論理的に候補から外した後で炸裂するバカトリックが秀逸で、しかも漫画という形式と舞台設定を使って巧みにミスディレクションしているのが実に心憎い。
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加藤元浩「Q.E.D.iff」1巻読了。密室で彫刻家が殺され、四人の容疑者から犯人を推理する「iff」、百年前に起きた新興宗教絡みの乱射事件とミイラ死体の謎が量子力学とリンクする「量子力学の年に」の二編収録。
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posted at 10:04:40