麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2017年02月25日(土)
あと「ひとり吹奏楽部」、相変わらずギャグのキレが良かった。個人的なお気に入りは「難しいんだよ、あいつは。俺とはじめて会ったとき、恥ずかしがって『ドグラ・マグラ』の本で顔を隠していたような女だったから。意味ねーよって感じで」。
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そして本作のトリを飾る表題作に至っては、それまでのエピソードの積み重ねがあるからこそ活きてくる内容とラスト一行で綺麗に収束させる点が圧巻の一言に尽きる。完全にシリーズ読者向けの内容だが、小粒なネタを物語として巧く昇華させた作品である。
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ミステリとしてみるとネタ自体はどれも小粒なものだが、時にさりげない技巧でドキリとさせてくれるのがいい。特にそれが顕著なのは「風変わりな再会の集い」で、これ以上ない形で一言で示される真相が実にスマート。また「巡るピクトグラム」のこのキャラだからこそできるちょっとした騙しも○。
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ハルチカシリーズの番外編的短編集。主役以外の吹奏楽部メンバーにスポットを当てるというのが本作のコンセプトであるためか、残念ながらシリーズの主役である春太と千夏の二人は出てこないものの、それでも二人のことが話の中で語られるだけで強烈な存在感があるのはさすがと言ったところだろう。
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初野晴「ひとり吹奏楽部」読了。飼い犬が吠えたり唸ったりする理由、一万円を受け取ったまま帰ってこないお店のお婆さん、親友がバイト先で見せる不可解な行動、一人で吹奏楽部を存続させた人物の正体……清水南高校吹奏楽部に集まった個性的なメンバーの知られざる青春と日常の謎を描いた短編集。
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2017年02月23日(木)
その他「人形館の殺人」の後日譚である「赤いマント」は都市伝説を扱っている点もさることながら、作中で展開される館シリーズの某作品を思わせるロジックにニヤリとさせられる。総じて作者のファンであればあるほど楽しめる作品集である。
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次点は「どんどん橋、落ちた」の番外編「洗礼」で、ダイイイング・メッセージをメインに扱いつつも、一筋縄ではいかないフーダニットに仕上がっているのが○。だがそれ以上にミス研の犯人当てとして書かれたという設定とそこかしこに漂う青臭さがもたらす、しんみりとしたラストが印象的である。
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作者がこれまでに発表してきた作品と何らかの形でリンクする中短編を集めた作品集。個人的には「フリークス」の番外編にあたる表題作がベストの出来で、当初は漫画用に考案された一発ネタを巧く活かし、ミステリからホラーへの境界線を軽々と飛び越してみせる。
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綾辻行人「人間じゃない 綾辻行人未収録作品集」読了。ありえない角度に折れ曲がった背中。歪に捩れた胴体。折れて捩れて殆どちぎれかけた両手両足。手足同様にちぎれかけた頭部……完全な密室で発見された由伊の死体は人ならぬものの怪力で破壊されたようにしか見えなかった――表題作含む五編収録。
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2017年02月21日(火)
とはいえ希に巧く噛み合った時の驚きはなかなかのものであり、その好例である「小岩20分一棟売りアパートの謎」は事件に巻き込まれた当事者だからこそ気付かないという盲点をついた構図が実に秀逸。個人的にはこの短編を読めただけでも収穫だった。
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不動産に纏わる謎を扱った連作ミステリ。不動産という一見ミステリとは縁がなさそうな題材とミステリの定番トリックを組み合わせて意外性を出そうとする試みは興味深いと思うものの、正直巧く噛み合っているかと言われると微妙なところと言わざるを得ない。
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乾くるみ「物件探偵」読了。利回り12%の老朽マンション、ひとりでに録画がスタートする怪現象アパート、新幹線の座席が残置された部屋……物件の気持ちがわかるという神出鬼没の物件探偵・不動尊子が六つのアヤシイ物件の謎を解き明かす。
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2017年02月19日(日)
ミステリの見所としては犯人消失のトリックと動機で、前者は人物像からの気付きが、後者はこの設定ならではの説得力が○。雰囲気作りとトリックが有機的に結び付いた良作である。
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牧場智久と武藤類子のコンビが活躍するシリーズの一作。ミッション系の女子高が舞台のミステリというと綾辻行人「緋色の囁き」や黒崎緑「聖なる死の塔」のようにゴシック色が濃厚な作品が多いが、本作もまたその系統が好きな人には堪らない雰囲気の作品に仕上がっている。
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竹本健治「緑衣の牙」読了。北海道函館近郊の星辰女子学園で二年生の朝倉麻耶が水死体で発見された。麻耶の死んだ沼の岩場には『罪は血で贖へ』という不吉な赤い文字が……。それから一ヶ月後、新たな女子生徒が三階にある寮の窓から転落死を遂げるが目撃されたはずの犯人の姿は綺麗に消え失せていた。
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2017年02月18日(土)
そしてその探偵小説独特の人工的なガジェットを徹底的に磨きあげて究極のロマンとして昇華させたのが本作であり同時に普通に考えたら絶対有り得ないネタを極めて自然に見せていることに驚きを禁じ得ない。その最たる例が表題作や「桐の柩」で、そこで作者が見せた技巧は今後も古びることはないだろう。
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〈花葬〉シリーズと呼ばれる短編を集めた作品集。解説によると本作について作者は「書きたいのはあくまで探偵ものですから」と語っていたそうだが、事実、本作に収録されている短編の核となるものはいずれもその物語の見た目とは裏腹に探偵小説ではお馴染みのガジェットが用いられている。
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連城三紀彦「戻り川心中」読了。大正歌壇の寵児・苑田岳葉の二度にわたる心中未遂事件に隠された真相を探る表題作の他、桔梗の花を握りしめて死んでいた男と遊廓の娘の関連性に迫る「桔梗の宿」、ヤクザの兄貴分が見せる不可解な行動の意味「桐の柩」など全五編収録。
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2017年02月17日(金)
同時収録の「急転」も動機という点において鮮やかな反転を見せてくれる佳作ではあるものの、やはり本作のメインは「地球に落ちてきたと言っている男」と断言しても決して過言ではないだろう。
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作者が好んで使うSF理論によって演出された不可解な謎の数々は真相だけ取り出せば他愛ないものだが、それと人物像を組み合わせることで読む者の感情に強烈に訴えかけてくるところが素晴らしい。とりわけ最後に提示される動機に至っては一人の人間の人生を一気に見せられたような凄まじさすらある。
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posted at 21:25:30
これまでも作者は謎を通して人間を描くという点に拘り、多くの傑作を生み出してきたが、本作に収録されている「地球に落ちてきたと言っている男」もまたその系統に属する新たな成果と言っていいだろう。
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posted at 21:24:08
加藤元浩「Q.E.D.iff」6巻読了。認知症の祖母の家に出入りする宇宙人を名乗る男。鍵のかかった扉すらすり抜ける彼の正体に迫る「地球に落ちてきたと言っている男」、人気ドラマのプロデューサーが転落死した。事件に仕掛けられたトリックと隠された動機を燈馬が暴く「急転」の二編収録。
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posted at 21:23:50
また第二の事件にしてもトリックこそよくあるものだが、館の構造を活かしつつもそれと悟らせない点が素晴らしい。ラストの唐突な○○との対決には思わず笑ってしまったけれど、内容としては学生アリスを思わせる王道フーダニットの佳作であるのは間違いない。
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京都探偵局シリーズの一作。本作はクローズド・サークル状況下での犯人探しに真っ向から挑んだ作品であり、特に第一の事件における、ある些細な事実から辿り着く犯人像が圧巻。まさか序盤の何気ないシーンが重要な伏線だったとは思いもしなかった。
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風見潤「月食屋敷幽霊事件」読了。十八年ぶりの皆既月食の日、四つの館が渡り廊下で円形に結ばれている月食屋敷には天体観測をする者たちの他に謎の手紙を受け取った人々が集まっていた。そして遂に起こる殺人事件。吊り橋を落とされ、電話も不通となった月食の闇の中で息を潜める犯人の正体とは?
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2017年02月14日(火)
本作はそれを踏まえて読むと非常に面白い仕掛けが盛り込まれており、読了後、読者はやられたと思うと同時に名探偵とは何かを再認識するに違いない。ただ一点気になるとすれば汽車旅おにごっこに関するトリックの取って付けた感が否めないところだが、それを差し引いても充分秀作レベルの作品である。
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京都探偵局シリーズの一作。まず作者はシリーズの探偵役・水谷麻衣子に作中でこう語らせている。「犯人が偶然にたすけられたっていい。でも名探偵が偶然から犯人を捕まえるっていうのは、ちょっといただけない。名探偵は、偶然と必然をよりわける必要がある。それが推理ってものじゃないだろうか」と。
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posted at 20:53:41
風見潤「四国一周殺人おにごっこ幽霊事件」読了。鉄道雑誌が企画した、汽車旅をしながら鬼をみんなで捕まえる「汽車旅おにごっこ」。その鬼役のトラベルライター・伊集院光也を最初に見つけた参加者の女性が死んだ。調査に乗り出す麻衣子と光也だったが、そんな彼らを嘲笑うように新たな被害者が……。
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2017年02月13日(月)
京都探偵局シリーズの一作。人間消失にアリバイ崩しを絡めた本作は人間消失の真相も捻ってはいるが、どちらかというとアリバイ崩しにおけるトランクを使った誤認の方が光っている。ただその反面、最後に起きた事件や隠し財産の話はあまり巧く活かされてはおらずバランス的な意味で惜しい作品である 。
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風見潤「みちのく夏祭り幽霊事件」読了。七年前、監視されていた家から忽然と消えてしまった母親を探してほしいという女子高生・佐伯孝子からの依頼に応えて東北へとやって来た麻衣子たち。だがそれから間もなく孝子と無理やり結婚しようとしていた男が殺され、容疑者には鉄壁のアリバイが……。
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