麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年08月31日(金)
とはいえ敵役に関してはそれに相応しい相手を用意したりと何とか名探偵たちが挑む事件らしくしようとする作者の苦心の跡が窺える。巻末の名探偵名鑑と併せて自分の好きな名探偵がどんな風に活躍するのかという視点で楽しむのが吉な作品である。
タグ:
posted at 17:10:46
ただその一方でスーパーヒーロー大戦と同じ欠点を抱えており、登場するヒーローもとい探偵が多い都合上、ミステリとしてみると事件がどうしても単純なものになりがちで、これだけの名探偵が挑む事件にしてはいまいち難易度が低いように思えてならないのが残念。
タグ:
posted at 17:10:34
パスティーシュ物を得意とする作者の集大成とも言うべき作品。本作は例えるならスーパーヒーロー大戦の名探偵版であり、三百頁に満たない長さにこれでもかと詰め込まれた登場人物たち――銭形平次から森江春策まで幅広く取り揃えた古今東西の名探偵は壮観の一言に尽きるだろう。
タグ:
posted at 17:10:16
芦辺拓「帝都探偵大戦」読了。半七、銭形平次、顎十郎らが追う謎が収斂する「黎明篇」。ナチス絡みの陰謀に法水麟太郎・帆村荘六らが挑む「戦前篇」。神津恭介、秋水魚太郎が遭遇した死体に残されたピースが繋がる時、驚愕の真相が明かされる「戦後篇」――名探偵たちの夢の競演を描いた三編収録。
タグ:
posted at 17:10:01
2018年08月30日(木)
どちらかというと物語としての見せ方を優先した感があり、その点はやや好みが分かれるかもしれない。とはいえ、あるネタの活かし方に作家としての巧さが感じられる作品である。
タグ:
posted at 21:54:51
ただいわゆる密室物の本格としてみると期待するところとはちょっと違う部分に仕掛けが施されている点、また御手洗の謎解きの前に真相が明かされてしまうため謎解きのカタルシスがいまいち弱いなど幾つか気になるところはある。
タグ:
posted at 21:54:33
石岡君と出会う以前の若き御手洗潔が奇妙な密室の謎に挑む長編ミステリ。もとが短編であるせいか事件の構造は極めてシンプルながら、メインの密室を盛り上げるために次々と投入される謎また謎の演出はさすがと言ったところだが、時にそちらの方が魅力的すぎて密室の謎がやや霞んでしまうのはご愛敬。
タグ:
posted at 21:54:20
島田荘司「鳥居の密室 世界にただ一人のサンタクロース」読了。クリスマスの朝、少女は枕元に初めてのプレゼントを見つけた。家は内側から完全に施錠され本物のサンタが来たとしか思えない状況の中、別の部屋では少女の母親が殺されていた。そして周囲で頻発する怪現象……若き御手洗潔が事件に挑む。
タグ:
posted at 21:54:04
2018年08月25日(土)
「ペンギン・ハイウェイ」観了。原作未読。SF(すこしふしぎ)姉ショタおっぱい映画で、某レビューで「姉なるもの」「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」と言われていた理由がよく分かった。謎が完全に解かれる訳ではないのでその辺を期待すると物足りなさが残るが雰囲気ものとしては○。
タグ:
posted at 19:29:19
2018年08月24日(金)
とはいえミステリとしてみると慎ましくはなったものの相変わらずそつのない作りで、時には四編目のように恋愛と絡めてちょっとした意外性を盛り込んだりもしている。しかしながら全体的にみれば、やはり前作に比べて物足りなさが残ってしまった。
タグ:
posted at 20:22:54
「クローバーリーフをもう一杯」改め「京都なぞとき四季報」シリーズの二作目。前作を読んだ時、個人的に○ディアワークス文庫っぽい印象を受けたものだが、本作ではよりミステリ部分が慎ましくなり、代わりに恋愛成分をマシマシにしたせいか、一層メディ○ワークス文庫っぽい仕上がりになっている。
タグ:
posted at 20:22:45
円居挽「京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道」読了。街歩きサークルの遠近倫人は幻の古書を探すため、古本市でバイトを始めるが、不可解な万引き騒動に巻き込まれてしまう。そんな中、恋い焦がれる謎好き女子・青河幸の態度が急によそよそしくなり……。
タグ:
posted at 20:22:24
ミステリとしては二度にわたる脱獄の手段や第二章におけるある人物の正体も見所だが、それ以上に終盤の全く予想外のところからくるサプライズが秀逸で、読み返してみるとそれを成立させるために設定や構成を実に巧く使っていたことがよく分かる。
タグ:
posted at 01:08:15
終戦間際の北海道を舞台にした「特高」警察小説。五百頁を超えるその長さからするといかにも大作という印象だが、作者にはお馴染みの民族や国家とは何かというテーマを軸に、ミステリや冒険活劇の要素をふんだんに盛り込んでテンポよく読ませてくれるので、いい意味で大作という感があまりしない。
タグ:
posted at 01:08:01
葉真中顕「凍てつく太陽」読了。昭和二十年、終戦間際の北海道で軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は捜査に加わるが「拷問王」の異名を持つ先輩刑事の三影に濡れ衣を着せられ網走刑務所に投獄されてしまう。八尋は「己の使命」を全うするために脱獄を決意する――。
タグ:
posted at 01:07:23
2018年08月23日(木)
トリックの一部からは作者の某作のセルフパロディ的要素が感じられるものの、全体的な真相にも物語と同じく探偵小説と戦争もとい社会派の融合が試みられており、特に動機と構図面が作者らしい容赦のなさと相俟って強烈な印象を残す。言うなれば本作はその時代を知る作者だからこそ書けた力作である。
タグ:
posted at 01:14:04
ミステリとしてみると事件が本格的に動き出すのが二百頁過ぎてからとかなり偏っているものの、その欠点を帳消しにする勢いでそれまでに張り巡らされた伏線の数々が怒濤のように回収されていく点はさすがといったところだろう。
タグ:
posted at 01:13:50
辻作品ではお馴染みの探偵役の一人・那珂一兵が少年時代に遭遇した事件の顛末を描いた長編ミステリ。「探偵小説」とタイトルに銘打っていることからも分かるように本作は探偵小説特有のエログロナンセンスを取り入れつつも、戦争という灰色の季節を冷静な視点で描いているのが興味深い。
タグ:
posted at 01:13:22
辻真先「深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説」読了。昭和12年5月、帝国新報の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行していた那珂一兵に齎された殺人事件の報せ。名古屋にいた女性の足だけが東京で発見され、更に被害者の妹も何者かに誘拐されたというのだ。名古屋と東京にまたがる謎の真相とは?
タグ:
posted at 01:13:06
2018年08月22日(水)
そのためしばしば推理を誤り、結果的に読者をミスリードする役割を担っているのが興味深い。ミステリとしては疑いを差し挟む余地のない資産家の老人の死の真相を探る第一話「執行人の手」がありがちな真相を巧く捻って、ある人物の心情を浮き彫りにした点が○。
タグ:
posted at 15:40:28
霊の記憶を読み取ることができる探偵の調査と推理を描く中編集。本作が面白いのは探偵役の設定であり、特殊能力を持っていること以外はそこら辺の素人と変わらず、その頭脳レベルは名探偵というよりワトソン役に近い。
タグ:
posted at 15:40:15
織守きょうや「ただし、無音に限り」読了。推理小説の名探偵に憧れて探偵事務所を開いたけれど、依頼は大抵浮気調査。そんな天野春近の特技は、霊の記憶を読み取ること。疑いを差し挟む余地のない資産家の老人の死。自殺した夫の死体探し――探偵・天野春近、二つの難事件に挑む。
タグ:
posted at 15:39:37
2018年08月20日(月)
むしろ本作の見所は魅力的な謎がある構図の絶妙な目眩ましになっている点であり、加えてクリスティを思わせる人間ドラマの技巧を盛り込むことで更にそれを強固なものにしている。もっとも探偵役の魅力としてはツイスト博士に劣るものの、アルテといえばプロットというのが再確認できる良作である。
タグ:
posted at 21:52:07
ツイスト博士と並ぶ作者の看板探偵・オーウェン・バーンズシリーズの翻訳第一弾。シリーズの四作目にあたる本作は神出鬼没の通りとそこで目撃される過去や未来の殺人風景という何とも幻想的な謎を扱っているが、その謎解きに期待すると些か肩透かしを覚える所はいつも通り(?)のアルテ作品と言える。
タグ:
posted at 21:51:34
ポール・アルテ「あやかしの裏通り」読了。ロンドンのどこかにある霧の中から不意に現れ、そして忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」。ある晩、名探偵オーウェンの許に駆け込んできた旧友のラルフはその「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたばかりか、そこで奇妙な殺人を目撃したと言い……。
タグ:
posted at 21:51:10
見取り図なしだと分かりづらい場面が多々ある、見立てが都合よく使われすぎなきらいがある、エピローグがやや蛇足、ギャグとはいえ本格において奇跡的な偶然が多すぎるのも気になる。とはいえ本作が多重解決や偽の手掛かり問題など現代本格らしいテーマに挑んだ労作なのは間違いない。
タグ:
posted at 01:26:24
そこには極めて現代本格らしいテーマとこの作者らしいセンスが感じられるが、その一方で幾つか欠点も孕んでいる。例えば事件によってロジックの出来にばらつきが見られる(結局ロジックが一番きれいなのがでっちあげではない最初の事件の真相というのがどこか皮肉的ではあるが)、
タグ:
posted at 01:26:00
一言でいえばロジックによる必殺仕事人、あるいは霞版虚構推理。殺し屋ワトソンが悪人を成敗しようとすると何者かに先を越されたり偶然の悪戯で現場が不可能犯罪化したりとハプニングが続発、その状況を打開すべく謀り屋ホームズが偽の手掛かりとロジックを駆使して説得力のある解決をでっちあげる。
タグ:
posted at 01:25:10
霞流一「パズラクション」読了。この物語は謀り屋(Faker)ホームズ&殺し屋(Killer)ワトソンによる謎解き仕掛けの冒険譚、あるいは逆本格ミステリ、あるいは転倒倒叙探偵小説、あるいはメイクパズラー、そして殺しと推理のキルージョン(Kill Illusion)。
タグ:
posted at 01:24:42