麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年02月24日(月)
竹谷正「南極殺人事件」読了。南極旅行に向かった医師の武原夫妻と添乗員のきみ子の三人が遭遇したのは南極大陸であざらしやペンギンに囲まれる中、後頭部に隕石の直撃を受けたとしか思えない男の死体だった。更に船上で第二の事件が起こるが奇妙なことに今度の被害者もまた隕石に縁のある人物だった。
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posted at 18:42:23
かの幻影城出身の作者による長編ミステリ。といってもどちらかというと作者自身が体験した南極旅行記をミステリ仕立てにした感があり、まともなミステリと思って読むと些か肩透かしを覚えるかもしれない。加えて大阪漫才のような口語体で進行する物語はかなり読む人を選ぶことだろう。
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posted at 18:42:36
とはいえ南極大陸で起きた事件の真相はバカミスといえるものであり、その光景を想像するとちょっと笑えるし、乱歩や泡坂、連城といった錚々たる面子の名前が出てくる作者の思い出話はこれはこれでなかなか興味深い。最初からミステリ部分はおまけと割り切って読めば、それなりに楽しめる作品である。
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posted at 18:42:49
2020年02月28日(金)
岡田秀文「戦時大捜査網」読了。一九四四年、国民服を着た丸刈りの女の死体が発見されたのが全ての始まりだった。女は何者でなぜ男装していたのか。そうこうしているうちに第二の事件が起きて……。特高や軍、果ては空襲に邪魔されながら捜査を続けた警視庁特別捜査隊が辿り着いた異形の真相とは?
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posted at 23:48:09
「帝都大捜査網」に続く、警視庁特別捜査隊による大捜査網シリーズ(?)の二作目。前作では昭和十一年の東京を舞台にしていたのに対し、本作ではその八年後にあたる昭和十九年の東京、しかもタイトルにある通り、太平洋戦争真っ只中という状況を活かした捜査を描いているのが面白い。
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posted at 23:48:26
その活かし方は捜査を盛り上げるための単なるシチュエーション作りだけに留まらず、事件全体の構図にまで及んでおり、特に終盤における東京大空襲の地獄絵図を経験したからこその気付きと、事件を起こすに至った犯人の動機が実に秀逸。
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posted at 23:48:38
尤も犯人の計画に関してはかなり綱渡りのような気もするが、壮絶な東京大空襲の描写を踏まえた動機の説得力がそれを補って余りある。本作は前作にあった草野唯雄っぽさ(?)こそないものの、事件の構図と時代物に定評がある作者らしい警察小説の秀作である。
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posted at 23:49:06
2020年02月29日(土)
勅使河原あねも「クラスメイト・ゲーム 殺人者の教室」読了。突如学校に集められた見ず知らずの高校生三十人は≪クラスメイトゲーム≫というデスゲームに強制参加させられてしまう。そんな中、集められた生徒の一人である相浦に与えられたのは「誰も消せず誰からも消される」≪主人公≫の配役で――。
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posted at 13:24:43
第一回ファミ通文庫大賞特別賞受賞作。所謂デスゲーム物である本作は「誰が何の目的でこのゲームを始めたのか?」とか「超常現象としか思えない出来事はどういう原理で起きているのか?」とか、そういったことは一切考える必要がない作りになっている(一応最後に取って付けたような説明はされるが)。
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posted at 13:24:57
本作で読者が気にすることはただ一つ――相浦と明日無という二つの視点で進むこのゲームが一体どういう形で収束するのか、だけである。但し作者的にはあまり本作を狭義のミステリとして意識していないのか、その基準で見ると所々にアンフェアな部分が散見されるかもしれない。
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posted at 13:25:09
しかしながら終盤のミステリ的仕掛けによるサプライズの連続と、それによって見えてくる物語の構造は一読の価値があるだろう。本作は前述した細かい部分さえ割り切って読めば楽しめるデスゲーム物の快作である。
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posted at 13:25:20