麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年11月29日(日)
だがその一方で時折太宰治の深層心理を鋭く突いているシーンもありそれを丁寧に積み重ねることによって最後に迎える川端康成との決戦が文学論を交えた実に因縁のある小説家らしい熱い対決となっているのは○。本作は太宰治を知り尽くした人間がかなり真面目にギャグに挑んだ異世界転生物の良作である。 pic.twitter.com/T5aRxI3Xzu
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posted at 13:00:24
全編にわたって盛り込まれているのは作者の迸る太宰治愛もとい徹底した太宰治パロディギャグであり太宰治に対する知識がある読者なら存分に楽しめるのは勿論のこと、太宰治に詳しくなくとも作中でそれとなく説明してくれるので普通に読んでいて楽しめる作りになっているのが嬉しい。
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posted at 12:59:52
「小説家になろう」に投稿されていた作品を書籍化したもの。異世界転生した太宰治が勇者となって人魚のキャサリンもといトミエと共に魔王となった川端康成と戦う話というと荒唐無稽過ぎて意味が分からないかもしれないが実際読んでみると不思議と違和感がないのは単に作者のセンスによるものだろう。
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posted at 12:59:27
高橋弘「太宰治、異世界転生して勇者になる~チートの多い生涯を送って来ました~」読了。愛人・富栄と入水自殺を遂げた太宰治は気がつくと異世界で勇者になっていた。やる気が出ない太宰だったが魔王の正体が文豪・川端康成であると知るや否や生前の芥川賞の件もあって魔王討伐を引き受けるのだった。
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posted at 12:59:11
2020年11月28日(土)
しかしながら本作ではそれを逆手に取って、ある定番のネタを用いた真相を隠し通した点がまず秀逸。更にもう一段階捻ることで本当に恐ろしいものを皮肉的に描いている点も○だが、その一方でフェアに徹しようとするあまり物語ではなくひたすら設定を読まされているような感じを受けてしまうのが難。
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第29回鮎川哲也賞受賞作「時空旅行者の砂時計」に続く特殊設定ミステリシリーズの二作目。本作に導入された特殊設定から人によっては某古典ホラー映画を思い出すかもしれない。前作に引き続き、本作もまた特殊設定のルールが提示された時点で真相の一部が見えやすい欠点を抱えていると言えるだろう。
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posted at 17:03:44
方丈貴恵「孤島の来訪者」読了。幼馴染みの復讐のためテレビ局の無人島ロケに参加した竜泉佑樹だったが初日からターゲットの一人が殺されているのを発見する。しかもその犯行には人ではない何かが絡み佑樹たちの中に紛れ込んでいるという。疑心暗鬼の中、またしても佑樹のターゲットが殺害されて……。
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2020年11月27日(金)
尤も本作がコロナ禍ならではのミステリなのかと問われれば些か疑問が残るものの、最後に明かされる趣向も含め、またこの探偵役が活躍する続編を読んでみたいと思わせてくれること請け合いの良作である。
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そんな本作で最も凝っているのは謎解きのシーンであり、謎解きを一つのショーに見立てて事件関係者たちの隠されていた秘密を暴いていく過程はスリリングかつ、かなり映像映えすることだろう。また犯人の正体に関してもミスディレクションが効いており、その技巧はどことなくクリスティーを思わせる。
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コロナ禍の町で起きた殺人事件の謎を元マジシャンの探偵役が解き明かす長編ミステリ。本作でまず面白いのは探偵役による一切手段を選ばない捜査であり、その傍若無人ぶりもさることながら元マジシャン(しかも天才的な腕前の持ち主)らしい警察や事件関係者を手玉にとる鮮やかな手口は実に痛快。
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東野圭吾「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」読了。コロナ禍で町興しの計画が頓挫した郷里で元国語教師の真世の父・.英一が殺された。捜査過程を一切教えてくれない警察を歯痒く思った真世は元マジシャンの叔父・武史と共に犯人捜しに乗り出す。だがこの叔父というのがかなりの食わせ者で――。
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2020年11月26日(木)
また今回はミステリマニアが登場人物に何人かいるおかげで所々にミステリネタが盛り込まれているのも何気に嬉しい。少なくともこのシリーズに求められるハードルは超えていると断言できる佳作と言っていいだろう。
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posted at 22:44:38
しかしながら作者の企みは多岐にわたっており、第一部の後半から畳み掛けるように明かされていく意外な事実の連続もさることながら、渦中の人であるはずの牧村花音から一転、事件の背後に潜んでいた様々な形の傍聴者がクローズアップされていく構成はさすがの一言に尽きる。
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posted at 22:44:20
六年ぶりの「○○者」シリーズ新作。今回は主に婚活連続殺人事件の容疑者の裁判パートとそれを傍聴する四人の女のパート、そして婚活連続殺人事件の真相に迫るジャーナリストの手記パートの三つの物語で構成されており、錯綜したプロットで知られる折原作品の中では比較的分かりやすい部類と言える。
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posted at 22:43:59
折原一「傍聴者」読了。交際相手の男たちに金品を貢がせ、次々と練炭自殺に見せかけて殺害した牧村花音。友人を殺されたのをきっかけに事件の真相を探るべく花音に近づくジャーナリスト。そして彼女の公判の傍聴に通う女性たち。事件の全貌が見えた時、新たな法廷劇が幕を開ける――。
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2020年11月25日(水)
シリーズ十二作目ということでシリーズ読者以外は手が出しづらいかもしれないが、ウィキペディアなどでこのシリーズの基本的な設定さえ押さえていれば、いきなり読んでも問題なく楽しめると思うので、ミステリファンには是非とも読んでもらいたい所存である。
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posted at 22:54:04
それでいて、どんでん返しも用意しつつ所々ミステリファンがニヤリとする要素を忘れないのはさすがの一言であり、最後にこのシリーズらしい設定と後期クイーン問題をさりげなく絡めてみせる点も実にそつがない。
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posted at 22:53:29
そしてそこからSOS団に突き付けられる挑戦は、ある仕掛けを前提とした風変わりなものであり、その仕掛けのパターンこそ定番ながら、細かく張り巡らされた伏線と、問題を段階を踏んで出すことで伏線の意味合いが変わってくる点が実に秀逸。
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posted at 22:52:58
これまでのシリーズにもミステリらしい話はあったが、今回は冒頭から今まで読んだ中で最も素晴らしいと感じた本格ミステリの話が始まったかと思えば「挑戦」というタイトルに相応しく、クイーンの国名シリーズや後期クイーン問題が引き合いに出されてミステリファンを充分その気にさせてくれる。
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posted at 22:52:18
エキセントリックな女子高生・涼宮ハルヒが設立した学校非公式クラブ・SOS団による非日常系学園物シリーズの十二作目。前作「涼宮ハルヒの驚愕」から実に九年半ぶりに刊行された本作の一番の見所は何と言っても作者が真っ向から本格ミステリに挑んだ書き下ろしの長編「鶴屋さんの挑戦」だろう。
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posted at 22:51:25
谷川流「涼宮ハルヒの直観」読了。現在旅行中で学校を欠席している鶴屋さんから届いた「問題を出すから、皆の衆には解答をお願いするよ」というメールに添付されていたのは、謎の旅の思い出話。それは鶴屋さんからSOS団への挑戦状だった――。書き下ろし長編「鶴屋さんの挑戦」ほか短編二編収録。
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posted at 22:50:42
2020年11月20日(金)
そしてトリを飾る「穏やかで暖かい場所」は作品の方向性から何となく真相が透けて見えてしまうものの、現場の不可解な状況からのロジックの積み重ねは緻密であり、連作の纏めとしても申し分ない。何より最後まで読み終わるとタイトルはこれしかないと思うこと請け合いの傑作である。
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posted at 12:07:52
しかしながらベストを挙げるならドキュメンタリー映画の不可解な改竄を扱った「ワンラウンド・カフェ」でさりげない伏線の巧さとタイトルに隠された意味から明らかになるホワイダニットのどす黒さとそれに付随したある気付きから明らかになる御堂の衝撃的な秘密が堪らない。
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posted at 12:07:32
ミステリとしてみると第一話にあたる「不正と憂鬱」は登場人物の役割の説明回という趣が強いものの話の展開に見るべきところあり。どちらかというとミステリの本領発揮は続く「ゴースト イン ザ ロッカールーム」からで修の推理を御堂がどうひっくり返し、人間の隠れた裏側を暴いてみせるかは必見。
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posted at 12:07:15
修は着想こそ鋭いがどこまでも純粋なのに対し御堂は徹底して人の裏側を見抜こうとする。そのため最初こそ修の推理はあと一歩というところで真相に及ばず御堂にフォローされる形で終わるが、話が進むにつれ修の成長と共に事件の真相は勿論、仲間たちの隠された一面をも見通せるようになる構成が秀逸。
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posted at 12:06:34
「ジャナ研の憂鬱な事件簿」シリーズの作者による四話構成の青春ミステリ連作。本作の探偵役はひょんなことから部活連絡会の仕事を引き受けることになった水と油というべき関係の二人の高校生・御堂慎司と蔵元修が務めているが、面白いのは二人の性格の違いが推理にもかなり反映されている点だろう。
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酒井田寛太郎「放課後の嘘つきたち」読了。日本史のテストのカンニング疑惑、陸上部の幽霊騒動、ドキュメンタリー映画の不可解な改竄……英印高校部活連絡会に所属する文武両道、容姿端麗で一見完璧な三人の高校生たちが校内で起きる事件の謎を解くうち、封印してきた己の過去と向き合うことに――。
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2020年11月17日(火)
渡辺静「魔女に捧げるトリック」1巻読了。魔女狩り真っ只中の中世に転生した天才マジシャンの主人公がマジックを駆使して魔女の烙印を押された者を助けていく話。ネタの組み合わせとしては悪くないし話のテンポも○。魔女革命という大風呂敷と今後出てくるであろう大掛かりなマジックに期待したい。
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2020年11月14日(土)
そして、それ故に本作もまたゴシック・ロマンス要素を孕んでおり、展開は王道的ながらどんでん返しも巧く決まっている。但し真相を踏まえると一部アンフェアではないかという記述もあるが、ある場面からそれが嘘の証言だと察せなくはないので個人的にはギリギリありと判断したい。
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現代の切り裂きジャックを彷彿とさせる連続猟奇殺人の真相を探るため「柘榴館」と呼ばれる不気味な洋館にヒロインが潜り込む長編ミステリ。状況はやや異なるが、逆境に敢然と立ち向かうヒロインのキャラ造形や一部の設定が作者のデビュー作「花園の迷宮」を思わせる。
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posted at 18:13:22
山崎洋子「柘榴館」読了。港町・横浜で風俗嬢が内臓を引き出されただけでなく子宮を切り刻まれる連続猟奇殺人が発生した。事件を目撃したショックで正気を失ってしまった同棲相手の透のわずかな言葉を手掛かりに風俗穣の森岡沙季は裕福な医師一家が住む「柘榴館」に介護士を装って乗り込んで行く。
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posted at 18:13:03