麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年01月30日(土)
収録作の中で特に秀逸なのは部室を使う権利を賭けた漫画研究部とアニメ研究会の対決に纏わる不正疑惑を扱った第三話「ラジカル・ソラリゼーション」で、それまでの直球の犯人当て二編から一転して、発想の逆転をしなければ真相に辿り着けない絶妙な捻り具合が素晴らしい。
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posted at 20:00:59
時に丁寧すぎて途中で真相に気付いてしまいかねない部分もあるが、全編を通して感じられる作者の徹底したフェアプレイ精神は好印象であり、探偵役が「解・け・た」と宣言した時に一旦読むのを中断して作者の仕掛けた謎に挑戦してみるのも一興かもしれない。
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posted at 19:57:04
真面目を絵に描いたような大学生の僕こと宇賀神楽人がミステリ研究会に所属するクイーン好きの美女探偵・霞ヶ浦秋乃と共に三つの事件の真相に迫っていく連作ミステリ。特筆すべきは作中でクイーンの名前を出すだけあって、どの事件も丁寧に伏線を張った上でロジカルに解き明かしている点だろう。
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posted at 19:56:50
中村一「探偵先輩と僕の不完全な事件簿」読了。密室と切断されたマネキンの薬指、消えたエラーコイン、部室を賭けた対決に関する不正疑惑……学生自治会に所属する僕はサークル存続届の実態調査のためミステリ研究会を訪れたはずが自称探偵・秋乃の助手として三つの事件に巻き込まれることになる。
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posted at 19:56:33
2021年01月29日(金)
但しそこから主人公の前に立ちはだかる困難をどう乗り越えるかに関しては一応原理の説明はあるものの登場人物の役割的にあまりにも都合が良すぎるのが気になるが、それについてはもしかしたら四月に出る予定の続編で説明されるのかもしれない。
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posted at 21:10:29
特筆すべきは後半の急展開であり、テンポが緩やかだった前半とのギャップもさることながら、突然未散を襲った悲劇に呆然となっていた主人公がそれまでの物語に隠されていたある事実に思い当たる場面はミステリと言っても差し支えないだろう。
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posted at 21:09:19
第12回GA文庫大賞《金賞》受賞作。一言で言えば百合要素のあるループ物であり、ランダムに陥るタイムループ現象のせいで魔女呼ばわりされている主人公の綾香がクラスメイトの未散と出会い、惹かれていく過程を描いた前半とその未散を襲う悲劇を回避すべく悪戦苦闘する後半で主に構成されている。
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posted at 21:08:49
宇佐楢春「忘れえぬ魔女の物語」読了。今年進学した高校の入学式が三回あったことを、選ばれなかった一日があることをわたし・相沢綾香だけが憶えている。そんな壊れたレコードみたいに『今日』を繰り返す世界でわたしは彼女・稲葉未散と出会い徐々に惹かれていくが、ある事件により状況が一変する――。
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posted at 21:08:20
2021年01月28日(木)
但しタイトルの意味に関してはやや強引な感が否めないが、事件の構造を考えるとそういう役割になるのは仕方がなかったと考えるべきだろう。そして、これが普通のミステリならなるべく自然な流れになるよう苦心するところをギャグ漫画だと明らかにおかしくても何となく成立してしまうのがズルいw
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posted at 22:02:59
謎解きが始まった当初こそ子供騙しかと思ったものだが然にあらず。それは作者が仕掛けたミスディレクションであり、事件の全貌が明らかになるにつれギャグの中に巧みに隠されていた伏線が次々と明らかになる点が実に秀逸。特に漫画であることを最大限に活かしたある仕掛けには大いに唸らされた。
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posted at 19:22:31
曽山一寿「犯人はノブちゃんです」(「なんと!でんぢゃらすじーさん」9巻収録)読了。ギャグ漫画「でんぢゃらすじーさん」シリーズ初の推理もので、でんぢゃらすじーさん一行が雨宿りのために立ち寄った謎の屋敷で命懸けの犯人捜しを強要されるという内容。
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posted at 19:22:17
2021年01月27日(水)
その他の二編「このあと衝撃の結末が」は仕掛け自体は凝っているが肝心のドラマが面白くないのが難、「不眠症」は幻想的なことがやりたかったのだろうがいまいちピンとこなかったものの、前述した二編だけで充分お釣りがくる作品集である。
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posted at 19:07:26
不可能犯罪のハウダニットに関してはその設定から何となく読めるもののフーダニットの方は白井ばりのロジックを駆使することで一筋縄ではいかない異形のパズルを作り上げているのが素晴らしい。一部これはなくてもいいのではと思われる要素もあるが、いい意味で力ずくのオチがそれをフォローしている。
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posted at 19:07:10
次点は「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」で「十五秒」がプロット本格の傑作なら本作は差し詰めロジック本格の傑作。首が取れても十五秒間は死なない一族を巡る異色の首切り(?)物の本作は、発想自体は恐らく国内作家Mの某作からきているのだろうがノリは完全に白井智之のそれである。
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posted at 19:06:52
ベストはやはり「十五秒」であり、死神の介入によって成立することになった十五秒という限られた時間の中で展開される犯人と被害者の頭脳戦もさることながら、その頭脳戦を制した者に待ち受ける皮肉なオチが堪らない傑作と言っていいだろう。
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posted at 19:06:37
作者のデビュー作「十五秒」に合わせたと思われる〈十五秒後に死ぬ〉というトリッキーな状況設定をコンセプトにした作品集。但し「十五秒」以外の収録作に関してはそれほど〈十五秒後に死ぬ〉という設定に必然性が感じられず、個人的には無理に合わせる必要はなかったような気がする。
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posted at 19:06:14
榊林銘「あと十五秒で死ぬ」読了。死神から与えられた余命十五秒をどう使えば「私」は自分を撃った犯人を告発し、かつ反撃できるのか? 被害者と犯人の一風変わった攻防を描く第12回ミステリーズ!新人賞佳作受賞作「十五秒」他、「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」など全四編収録。
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posted at 19:05:52
2021年01月26日(火)
前作から間を置かずに二作目を出したのはいいけれど色々追い付いていないというのが本作に対する率直な感想であり、どうせならもっと時間をかけて前作くらいの完成度のものを出してほしかった。とはいえ相変わらず小説としては読ませるので、過度な期待さえしなければそれなりに楽しめる作品である。
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posted at 21:02:42
前作も途中で着地点が見えてしまう欠点はあったが本作に関してはその比ではないくらいの分かりやすさであり、ここまで分かりやすいと作者は端から意外性を放棄しているのではないかとすら思ってしまう。また物語としても主人公の過去の掘り下げが雑でいまいち物語に貢献していないのも気になる。
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posted at 21:02:26
「法廷遊戯」で第62回メフィスト賞を受賞した作者の二作目。少年犯罪を扱った本作は序盤から狐面の少女が犯した凄惨な殺人事件で掴みはバッチリ、そこから一気に読者を物語に引っ張り込む力は健在ながら、ミステリとしてみると正直物足りなさが否めない。
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posted at 21:02:08
五十嵐律人「不可逆少年」読了。家庭裁判所調査官・瀬良真昼はどんな少年も見捨てないはずだったが、狐面の少女が犯した凄惨な殺人事件を目の当たりにして信念が揺らぐ。不可解なことに被害者は全員同じ高校に縁のある人々だった。ある時、真昼は被害者遺族の男子高校生を担当することになり……。
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posted at 21:01:46
2021年01月23日(土)
「クレイジー・キラー/悪魔の焼却炉」観了。花嫁姿の女ばかりを殺している殺人鬼の男が妻を殺したら、妻の幽霊に付き纏われる話。タイトルだけ見るとB級ホラーっぽいが蓋を開けてみたら意外と真っ当な幽霊譚だった(焼却炉が言うほど活躍してないし)。所々見られるバーヴァらしい幻想的演出が○。
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posted at 23:27:36
最終的に語られる便利屋の正体に関してはそこまで意外性はないものの、彼が担っていた真の役割の方は元弁護士の作者らしい発想であると共に、なぜ便利屋の対決相手が都築だったのかという必然性がそこで分かる点がいい。
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posted at 19:08:54
そして都築と便利屋の対決がメインとなる五話以降の後半では一転してクライムサスペンス度が強くなると共にバカバカ死体が転がるようになるのが面白い(個人的には第七話「飛んで火に入る」におけるある殺人トリックがさらりと語られるには勿体ないほどよく出来ていて○)。
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posted at 19:07:55
どこから見ても健康そのものの男が自分の葬式を挙げてほしいという依頼してくる時点で何とも人を食っているが、そこから次第に明らかになっていく登場人物たちの裏の顔もまた大概であり、その化かし合いの中に巧みに隠蔽された便利屋の役割は正に大胆不敵の一言に尽きるだろう。
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posted at 19:07:31
作者曰く「単なる本格の範疇にとどまらずエンターテインメントとしても楽しめる」「新しい試みにチャレンジした」と語る全八話構成の本作は前半四話までは悪党たちが企む事件において「便利屋が何を担っていたか?」が焦点となっており、中でも奇妙な葬式依頼から始まる第三話「死体が入用」が秀逸。
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posted at 19:06:56
謎の便利屋を巡る連作ミステリ「極上の罠をあなたに」(単行本)を文庫化改題し、書下ろし四編とあとがきを加えた完全版。書下ろし四編では単行本版では保留になっていた都築一成警部補と便利屋の対決がメインになっており、その決着及び便利屋の正体と彼の真の役割について描かれている。
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posted at 19:06:36
深木章子「罠」読了。背徳の街・槻津市で繰り広げられる悪事の数々。政治家、葬儀屋、医師、弁護士、刑事、学校、旅行会社……いずれも悪知恵を働かす悪党ばかり。そんな彼らにするりと近付き、いとも華麗に知力で騙す、便利屋を名乗る謎の男は一体何者なのか?
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posted at 19:05:45