麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年09月30日(木)
正直ここまでの仕掛けを隠し通した技巧には脱帽の一言であり、加えて物語の着地も申し分ない。実をいうと作者の前作「絞首商會」はミステリとして光る部分はあれどそこまで評価はしていなかったのだが本作に関しては前作を大きく上回る完成度で確実に化けたと感じさせてくれる傑作と言っていいだろう。
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posted at 21:33:44
それでいてミステリとしても抜かりがなく、てっきり財宝探しメインでそれにちょっとした不可能犯罪を付け加えただけの話かと思いきや終盤の謎解きでバリバリの本格ミステリへと変貌。怒涛の伏線回収と共に明かされる財宝と不可能犯罪が密接に絡み合ったばかりか奇想まで交えた事件の構図には吃驚仰天。
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「絞首商會」で第60回メフィスト賞を受賞した作者の二作目となる時代本格ミステリ長編。まず秀逸なのは元サーカス芸人の借金取りという探偵役ユリ子のキャラでその経歴を活かした冒険活劇もさることながら彼女に触発されて徐々に自分の生き方を見直していく鞠子の成長物語としても楽しめるのがいい。
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夕木春央「サーカスから来た執達吏」読了。大正十四年。樺谷家の三女・鞠子は莫大な借金の担保として連れ去られたばかりか借金の取り立てに来たサーカス出身の少女・ユリ子と共に「財宝探し」をすることになる。そんな二人の前に立ちはだかるのは暗号と十四年前に密室から消失した財宝の謎だった。
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2021年09月29日(水)
但しそのサプライズが成功しているかと言われるとやや疑問で丁寧すぎる伏線が災いしサプライズはおろかオチまで透けて見えるのが難。しかしながらそれらに途中で気付いてしまったとしても作者の絶妙な語りと演出のおかげで感動的な物語は損なわれておらず最後まで安心して楽しめる良作と言えるだろう。
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一応ミステリとしての本作の見所はコロナ禍から着想を得たと思われる未知の感染症と主人公が出会った不思議な家族がどう関わってくるのかという点なのだろうが、それとは別に実はミステリ的サプライズが幾つか仕掛けられている。
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新興宗教といじめの板挟みになっていた幼い頃の主人公を救ってくれた不思議な家族を巡るホラーミステリ。といってもホラーとしての怖さはそれほどでもなく、どちらかというと主人公の悲惨な過去が描かれる前半からイヤミス要素を感じる人の方が多いかもしれない。
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宇佐美まこと「子供は怖い夢を見る」読了。幼い頃、新興宗教の犠牲になって死んだ航の妹を救ってくれたのはクラスメイトの蒼人とその家族だった。二十二年後、世界に未知の感染症が蔓延しつつある中、奇跡的に生き別れていた妹と再会した航はある理由からあの家族が感染症と関わっていることを知り――。
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次点は第一話「綺麗な脚の女」で、この手のトリックではなかなか斬新かつ、きちんとそれを活かすシチュエーションを作り上げている点が○。尤も連作としての仕掛けという点では前作より劣ると言わざるを得ないが、それでも猟奇殺人に特化したネタの見せ方に関しては前作にも引けを取らない佳作である。
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ベストを挙げるなら第二話「首を切られた男たち」でシチュエーションの奇妙さもさることながら発見された時の状況とある人物の目撃証言の食い違いを丁寧に検証することで見えてくる意外性と首切りの理由が素晴らしい。些か苦しい部分はあるもののあえてこの仕掛けに挑戦した作者の意気込みを買いたい。
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とある理由で続編は無理と思われていた連作ミステリ「純喫茶「一服亭」の四季」のまさかの続編。純喫茶だったのを居酒屋に、探偵役を二代目にといった変更はあるものの、扱う事件は全て猟奇殺人というコンセプトはそのままに手を替え品を替え、なぜ切断したのかというホワイダニットで魅せてくれる。
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東川篤哉「居酒屋「一服亭」の四季」読了。密室から消失した血まみれの胴体、目撃証言と食い違う首なし死体の出現、片足を切断された男の死体、火事のあった離れで見付かった細切れの死体……鎌倉の路地裏にある居酒屋「一服亭」の女将・二代目安楽椅子(あんらくよりこ)が四つの猟奇殺人の謎を解く。
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2021年09月28日(火)
ポール・アルテ「怪狼フェンリル」読了。雪の降り積もった朝、離れで人妻がフェンリルと呼ばれていた狼に襲われたとしか思えない状況で死んでいるのが発見される話。トリックだけ取り出せばベタとしか言いようがないものながら手がかりの出し方に工夫があり真相が明かされると成る程ねと思える点は○。
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それでも過去の雪密室殺人の方はそれなりに凝っているもののあくまで古典トリックの粋を出ないためどうしても物足りなさは否めない。またラストで明かされる真相にしても意外性を出そうとする努力は買うが読んでいる方としてはやっぱりねとしか思えないため総じて微妙な出来と言わざるを得ないだろう。
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名探偵オーウェン・バーンズシリーズの邦訳第四弾はシリーズの一作目にあたる雪密室物。過去と現在で起きる二つの雪密室殺人と混沌の王の伝説に纏わる不可解な死の連鎖は魅力的だが、謎を魅力的に演出すればするほど真相のガッカリ感が際立つ典型例になってしまっているのが残念。
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ポール・アルテ「混沌の王」読了。名門マンスフィールド家の人々は毎年の聖夜に現れて一族の誰かの命を奪うという白面の亡霊「混沌の王」の影に怯えていた。事実、三年前のクリスマスにも当主の息子エドウィンが雪密室の状況で殺されていた。そして交霊会が開かれた夜、新たな雪密室殺人が発生して――。
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2021年09月27日(月)
「ピクニック at ハンギング・ロック」観了。ピクニック先の岩山で三人の少女と一人の教師が神隠しに遭う話。ミステリというよりミステリアスな物語で真相を期待するのではなく不気味な雰囲気と神隠しを機に破滅へと突き進む過程を楽しむものだろう。謎は解かれない方が美しいという見本のような作品。
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2021年09月25日(土)
「SF白い恐怖」観了。雪山の研究所で起きた変死事件の謎と二人の科学者を襲う恐怖。密室劇のミステリ風に始まるものの終わってみればよくできた星新一ショートショートみたいな話だった。尤も登場人物の少なさから途中で何となくオチが読める人もいるかもしれないが、これがSFかと言われると……?
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個人的には某シーンでその前のやり取りから、ちせVS.ドラゴンを期待したが、残念ながらそんなものはなかったよ……。あと今のところベアトリスがただの可愛いマスコット状態でしかないのもアレ(そろそろ見せ場がほしい)。
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posted at 20:44:57
「プリンセス・プリンシパル Crown Handler」第2章観了。新型爆弾と王子狙撃を巡る騒動。ヒントがあからさまなので事件の真相自体は読みやすいかもしれない。第1章同様策謀中心でアクションは少なめ。かなり気になるところで終わってるので第3章が待ち遠しいがその第3章の公開時期が未定って……。 pic.twitter.com/j8Ku5AzqJW
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2021年09月22日(水)
それぞれの書き手の持ち味が活かされた独立したホラーミステリとしても楽しめるが、やはりここはリレー小説として怪談の連鎖が一体どんな結末を迎えるか、是非その目で確かめてほしいと思う。
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その他トリを飾る陳浩基「魯魚亥豕」はこの作者らしからぬラブコメ展開に戸惑う人もいるかもしれないが(なぜそうなったかはあとがきを読んで納得)さりげなく盛り込まれた伝奇要素を活かしたミステリ的仕掛けとリレー小説の集大成とも言うべき大団円が何とも心地いい。
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posted at 20:07:44
次点は三話目の夜透紫「呪網の肴」で、衆人環視の毒殺事件という収録作中最もミステリ色の強い内容もさることながら、異色の「毒」だからこその盲点をついたトリックとインフルエンサーという設定を巧みに活かした悪意と怪談風幕引きが○。
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posted at 20:07:23
ベストは四話目の瀟湘神「鰐の夢」で、作中の娼婦の謎めいたエピソードも魅力的だが、何よりも冒頭の三津田信三の短編を踏襲した実話怪談風語りをやることがミステリ的仕掛けの絶妙なミスディレクションとなっている点が秀逸(後にあとがきで作者が某作を挙げているのを見て大いに納得した次第)。
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posted at 20:07:08
ホラーミステリの書き手として知られる三津田信三の短編を基に香港・台湾のホラー&ミステリ作家四人(薛西斯、夜透紫、瀟湘神、陳浩基)が競演したリレー怪談小説。タイトル通りリレー小説ならではの怪談の連鎖が齎す面白さは勿論、全編に盛り込まれた何らかのミステリ的仕掛けも見所になっている。
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三津田信三他「おはしさま 連鎖する怪談」読了。夢の中で一人ずつ死んでいく小学生。珊瑚の箸に宿る霊神。都市伝説に殺された動画配信者。壮絶な過去を告白する娼婦。決して離れない異形の怪物――恐怖小説の匠・三津田信三が描いた箸(おはしさま)の怪異が海を超え伝染しやがて驚愕の真相に辿り着く。
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2021年09月20日(月)
「ゾンビーバー」観了。タイトル通りゾンビ化したビーバーに襲われる話。手作り感溢れるゾンビーバーが微笑ましい一方でただゾンビ化しただけではなくちゃんとビーバーの特性を活かしているのは○。但し噛まれた人間までゾンビーバー化するのはさすがにやり過ぎな気がしないでもない(あとオチが酷い)
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二作とも甲乙つけがたい秀作ながら、個人的には特に限られた人間のみ読むことができた「魔術師」が今回ようやく本という形に纏まり、より多くの人の目に留まる機会が与えられたことを素直に喜びたい。
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posted at 19:05:33
一方「魔術師」は神秘学に彩られた孤島の館で起こる連続怪死事件の顛末を回想で振り返る構成となっており、絢爛豪華な事件の展開もさることながらその構成が後にあるミスディレクションとして活きてくる点がいい。加えてタイトルに象徴される事件の真相とある人物の思惑を絡めた寓話的ラストも○。
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「模像殺人事件」は失踪していた長男を名乗る二人の包帯男の出現という横溝的導入部+クローズド・サークルで殺人事件が起こるいかにもな展開の中に巧妙に隠されたホワットダニットが秀逸である意味現代的とも言える歪な構図と一度終わった事件を見直すきっかけとなる兄妹の逸話の幕引きが実に印象的。
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posted at 19:04:48
作者が2016年にネット上で公開していた長編「魔術師」と2004年に東京創元社より刊行された長編「模像殺人事件」の二作を収録。長編二作に共通して言えるのは古典的探偵小説の設定を使って人工的かつ意外な構図を作り上げている点であり、そこに作者のミステリセンスを見て取ることができる。
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posted at 19:03:16
佐々木俊介「魔術師・模像殺人事件」再読了。神秘学に傾倒する伝説的実業家の住む洋館で独自の英才教育を受けて育った四人の子供達が次々と変死を遂げていく「魔術師」、山奥で暮らす一族の屋敷に失踪していた長男を名乗る二人の包帯男が現れたのを機に起こる殺人事件「模像殺人事件」の長編二編収録。
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posted at 19:02:47