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麻里邑圭人

@mysteryEQ

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  • 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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2011年07月22日(金)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月22日

一条明「ルーシーにおまかせ!」読了。七歳の誕生日を迎えたその日、ジュールは両親から衝撃的な事実を知らされる。何と自分は過去に殺害されていて、今の自分はクローンだと言うのだ。そしてお付きのメイド・ロボットのルーシーにはあろうことか、その自分を殺した男の脳が移植されていると言う……。

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posted at 23:06:59

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月22日

殺人事件が起こらなくなった時代に何故犯人は七歳の少女を暴行した上で殺害したのか?……そんな異世界本格ミステリっぽい魅力的な謎に惹かれて読み始めた物語だったが、結論から言えば本格は本格でもミステリというよりどちらかと言えば「マルドゥック・スクランブル」に近い本格SFだった。

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posted at 23:08:04

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月22日

ミステリとして見れないこともないが、やられた感は正直薄い。とはいえこの緻密に組み上げられた物語と文体は明らかに新人離れしていてぐいぐいと読ませる。というか、覆面作家で本作がこの名前でのデビュー作という紹介文を見る限り、既に活躍している作家の別名義という可能性の方が濃厚だろう。

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posted at 23:09:18

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月22日

微妙に殊能将之を彷彿させるところもなくはないが、さすがにそれは深読みし過ぎかもしれない(苦笑)。とりあえず次回作にも大いに期待したいと思う。

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posted at 23:10:36

2011年07月24日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月24日

皆川博子「開かせていただき光栄です。」読了。傑作……といっても、本格ミステリとして傑作という意味ではない。十八世紀のロンドンを舞台に解剖教室、顔のない死体、四肢を切断された少年、暗号、密室、盲目の判事といったミステリ・ガジェトを駆使して、作者は巧みに物語を紡いでいく。

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posted at 20:22:17

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月24日

幾つもの不可解な謎がある。推理もある。そして、どんでん返しもある。しかしながら、読み終わった時に残るのは本格ミステリとしての驚きではなく、豊潤な物語としての感動だ。ミステリの絢爛な装飾に惹かれる人にこそお勧めしたい作品である。

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posted at 20:23:20

2011年07月26日(火)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

貴志祐介「鍵のかかった部屋」読了。最近の密室を扱った作品というと、その殆どがトリックよりも何故密室にしたのかというホワイダニットに重点が置かれているのに対し、本作は愚直なまでにトリックに拘っている。本作で読者が求められている問題は極めてシンプルだ。――どうやって密室にしたか?

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posted at 02:05:23

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

だが、シンプル故に答えを出すのは極めて難しい。そのトリックの斬新さもさることながら(一部前例があるものもあるが)、構成一つとっても全てそのトリックを成立させるための無駄のない仕上がりなのが素晴らしい。またシリーズ長編でも見られた仮説のビルド&スクラップは中編集である本作でも健在。

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posted at 02:06:25

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

そして最後には犯人との対決まで用意されているという、至れり尽くせりぶり。但し、最後に収録されている「密室劇場」はギャグ作品なのでそれに該当しない。個人的には最後はギャグで落とさない方が良かったような気がするのだけど……ちなみにベストを選ぶなら「佇む男」。

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posted at 02:07:04

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

初野晴「初恋ソムリエ」読了。吹奏楽部所属の穂村チカと上条ハルタが活躍するハルチカシリーズ第二弾の本作は聞くところによると一部では前作「退出ゲーム」よりもミステリ度は劣ると言われていたようだがとんでもない。本作は前作に勝るとも劣らない、いや、それ以上に技巧的な作品に仕上がっている。

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posted at 18:38:09

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

特に感心したのは一月のうちに三度も行われた奇妙な席替えと熱血教師の謹慎が絶妙にリンクする「アスモデウスの視線」でこれこそ日常の謎の良い見本だと思う。また表題作にしても初恋鑑定というほのぼのとした内容からは想像もつかない真相のギャップ感が素晴らしい。個人的には前作よりも面白かった。

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posted at 18:39:21

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

安萬純一「ガラスのターゲット」読了。二十人以上の死者を出した世田谷の爆破事件と八王子、町田で立て続けに起こった若者の集団毒殺事件には繋がりがあった。……鮎川哲也賞授賞後第一作である本作は事件自体は派手だが、展開は前作「ボディ・メッセージ」と同様、極めて地味という欠点を抱えている。

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posted at 22:17:26

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

作者には申し訳ないが、判明した事実のみを淡々と記していくその展開は退屈の一言に尽きる。これで真相にそれらを帳消しにしてくれるくらいのインパクトがあればまだ良かったのだが、残念ながら最後までこちらの予測を上回ることなく終わってしまった。

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posted at 22:18:37

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月26日

光る部分が全くないとは言わないが、その大半が既視感あるものなのがまた辛い。色々言いたいことはあるが、とりあえず自分はこの作品を楽しむことができなかった。

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posted at 22:19:43

2011年07月27日(水)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月27日

赤川次郎「悪妻に捧げるレクイエム」読了。西公路俊一というペンネームで小説を共同執筆する四人の男たちが選んだ次の新作のテーマはズバリ「妻を殺す方法」。日頃から妻に悩まされている男たちは早速そのテーマに則った小説を書き始めるが、やがて現実でも小説をなぞったような出来事が起こり始める。

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posted at 18:06:43

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月27日

まず最初に断っておくと、本作はミステリではない。しかしながら「死者の学園祭」や「マリオネットの罠」でも見られた構成の巧さは本作でも健在で、四つの作中作と四組の夫婦の物語を対比させた構成が実に秀逸。後味も悪くないので、気軽に読むには打ってつけの作品である。

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posted at 18:07:20

2011年07月28日(木)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月28日

赤川次郎「魔女たちのたそがれ」読了。「助けて……殺される」事の始まりは津田の許に幼なじみの依子からかかってきた助けを求める電話だった。確か依子は山の中の小さな町で小学校の教師をしていたはずなのに……。閉鎖された町で連続して起こる動機不明の殺人事件。一体町では何が起きているのか?

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posted at 18:19:02

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月28日

奇妙な作品である。次々と不可解な事件が発生するものの、一体何が起きているのか作者は読者に一切明かさないまま、話だけがどんどん進んでいく。そして残りあと十ページを切り、広げた風呂敷にどう収拾つけるのかと思ったら……。

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posted at 18:19:18

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月28日

本作に関しては、あまり多くは語れない。しかしながら作者が何故こういう構成にしたのか、最後まで読むと大いに納得することだろう。読了後の余韻が絶妙な傑作だと思う。

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posted at 18:19:36

2011年07月30日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月30日

初野晴「水の時計」読了。脳死と診断された少女・葉月が最期に望んだのは自らの臓器を移植を必要としている人々に分け与えることだった。そして、その運び屋として暴走族の少年・昴が選ばれる――第22回横溝賞受賞作の本作は「幸福の王子」を下敷きにした現代の寓話とも言うべき内容になっている。

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posted at 19:16:05

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月30日

本作の見所は二つ。何故、昴が選ばれたのか。そして、昴は誰を助けようとするのか、である。それらが連作形式で語られていく展開はミステリというよりまるでお伽噺のよう。正直ミステリとしては物足りない所もあるものの、ハルチカシリーズにも見られる瑞々しい筆致と構成の巧さで読ませる作品である。

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posted at 19:16:44

2011年07月31日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月31日

初野晴「漆黒の王子」読了。ある地方都市を舞台に、次々と眠るように死んでいくヤクザたち。それと平行して地下の暗渠に隠れ住む七人のホームレスたちと記憶を失った「わたし」の物語が語られていく。

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posted at 21:30:31

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月31日

前作「水の時計」を思わせる寓話的なストーリーと血と暴力に彩られたノワールが一つに結び付いた時、本格ミステリという本作のもう一つの顔が明らかになる――巧みに隠された暗号もさることながら、何よりもこの世界観ならではの盲点をついたトリックが秀逸。

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posted at 21:31:03

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年7月31日

その一方で本作はノワールとしても良くできており、高遠と紺野という二人のヤクザが周囲を巻き込みながら破滅へと向かっていく様は、タイトルにあるような漆黒の魅力に満ちている。ハルチカシリーズとはまた違った作者の一面を垣間見ることができる作品である。

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posted at 21:31:38

2011年08月01日(月)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月1日

初野晴「トワイライト・ミュージアム」読了。脳死と診断された患者。だが実は魂が過去を彷徨っているだけだとしたら? 「新感覚タイムトラベル・ミステリ」と銘打たれた本作はこの作者の作品の中では最も異色である。というのも本作はこれまでの作品とは違い、ミステリが軸にある物語ではないからだ。

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posted at 21:25:05

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月1日

まずファンタジックな設定ありきでミステリ要素は後付けにしか過ぎない。そのためミステリとして期待して読むと、どうにも物足りなさを覚えてしまう。しかしながらトリックのしがらみから離れた、ファンタジックな物語を楽しみたい読者であれば、その期待には充分応えてくれるだろう。

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posted at 21:25:40

2011年08月03日(水)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月3日

初野晴「1/2の騎士」読了。好きになった人は女装癖のある美少年幽霊だった――。アーチェリー部主将でレズビアンの女子高生・マドカは幽霊のサファイアと共に「ドッグキラー」「インベイジョン」「ラフレシア」「グレイマン」という異名を持つ四人の異常犯罪者と対決することになる。

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posted at 12:49:56

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月3日

一言で言えば、ファンタジー設定のハルチカシリーズ。文庫にして六百頁を超える作品だが、連作形式で進んでいくため、それほど大作感はない。ノリとしては一話完結のアニメシリーズに近い印象か。本作を読んで自分が思い出したのは、乙一「GOTH」だ。

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posted at 12:50:10

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月3日

「GOTH」のヒロインが完全な巻き込まれ型だったのに対し、本作のヒロインは自ら進んで事件に首を突っ込んでいく。連作を活かした仕掛けがないなど幾つか不満はあるものの、異常犯罪者ならではのホワイダニット物としてはなかなかの秀作が揃っている。個人的なベストは「インベイジョン」。

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posted at 12:50:37

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月3日

丸山天寿「咸陽の闇」読了。密室状況下から忽然と消え失せた人食い女と死体、若い娘の連続失踪、屋敷に残された皮だけが残った大量の死体、人造人間の研究等々、これでもかとばかりに不可解な謎を積み上げる作風は従来と変わらないが、本作は何と言ってもバトルパートが面白い。

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posted at 23:08:38

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月3日

謎解きの前に武人同士のバトルが控えている構成もまたいつも通りと言えばいつも通りだが、今回は前二作よりも趣向を凝らしているように思う。個人的にはそれだけでも充分満足だったのだけど(爆)今回はその後の謎解きでも一部であっと驚かされた。

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posted at 23:09:10

麻里邑圭人 @mysteryEQ

11年8月3日

具体的な言及は避けるが国内の某作品を彷彿とさせるその真相は、書き方によってはそれなりの破壊力があるはずなのに、これもまたいつも通りあっさりと済ませてしまっているのが何とも惜しいところ。色々詰め込みたいのは分かるが、次回作ではもう少し謎解き部分もじっくりとやってほしいと思う。

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posted at 23:13:29

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