麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年04月18日(木)
表題作にしても、犯人側の論理を逆手にとって追い詰めていく様が実に鮮やかで、とても「無理やり作り上げた(作者談)」とは思えない。本作は作者の数少ない直球の本格短編が堪能できる作品集である。
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また扱っている事件の方も雪密室に殺された人形、不自然な格好の死体と極めて本格ミステリ的で、「白い殉教者」は読者をミスリードするための展開が、「天国に近い死体」は大胆な真相を成立させるために細かい工夫を凝らしている点が秀逸。
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本作で注目すべきところは何といっても「白い殉教者」「天国に近い死体」で探偵役を務める徳大寺京介の存在だろう。マサイ族の青年を思わせる容姿の彼は、正に絵に描いたような名探偵そのものであり、トラベルミステリの西村京太郎しか知らない読者であればそのギャップにかなり驚くに違いない。
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西村京太郎「一千万人誘拐計画」読了。東京都民一千万人を誘拐したという犯人の驚くべき計画を描いた表題作を始め、雪の降り積もった公園で殺害されていた全裸美女の人形に端を発する殺人事件「白い殉教者」、山の頂上で発見されたパジャマ姿の死体「天国に近い死体」など全五編を収録。
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2013年04月17日(水)
これで伏線が完璧ならば本格としても評価できたのに……と思わなくはないが、それを抜きにしてもプロットの転がし方はさすがと言わざるを得ないだろう。ベストは喫茶店の女店主がひょんなことから自分の店に入った気の弱い強盗と一緒に銀行からの現金強奪を企てる「ボニーに首ったけ」。
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収録作はいずれも何らかの問題を抱えた主人公が事件に関わることでそれまでの自分を見つめ直すという流れになっているが、特筆すべきはその過程が決してワンパターンに陥っていないことだろう。またミステリとしても意外な構図の反転や畳み掛けるようなどんでん返しを用意しており、実に油断ならない。
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山崎洋子「危険なあなた」読了。高校時代の仲良しである、三十五歳を迎えた五人の女をそれぞれ主人公にした連作ミステリ。「あじさい色のレディ」「曼珠沙華の夜」「ボニーに首ったけ」「騒々しい悪魔」「あなたのいない夜」の五編収録。
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2013年04月16日(火)
最後の「神の邪心」は収録作中最もサスペンス性が高く、火事に殺人に誘拐と立て続けに事件を起こしつつも、おりんの葛藤を違和感なく組み込んでいるあたりが実に巧い。ミステリとしてもさることながら、時代小説、青春小説としても大いに楽しめる作品である。
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posted at 21:51:11
むしろミステリとしては演劇の最中に起こった狙撃事件を扱った二編目「薔薇の悲鳴」からが本番で、さりげない伏線と史実の絡ませ方が秀逸な佳編。続く、俥屋を次々と襲う謎の女を描いた「狂女」は真相を完全に見抜くのは難しいかもしれないが、大胆な伏線の張り方に見るべきところがある。
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明治という時代を舞台に十八歳の少女・おりんの恋と成長を描きつつ、ミステリとしてもきっちり魅せてくれる良質な連作集。とはいえ、おりんがアリバイの証人となる一編目「らしゃめん」に関しては、一応展開に工夫を凝らしているとはいえ、長さの割りにネタ自体はそれほどでもないのがやや残念。
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山崎洋子「横浜幻燈館 俥屋おりん事件簿」読了。瓦斯燈ゆらめく明治32年の横浜でフェリス英和女学校に通う俥屋のおてんば娘・おりんが遭遇した四つの怪事件。「らしゃめん」「薔薇の悲鳴」「狂女」「神の邪心」の四編を収録。
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2013年04月15日(月)
正直、メインの事件だけ見れば吉敷よりも御手洗の方がしっくりくる気がするが、物語全体に漂うラブロマンスは(「異邦の騎士」という例外を除けば)吉敷というキャラだからこそ出せたとも言える。
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初読の時も思ったことだが何故これを吉敷シリーズでやろうと思ったのか作者を問い詰めたい(爆)。前作まではまだトラベルミステリーの枠内に留まっていた感があったが、本作では一転、百頁いく前にトラベルミステリーであることを完全に放棄(!)し御手洗シリーズばりの奇想本格ミステリに変貌する。
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posted at 19:50:23
島田荘司「北の夕鶴2/3の殺人」再読了。「ゆうづる九号」の車内から発見された女の死体がどうやら別れた妻・通子のものらしいという話を聞き付けた吉敷刑事は、居ても立ってもいられず必死の捜査活動を開始する。だが、そんな彼を待っていたのは鎧武者の亡霊が闊歩する恐るべき不可能犯罪だった。
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2013年04月13日(土)
これぞ島荘と言わんばかりに派手な見た目とは裏腹な、緻密な犯罪計画にまず驚かされる。時刻表が苦手だとやや辛い部分もあるが、事件に八俣の大蛇の伝説を絡めることによりビジュアル的イメージを喚起させ分かりやすく演出しようとしている点は○。豪腕で知られる作者の意外な一面が窺える力作である。
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島田荘司「出雲伝説7/8の殺人」再読了。山陰地方を走る六つのローカル線の終着駅と大阪駅に到着した車両から相次いで発見された女性のバラバラ死体。しかし何故か首だけは遂に発見されなかった。休暇で郷里に帰っていた吉敷刑事は偶然にも死体発見現場に遭遇、事件に関わることになる。
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posted at 19:16:47
尤もトリック自体は、今となっては幾つか作例があるためすぐに読めてしまうかもしれない。だが、それを差し引いてもこの作者ならではの偶然の積み重ねによるドラマティックな演出が素晴らしく、それだけでも本作を読む価値はあると思う。
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posted at 12:42:54
本作で最初に起こる事件はこの作者らしからぬ地味なものだが、それはあくまで前降りに過ぎない。メインとなるのは途中で明らかになる過去の事件の方であり、そこからが作者の本領発揮、謎のメッセージの意味が明らかになるものの、ますます事件は混迷を極めていく。
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posted at 12:42:35
島田荘司「夜は千の鈴を鳴らす」読了。博多駅に到着した寝台特急〈あさかぜ1号〉の車内で女社長が心不全で死んでいるのが発見された。彼女は死の直前、半狂乱で「怖い!怖い、ナチが走ってくる!」と口走ったという。不審に思い独自の捜査を開始した吉敷刑事はやがて過去の恐ろしい犯罪を突き止める。
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posted at 12:42:13
2013年04月12日(金)
それでも真相が面白ければまだ救いがあるのだが、基本的に脱力系(特に「D坂の密室殺人」が酷い)かこじつけかのどちらかで、無駄な描写が多いのも気になる。唯一の例外は「発狂する重役」で、突き落とした女が一瞬にしてミイラになる謎は面白いが、真相がバレバレすぎるのが難。
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posted at 17:30:01
島荘流社会派ミステリ短編集。但し本格ミステリとしてみると、かなり微妙。ただのサスペンス物はさておき、収録作の中には密室などの不可解な謎が出てくるものもあるが、それをやる必然性に乏しく、作者お馴染みの主張(都市論、日本人論)だけが空回りしている印象が否めない。
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posted at 17:29:17
島田荘司「展望塔の殺人」読了。東京・飛鳥山公園の展望台で主婦が刺殺された事件は、奇妙なことに犯人である売店アルバイトの女子大生と被害者を繋ぐ接点がまるでなかった。一時は動機なき衝動殺人と思われたが、事件の裏には恐るべき狂気が……。表題作含む六編収録。
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posted at 17:28:38
2013年04月11日(木)
ただ個人的に最も感心したのは行き違いのそもそものきっかけであり、あれは主人公でなくても絶対間違えると思う(笑)。とはいえ、本作の一番の見所は皮肉な構図かもしれない。
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posted at 18:10:37
本作をミステリとしてみた場合、仕掛けは極めて単純。しかしながら謎の見せ方が非常に凝っているために、仕掛けの弱さを一切感じさせない。これはある意味はったりが物を言うマジックにも共通するものがあり、そういう点ではマジシャンでもある作者らしい作品と言えるだろう。
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posted at 18:10:18
泡坂妻夫「迷蝶の島」読了。思わぬ行き違いから結び付いた一組の男女。だが男は女を愛しておらず、それどころかある出来事をきっかけに女に殺意を抱き、太平洋に漂う小さなヨットの中で女を殺害しようとする。……そして、絶海の孤島の松の木に吊るされた死体が一つ。二人の間に、一体何が起きたのか?
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posted at 18:10:06
2013年04月10日(水)
正直ミス研という設定がほとんど活かされていない(というより、こんなのミス研じゃない(爆))など幾つか不満もあるが、思ったよりもミステリしていたし、何よりも予定調和の恋愛劇が心地よい。探偵小説と後輩と恋愛小説をいっぺんに味わいたい人にはお勧めの作品である。
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posted at 22:09:58
三編目は物語の転換期としての側面が強いが、一応ミステリとしてもそれなりのものに仕上がっている。そしてこれ以降、物語はミステリから予定調和ともいえる恋愛劇に移行することになるのだが、それでも合間合間にミステリ風味を織り混ぜることにより探偵物らしい恋愛劇を演出することに成功している。
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posted at 22:09:13
この二編目「君に近づく正しい方法」はキャラ設定が真相の巧い目眩ましになっており、伏線も綺麗に決まっている。勘のいい人ならすぐに真相に気付いてしまうかもしれないが、少なくとも自分は見事にしてやられた。この短編から失恋探偵の本領発揮と言っていいだろう。
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posted at 22:08:51
一言でいえば探偵小説で恋愛物をやってみたような作品で、ノリとしては日常の謎物の連作ミステリに近いかもしれない。尤も最初の話を読んだ時点ではミステリ要素は薄く(推理はあるがこじつけ感が強い)イマイチ失恋探偵という設定に面白さを見出だせなかったが、それも二編目でガラリと印象が変わる。
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posted at 22:08:18
岬鷺宮「失恋探偵ももせ」読了。失恋探偵。それはミステリ研究会の部室を根城にして行われる、学校非公認の探偵活動。その活動内容は「恋に破れた人のために失恋の真実を解き明かす」こと。今日も野々村九十九は「失恋探偵」である後輩の千代田百瀬と共に依頼人たちの叶わぬ恋の謎を紐解いていく。
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posted at 22:08:00