麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年10月29日(火)
個人的に本作で最も感心したのは舞台を現代に設定していることで、これによりトリックを奇想として昇華させているのが素晴らしい。一部のトリックに前例があったり明らかに活劇描写が書き慣れていなかったりと不満もなくはないが、この作者らしい○チガイじみたトリックが堪能できたのでよしとしたい。
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posted at 22:39:34
邪馬台国と密室を前面に押し出した本作の内容紹介はさながら井沢元彦「卑弥呼伝説」のようだが、作者の邪馬台国論がメインでミステリ部分がオマケに過ぎなかった「卑弥呼伝説」とは対照的に本作はあくまでトリックを成立させるために邪馬台国を持ち出している(それはあとがきでも作者が語っている)。
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posted at 22:38:53
獅子宮敏彦「卑弥呼の密室」読了。ライター黒覇が謎の美女に連れられてやって来たのは邪馬台国の末裔が暮らす山村・邪馬栄国。そこで彼は女王として君臨する老女・魅与を襲った暴漢が奇妙な建物の密室で首吊り死体となる事件に遭遇する。それから間もなくして今度は魅与が足跡なき密室で殺されて――。
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posted at 22:38:19
2013年10月28日(月)
というのも本作は全体的に悪い意味で分かるわけがないネタで構成されており、バカミスという言葉を免罪符にそれらを強引に押し通そうとしている感が否めない(一部分かるネタがあっても、残念ながら前例があったりする)。
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posted at 23:03:35
詰め込みすぎ、無理ありすぎ、悪乗りしすぎ――本作に対する感想は、おおよそこの三つに集約されるだろう。尤も最後の「悪乗りしすぎ」という点に関しては相性によるところが大きいかもしれないが、純粋にミステリとしてみても本作の真相は相当苦しいと言わざるを得ない。
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霞流一「奇動捜査ウルフォース」読了。マイクや定規などが埋め込まれた死体、マンション六階の外壁に残る足跡、走る仏像、空飛ぶ金髪女、墨汁まみれの全裸死体と密室……伝説の演歌歌手の周辺で続発する怪事件に、機動捜査隊の最厄コンビが特殊装備満載の覆面パトカーを駆使した掟破りの捜査で挑む。
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2013年10月26日(土)
なお大金うるるはその後も「雪の密室」で涼に挑んでくるが(「霧ヶ峰涼への二度目の挑戦」)、こちらは「霧ヶ峰涼への挑戦」に比べると一段落ちるのが残念。ベストを挙げるなら「霧ヶ峰涼への挑戦」だが、バカミス的な凶器と意外な犯人の伏線が秀逸な「霧ヶ峰涼とお礼参りの謎」も忘れ難い一編である。
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posted at 16:31:31
『この密室の謎は、あるひとりの人物に、あるひとつのことを質問すれば、たちまち解けてしまう』という出題者のヒントに対する探偵役の選択もさることながら、ギャグだとばかり思っていたある人物の行動に隠された意味には、正直やられたと言わざるを得ないだろう。
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posted at 16:31:21
ミステリとしては一作目同様粒揃いで、全体的に作者が得意とするギャグの中に手掛かりを隠蔽する手腕に一段と研きがかかっている印象。勿論それ以外にも騙しの技巧が随所に光っており、それらを最も上手く活かしたのが最初に紹介した「霧ヶ峰涼への挑戦」である。
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posted at 16:30:58
探偵部副部長・霧ヶ峰涼シリーズの二作目である本作はライバル(?)の登場もさることながら「殺意は必ず三度ある」などで活躍する同じ探偵部の三バカトリオと念願の共演を果たしているのが嬉しい。また作者のデビュー作で重要な役目を果たすカルト映画「殺戮の館」が出てきたのには思わずニヤリ。
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posted at 16:30:46
東川篤哉「探偵部への挑戦状」読了。鯉ヶ窪学園、秋の学園祭で探偵部副部長・霧ヶ峰涼はミステリ研究会の美少女・大金うるるから「ミスコン」もとい「ミステリ・コンテスト」に招待される。架空の密室殺人事件を巡る、エアコンの名を持つ二人の対決の行方は?――「霧ヶ峰涼への挑戦」含む七編収録。
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posted at 16:30:29
2013年10月25日(金)
ミステリとしてはちょっとした仕掛けがあるものの粗筋で言うほど大したものではなくあくまで予測の範囲内に留まっている(というか粗筋で仕掛けのある具体的な頁数まで書くのはどうなのだろう)。正直作者の従来の長編レベルを期待すると物足りなさは否めないが、軽く読む分には丁度いいかもしれない。
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posted at 21:41:15
帯にはサバイバル・ホラーとあるが、読んだ印象では石持浅海あたりが書く特殊状況物のミステリに近い(個人的には「ブック・ジャングル」を思い出した)。しかもそこかしこにギャグ要素があり、テレビの音で蜂の気をそらしたいのに、やっとの思いで付けたら将棋番組だったのには思わず吹いてしまったw
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posted at 21:41:02
貴志祐介「雀蜂」読了。山荘で目覚めた小説家の俺が見たものは次々と襲ってくるスズメバチの大群だった。昔ハチに刺されているため、もう一度刺されると命の保証はない。逃げようにも外は吹雪で通信機器も使えず一緒にいた妻は忽然と姿を消していた。これは妻の仕組んだ罠なのか?
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posted at 21:40:35
2013年10月24日(木)
しかしながら、本作の本領発揮はここからであり、そこから怒濤のように明かされる毒殺トリックを踏まえた構図にはなかなか見るべきものがある。尤も最後のアレに関しては些かやり過ぎな気がしないでもないが、個人的には処女作はこれくらい冒険しているくらいが丁度いいと好意的に捉えたい。
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posted at 23:15:13
当然のことながら、これは余程毒殺トリックに自信があるのだなと考える読者もいるだろうが、そんな期待とは裏腹に終盤で登場人物の口から語られた毒殺トリックはものの見事に予測の範疇に留まってしまう。
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posted at 23:14:39
第三回アガサ・クリスティー賞受賞作。本作を読み初めて最初に思ったのは「今時珍しいくらい、潔いハウダニット物だな」ということだった。挑むべき問題は毒殺の方法のみ。犯人は最初から分かっているばかりか、要所要所で自分の犯行のヒントまでくれるという親切ぶりである。
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posted at 23:12:12
三沢陽一「致死量未満の殺人」読了。「弥生を殺したのは俺だよ」……雪の降る夜、花帆と夫の営む喫茶店を訪れた龍太は自分が弥生を殺した犯人であることを告白した。今から十五年前、大学のゼミ仲間が宿泊する雪に閉ざされた山荘で毒殺された弥生。彼はいかにして衆人環視の中で毒殺を成功させたのか?
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posted at 23:11:46
2013年10月23日(水)
また本作のトリを飾る「なほあまりある」では貴族探偵という設定の思わぬ活かし方で大いに唸らせてくれる。頼りの使用人が一人もいない状況で貴族探偵が事件に巻き込まれるという趣向もさることながら、そのオチも非常にふるっており、徹頭徹尾「これぞ麻耶雄嵩」が堪能できる作品と言っていいだろう。
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posted at 22:57:56
そのことをイヤというほど見せ付けてくれたのが「幣もとりあへず」であり、ネタ自体は定番なのに使い方が相当捻くれているために謎解きで一瞬何が起きたのか分からなくなる感覚は「螢」にも通じるものがあるかもしれない。
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posted at 22:57:44
貴族探偵シリーズの第二弾である本作は、基本的に女探偵と貴族探偵の二段構えの推理で構成されている。女探偵の一見完璧と思われる推理を貴族探偵がどうひっくり返すかが焦点であり、それだけでも充分難度の高いことをやっているのだが、それだけでは終わらないのが麻耶雄嵩の恐ろしいところである。
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posted at 22:57:32
麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」読了。推理は全て所有物である使用人に任せる貴族探偵と新米女探偵が対決する連作ミステリ。友人に招かれやって来た別荘で女探偵が殺人事件と貴族探偵に遭遇する「白きを見れば」、座敷童子がいる旅館で起きた事件に仕掛けられた意外な罠「幣もとりあへず」など五編収録。
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2013年10月21日(月)
そこで起こる事件はミステリとしてみると難度はそれほど高くはないものの、丁寧に積み重ねてきた設定を踏まえた説得力の高いものに仕上がっている。そして何よりも本作は、本格ミステリと冒険小説を違和感なく融合させたプロットが秀逸な作品である。
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posted at 21:56:46
本作は三部構成となっており、四名の日本軍特務員が孤島へ向かうことになった経緯が語られる第一部、事件の舞台となる機帆船「ビスマルクの息子」号に乗る一癖も二癖もある人物たちを紹介していく第二部はスリリングな冒険小説だが第三部では一転、クローズドサークルテーマの本格ミステリに変貌する。
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posted at 21:56:24
伴野朗「三十三時間」読了。昭和20年8月16日、終戦を知らぬ守備隊千余名を救うため四名の日本軍特務員を乗せた一隻の機帆船が上海から東シナ海に浮かぶ孤島へ向かう。だが、その船内で密室殺人事件が発生。犯人は乗員に紛れ込んだ見えざる敵対工作員なのか? そして間もなく第二の殺人が……。
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posted at 21:56:12
2013年10月19日(土)
これが近年の作品になると謎の段階で怪異とミステリの境目が分からなくなっており、デビュー作から一貫してホラーとミステリの融合を目指しているとはいえ、その見せ方が変わってきているのが面白い。本作で提示された謎が続く「百蛇堂 怪談作家の語る話」でどう解かれるのか期待して待ちたいと思う。
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posted at 20:51:34
十二月に文庫化予定の「百蛇堂 怪談作家の語る話」に繋がる物語である本作は、基本的には怪異の恐怖を描いたホラー小説だが、所々で明らかにホラーとは異なるミステリ的謎を提示しているのが興味深い。
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posted at 20:50:29
三津田信三「蛇棺葬」(文庫版)読了。幼い頃、引き取られた百巳家で私が覚えているのは蛇神を祀る奇妙な因習と連続する怪異、そして民婆との懐かしい思い出だった。その後、成長した私は訳あって再びその地を訪れる。開かずの離れ〈百蛇堂〉での葬送百儀礼で何が起こるのか?
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posted at 20:49:54