麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年10月18日(金)
そして何より本作の一番の見所はその後に炸裂する構成のトリックと言うべきある仕掛けであり、これには見事にしてやられた。恐らく大半の読者が「だからアレをあそこに持ってきたのか」と感心するに違いない。
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posted at 22:29:10
ミステリとしてみると密室殺人は一件のみで一見地味に思えるが、本作の主眼はそこではない。一言で言えば伏線と構成の妙であり、それを最初に体感するのは物語の途中で語り手がある事実を知らされる時だろう。初読時にはびっくりさせられたが、同時に丁寧に張られた数々の伏線に気付かされる。
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posted at 22:28:54
今年度の本格ミステリのダークホース。本作は小説家の私がたまたま古書店で入手した明治時代の手記を紹介するという体裁をとっているが、時代小説でならした作者だけあって、読者をその時代に引き込む手腕はさすがの一言に尽きる。
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posted at 22:28:39
岡田秀文「伊藤博文邸の怪事件」読了。小説家の私が偶然手に入れた手記には明治17年に伊藤博文邸で起きた怪事件の様子が推理小説さながらに描かれていた。密室で行われた殺人、邸の周りをかぎ回る新聞屋、第二の死体……伊藤邸の書生・月輪龍太郎と杉山潤之助が推理合戦の果てに辿り着いた真相とは?
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posted at 22:28:14
2013年10月17日(木)
「レース」は幻のレースであることを逆手にとったミスディレクションが秀逸。「箪笥の中の幽霊」は単純なトリックを巧く組み合わせて、不可能状況を効果的に演出している。個人的なベストを選ぶなら「ダイヤ泥棒」。
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posted at 19:01:15
微妙な話ばかりだった前巻から打って変わって今回は快作揃いなのがいい。「二笑亭」は珍妙な建物に纏わるエピソードの面白さもさることながら過去の事件と現代の事件のリンクのさせ方が○。「ダイヤ泥棒」は単純ながら盲点をついたダイヤの隠し方と倒叙形式だからこそ際立つどんでん返しが素晴らしい。
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posted at 19:00:54
「C.M.B.」24巻読了。二笑亭を現代に再現した男の真意「二笑亭」、ダイヤ盗難事件を倒叙形式で描く「ダイヤ泥棒」、幻のレースもろともヨットに火を放ち死んだ父親にかけられた叔父殺しの嫌疑「レース」、降霊術に使われた曰く付きの箪笥の中から出てきた他殺体「箪笥の中の幽霊」の四編収録。
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posted at 19:00:40
「失恋」はトリックこそ小粒だが、それを活かした構図が秀逸で、終盤の師匠の言葉が胸に染みる。一方「巡礼」は様々なエピソードを有機的に繋ぎ合わせることで感動的に見えた事実の裏に潜む強烈な悪意を鮮やかに浮かび上がらせる。本格ミステリで人間を描くことに成功した傑作と言っていいだろう。
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posted at 18:59:26
「Q.E.D.」46巻読了。寄席の楽屋で起こった現金盗難事件と若手女芸人の失恋がリンクする「失恋」と、1941年にハノイで行われた裁判で妻を殺した犯人を許した夫の心理に迫る「巡礼」の二編収録。
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posted at 18:59:09
2013年10月16日(水)
対してノンシリーズ物の方は「わがままな死体」の出来が飛び抜けており、台本をまるまる挿入するなどの凝った構成が単純ながら盲点をついた毒殺トリックを際立たせている。本作の個人的なベストを挙げるなら、やはりこの短編になるだろう。
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posted at 11:06:41
作者の初期シリーズ探偵だった朝霧警部が探偵役を務める三編とノンシリーズ物四編からなる短編集。朝霧物はピンとこない機械トリック、明らかに不自然な犯人の行動、トリックは面白いのに状況を特定過ぎてバレバレなどそれぞれ欠点はあるが、強いて一編を挙げるなら動機にドラマ性がある「絆」だろう。
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posted at 11:06:29
土屋隆夫「地獄から来た天使」読了。エロ映画の勧賞中に殺人が起こり凶器が現場から消え失せた表題作を始め、上演中の舞台で起こった毒殺事件を扱った「わがままな死体」、何者から脅迫を受けていた政治家が密室から消失した後、別の場所で死体となって見付かる「私は今日消えてゆく」など七編収録。
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posted at 11:06:19
2013年10月14日(月)
また第三話でのアリバイトリックは国内作家Hの某作品で使われた毒殺トリックの変形と見ることができるだろう。何となく本作は文体やネーミングセンスからミステリ者が頑張ってラノベを書いてみた感があるが、その真相はさておき見た目に反して(?)きっちりミステリをやっている真っ当な作品である。
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posted at 17:22:11
勿論それを作者が意識して設定したかどうかは定かではないが、少なくとも作者のミステリセンスは本作から十二分に感じることができる。例えば人気声優の脅迫事件を扱った第二話は、さりげない伏線とミスディレクションを効果的に使い、意外性を引き出すことに成功している。
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posted at 17:17:30
本作で特筆すべきはやはり探偵の持つ、事件現場で「事件の象徴」となる女の子(通称・事件ちゃん)を呼び出し、話をすることができるという特殊能力だろう。これは見方によっては実に画期的であり、煩わしい捜査パートを全て省略できるばかりか、後期クィーン問題すらもクリアできる可能性すらある。
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posted at 17:12:22
とよたかゆき「ギャルゲー探偵と事件ちゃん」読了。一瞬にして消失したネックレス、人気声優を脅かす犯人の意外な盗聴法、拳銃自殺したバーチャルアイドル、将棋のタイトル戦で行われた大胆な不正、テーマバークで消えた五人の子供――五つの事件に事件の擬人化能力を持つギャルゲー大好き探偵が挑む。
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posted at 17:11:48
これだったらまだ同じネタを扱った折原一の某短編の方が捻りがきいているように思う。全体的にオチが読めてしまうのが難だが、どちらかというと語りの妙を楽しむのが吉な作品である。
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posted at 17:11:34
本格ミステリというよりブラックユーモア色の強い短編を集めた作品集。ミステリ読み的にはやはりプロの推理作家や推理作家志望者にトリックを売る会社を立ち上げた男を描いた「経営学入門」と最後の密室をテーマにした「密室学入門」に興味を覚えるかもしれないが、後者は些か肩透かし感あり。
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posted at 17:10:24
土屋隆夫「粋理学入門」読了。「俺の女房は浮気しているんじゃないか?」若い妻の愛を疑い始めた中年男が別な男を装って恋文を書き、彼女の心を試そうとする表題作を始め、独創的なトリックを案出する才能のある男がトリックのネタを売る会社を興す「経営学入門」など「~入門」で統一された八編収録。
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2013年10月12日(土)
それはさておき、全ての小説が発表された後に明らかになる黒い構図は面白いとは思うものの、それを支える肝心の伏線が全くないのはミステリとしては大きなマイナス。しかしながら落差を狙った構成的には成功しているので、そこは痛し痒しといったところだろう。
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posted at 17:29:11
創作小説の朗読会の形を借りた告発劇という内容は魅力的だがそれと闇鍋の組み合わせはいくらなんでもミスマッチ過ぎるだろうというのが読み始めて最初に浮かんだ感想だった。勿論あえてそうしているのには理由があるのだが、もう少し何とかならなかったのかという思いが最後まで拭いきれないのも事実。
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posted at 17:28:48
秋吉理香子「暗黒女子」読了。嵐の夜に闇鍋を囲みながら行われた聖母女子高等学院文学サークルの定例朗読会。テーマは『誰が一週間前に前会長・白石いつみをテラスから突き落として殺したのか?』――メンバーがそれぞれ持ち寄った告発小説を朗読し終わったその先に待つ、驚くべき真相とは?
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posted at 17:28:20
2013年10月10日(木)
事件の大半が名探偵という存在を引き立てるためのものでしかないのはまだいいとしても、折角名探偵を描くのだから事件の方もきちんとそれに相応しいものを用意してほしかった。ストーリー展開は悪くないだけに、そこが非常に残念でならない。
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posted at 22:31:41
第二十三回鮎川哲也賞受賞作。タイトルにもある通り「名探偵とは何か?」というテーマに真っ向から挑んだ作品なのはいいが、肝心のミステリ部分が「今時これはちょっと……」と苦言を呈したくなる陳腐なネタのオンパレードなのが気になる。
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posted at 22:31:19
市川哲也「名探偵の証明」読了。再起をかけるかつての名探偵・屋敷啓次郎に元相棒が持ちかけたのは資産家一家に届いた脅迫状の謎を巡る、今を時めくアイドル探偵・蜜柑花子との対決だった。脅迫事件はやがて人里離れた別荘での密室殺人に発展、果たして屋敷はもう一度輝きを取り戻すことができるのか?
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2013年10月08日(火)
一方、後者は甘酸っぱい青春ミステリだが、見かけによらずかなり細かいところまで伏線が張られていたことに驚かされる。また唯一の非ミステリ作品である「強運の男」はこの作者にしては珍しい怪しげな魅力に満ちた一編で、リドルストーリーめいた結末もそれに一役買っている。
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posted at 20:35:00
二作連続刊行の第一弾。収録作三編のうち、本格ミステリなのは「現金強奪作戦!(但し現地集合)」と「夏の終わりと僕らの影と」で、前者はこの作者らしい逆転の発想と当事者視点だからこそ陥る盲点を活かした構成が秀逸。
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posted at 20:34:30
倉知淳「シュークリーム・パニック 生チョコレート」読了。何も盗むことなく現地解散(?)した奇妙な銀行強盗の真相「現金強奪作戦!(但し現地集合)」、謎の紳士との賭けに勝ち続けた男の運命「強運の男」、自主映画の撮影終了直後に主演女優が消えた謎「夏の終わりと僕らの影と」の三編収録。
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posted at 20:33:36