麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年04月29日(火)
ミステリとして秀逸なのは第二の事件におけるロジックと第三の事件における意外な伏線、そして終盤で明らかになる構図だろう。蘊蓄部分に硬さが残るのが難だが、それを差し引いても青春ミステリ好きであればこの苦さを味わう価値はあると思う。
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posted at 17:40:57
青春ミステリの秀作。埋蔵金探しはあくまで一要素に過ぎず、メインは芸大生たちが織り成す青春パートにある。そして何より本作が優れているのはその青春部分がミステリとしてもきちんと活かされている点であり、それが最終的に結末の苦さにも繋がっている。
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posted at 17:40:39
森雅裕「画狂人ラプソディ」読了。芸大教授の七裂が研究室で殺害された。奇妙なことに発見同時、現場は水浸しだった。芸大生二人組・亀浦と歌川は事件に「富嶽三十六景」に隠された埋蔵金の謎が関わっていることを知り調査に乗り出すが、その矢先に七裂の娘、奈津子が失踪。やがて第二の事件が……。
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posted at 17:40:22
また本作はヒロインが真相に至るまでの過程が愛人という立場を活かして巧く描かれており、特に終盤、気付きの一つでもあったある愛の形と対比させることで、結末の無常感を際立たせているのが素晴らしい。本作はこの設定ならではのアリバイ崩しが楽しめる良作である。
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posted at 17:39:57
犯行時刻に容疑者が密室に監禁されているシチュエーションというと土屋隆夫の某作を思い出すが、本作にはそれとは全く異なる仕掛けを用いられている。むしろトリックそのものよりもその伏線が秀逸な作品で、真相が明かされた途端、まさかアレがそうだったのかと驚かされることだろう。
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posted at 17:39:35
笹沢左保「愛人岬」読了。古手川香織は不倫相手の水沼雄介との初めての旅行に浮かれていた。だが、その旅行先である天橋立と差ほど離れていない犬ヶ岬で雄介の友人・杉森と評論家・高峰の妻・三千代が相次いで殺害され、雄介に殺人の嫌疑がかけられる。だが犯行時刻、雄介は密室に監禁状態にあった。
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2014年04月26日(土)
また動機に関してはキャラの掘り下げが足りないためにイマイチ説得力がないのが残念。とはいえキャラ小説としてはなかなか面白いし、ミステリ読みの琴線に触れる部分もあるので、両方に興味がある人は読んでみてもいいかもしれない。
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posted at 17:10:30
特に感心したのは絵画盗難に加担する理由に迫る二章で、「女には向かない職業」のあるシーンを絶妙な気付きとして活かしている点が秀逸。メインであるシャーロック・ホームズの事件に関しては前例のあるトリックを使っているのが難だが、構図がそれを巧く補っている。
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posted at 17:10:15
一言でいえば、アンダーグラウンド版「ビブリア古書堂」。「さらば愛しき女よ」「女には向かない職業」といった作品に纏わる常連客の謎を主人公の六彦が解き明かしていく。あとがきで作者は本格ミステリを書こうとしたらNGが出たと語っているが、謎解きのプロセスは充分本格の範疇ではあると思う。
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posted at 17:10:01
八重野統摩「犯罪者書館アレクサンドリア~殺人鬼はパピルスの森にいる~」読了。殺し屋を始めとする反社会的な人間だけが利用する犯罪者書館。その店でひょんなことから働くことになった大学生・神田六彦だったが、その一方でシャーロック・ホームズを名乗る殺人鬼によって常連客が消され始めていた。
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posted at 17:09:49
だがその一方で前二作の設定に縛られ過ぎて話に広がりがあまり感じられない、言い換えれば物語として非常に窮屈な印象が否めないのが難。一部では本作が最終作という話もあるが、確かに展開的にはこれが限界なのではないだろうか。
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posted at 17:09:13
「リライト」から始まるシリーズ三作目である本作は前作「リビジョン」よりも密接に過去作に絡んだ内容となっている。核となるネタ自体はシンプルというか、恐らく本作は出版に纏わるあるネタから話を膨らませたと思われるが、そこからこれだけ複雑な物語が作り出せるのは素直に感心させられる。
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posted at 17:08:57
法条遥「リアクト」読了。1992年秋、西暦3000年からきたタイムパトロールの少女ホタルは過去が見える能力者・坂口霞との遭遇を機に岡部蛍という作家が書いたSF小説「リライト」に疑問を抱く。作中で2年4組の同級会が開かれた2000年に向かったホタルは恐るべき真実に近付いていく。
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posted at 17:08:16
2014年04月24日(木)
擬態の深水(?)の本領発揮とばかりに次々と意外な事実が物語の中に巧みに隠蔽されていた伏線によって明らかになる様は激動の展開と相俟って驚きの一言に尽きる。もっともあくまで主軸はエンタメなのでそこまで凝った仕掛けではないものの、手法的にはミステリ読者にも楽しめる作品ではあると思う。
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posted at 01:58:42
深水作品の様々な要素を取り入れた、「言霊たちの夜」以来のエンタメ作品。全三部構成で、第一部は舞田ひとみを更にやかましくした(!)ような姪っ子と繰り広げる「言霊たちの夜」的な趣があるが、ミステリ読みとしてはやはり注目は第二部以降の展開だろう。
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posted at 01:53:29
深水黎一郎「テンペスタ 天然がぶり寄り娘と正義の七日間」読了。東京の大学で美術の非常勤講師を務める賢一はある日、田舎に住む弟の一人娘・ミドリを一週間預かることになる。小学四年生のミドリはしょっぱなから毒舌全開、得体の知れないミドリと賢一の一週間にわたる共同生活が幕を開ける。
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posted at 01:52:25
2014年04月20日(日)
それに付随するある事実の隠蔽が巧かっただけに、非常に残念でならない。とはいえ真相に迫る過程で関わった人々の心の謎を解き明かして感動を演出する手際など見るべきところもあるので、ある程度割り切って読める人にのみお勧めしたい。
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posted at 20:38:12
「伽羅の橋」で第二回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した作者の二作目である本作だが、まずメインとなる異様な死体の真相が不自然なのが難。この真相をやるなら、そう見えるからそうするよりも先に肝心のものが用意できなかったからとするのが自然なのではないだろうか。
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posted at 20:37:58
叶紙器「回廊の鬼」読了。老健施設「さんざし苑」の入所者・成田正三の妻は昨年、自宅のベランダで全身緑色の服を着て、両手の爪が剥がれ、額に大きな角を生やした不審な遺体で発見されていた。それ以来、固く閉ざした彼の心を融かすため、介護職員の四条典座は妻の死の謎に迫る。
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posted at 20:37:45
恐らく作者的には本格であるより先に物語を優先したと思われるが、その物語にしても描写に凝りすぎて展開の冗長さは否めない。唯一、主人公の息子が落ちた穴を突き止めるまでの過程にはミステリ的な面白さとテンポの良さを感じただけに、できればそれを全体的に活かしてほしかった。
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posted at 19:55:56
本作は作者久々のミステリだが、本格かと言われると些か疑問が残る。というのも本作は物語としての伏線は丹念に張ってあってあるのに対し、真相を示すミステリとしての伏線に関しては所々ぼかされているのだ。
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posted at 19:55:46
道尾秀介「貘の檻」読了。かつて信州の寒村で父が犯したとされる殺人に関わり、行方不明だった女が私の目の前で電車に轢かれて死んだ。何故女は今になって私の前に現れたのか? 真相を求めて惨劇の起こった村へと息子を連れて訪れた私を、次々と異様な出来事が襲う。果たして誰が誰を殺したのか?
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posted at 19:55:34
2014年04月19日(土)
加えてエンタメ的展開により犯人を隠蔽してみせる技巧が秀逸。一部無駄があった前作に対し、本作は全ての要素を巧く物語として消化しており、そういった点では前作以上と言える良作である。
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posted at 13:59:46
「月光蝶」に続くNCIS(米海軍犯罪捜査局)特別捜査官シリーズの二作目。密室の真相に関してはあまりにも古典的なもので拍子抜けする人もいるかもしれないが、本作が優れているのは古典的なトリックを軍内という特殊な状況を活かしてどう現代的にアレンジしたか、にある。
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posted at 13:59:33
月原渉「黒翼鳥 NCIS特別捜査官」読了。飛行中のオスプレイ機内で自衛隊員が殺された。事件当時、搭乗員は全員四点式の安全ベルトでしっかりと体を座席に固定していて誰も席を動かなかった。加えて消えた凶器、被害者が二度刺されていた謎、そして機内で聞こえた「歌」が意味するものとは?
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posted at 13:59:23
唯一良かったのは本来の持ち味を活かした犯人当ての「その花瓶にご注意を」で、犯人の目的が判明してからの展開が一足飛びなのが難点だが、それまでの論理の積み重ねには見るべきところがある。もしまた短編集を出すなら、次こそは全編持ち味を活かしたもので統一してほしいと思う。
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posted at 00:36:40
「針宮理恵子のサードインパクト」はサイドストーリーに申し訳程度の謎を盛り込んだだけという印象。密室から不審な行動をしていた女子生徒たちが消え失せる「天使たちの残暑見舞い」は解決が強引なのが気になるが、オチをつけたことで何とか形にはなっている。
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posted at 00:36:17
クイーンというよりホームズ的な当てずっぽう推理で一応伏線でフォローはしているものの、探偵役が言う通り大雑把なのは否めない。表題作は謎としては悪くないが、そんなことのためにわざわざこんな面倒くさいことをする奴なんていないと声を大にして言いたい。
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posted at 00:36:07
クイーン風のロジックが持ち味である作者初の短編集は、殺人事件を扱っていた長編とは趣の異なる日常の謎物……なのだけど、正直本作を読んで日常の謎は向いていないように感じた。まず妙な場所に学食の食器を置き去りにした犯人を見付ける「もう一色選べる丼」は全体的に雑。
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posted at 00:35:34
青崎有吾「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」読了。学校内に住み着くオタク探偵・裏染天馬が日常の謎に挑む短編集。お祭りの屋台全てのお釣りが五十円玉という謎を解き明かす表題作他、裏染の妹・鏡華が花瓶を割った犯人を突き止める「その花瓶にご注意を」など五編+おまけを収録。
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posted at 00:35:20