麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年07月16日(水)
個人的に一番驚いたのが動機で、ラブロマンス的演出によって意外性と悲劇性を両立させている点が実に秀逸。唯一、第二の事件のトリックがあからさまな伏線のせいで見えやすいきらいがあるものの、それを差し引いても徹底したロマンに裏打ちされた物語と仕掛けが堪能できる秀作である。
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まず何といっても、運命的ともいうべき序盤の目撃シーンが素晴らしい。そして、この運命的というキーワードが作品全体を見事に象徴しており、物語の展開からトリック、構図に至るまでその要素を見出だすことができるだろう。
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笹沢左保「空白の起点」読了。保険調査員の新田が出張から帰る電車の中で出逢った若い女は「真鶴の海岸付近で男が崖から突き落とされたのを窓から目撃した」と主張した。それから間もなくしてその証言通りに男の墜死体が発見されるが、驚いたことに死者は女の父親だった。果たしてこれは偶然なのか?
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2014年07月15日(火)
基本的には「葬式組曲」から派生したような設定を使ったエンタメ性の高いコンゲーム小説だが、終盤になると一転、怒濤の伏線回収と巧みなミスディレクションに裏打ちされた意外な真相で魅せてくれる。
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昨年末「本格ミステリー・ワールド2014」での深水黎一郎との対談で「伏線と驚きさえあれば本格が書ける」と語っていた作者だが、本作はその持論を具体的に示してみせた作品と言えるだろう。
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天祢涼「もう教祖しかない!」読了。人との『縁』の大切さを説き、銀来団地で急速に広がりを見せる新宗教〈ゆかり〉の教祖・藤原禅祐。その〈ゆかり〉に生前契約葬儀の顧客を奪われることを恐れた会社から教団潰しを命じられた早乙女六三志。それぞれの思惑から両者は信者数バトルをすることに――。
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2014年07月12日(土)
御手洗学園高等部実践ミステリ倶楽部シリーズの二作目。メインの仕掛けはある古典的トリックの応用でその大胆な使い方が評価できるものの、いかんせん話が無駄に長すぎる。館の見取り図や読者への挑戦状を盛り込むなど作者の意気込みが伝わってくるだけに、もう少ししっかりと作り込んでほしかった。
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舞阪洸「彫刻の家の殺人」読了。実践ミステリ倶楽部部長・有栖の誘いにより伊豆半島の南〈彫刻の家〉と呼ばれる館のパーティーに出席することになった夏比古、薫子、天由美の三人。だがまたしても起こる不可能犯罪。ビールを飲めば飲むほど推理が冴える天由美の出した結論は……。
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posted at 19:49:37
例えばあるものを元にした演繹的推理はそれなりに説得力があるし、読み返してみると最低限の伏線も張ってはいる。しかし一方で読者の知識に依存する部分もあるのが気になるが、それについてはもう仕方がないと割り切ってしまった方がいいだろう。少なくとも自分は作者の試みだけは評価したいと思う。
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黒江壮と笹谷美緒の素人探偵コンビが活躍するシリーズの三十六作目。本作の見所はタイトルにもある死角に潜んだ犯人をどう引き摺り出すかにある。このタイプの作品は往々にしてアンフェアすれすれになりがちな上に読者を納得させることが極めて難しいが、本作もまたその点で作者の苦労の跡が窺える。
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深谷忠記「遺産相続の死角 東京~札幌殺人ライン」読了。函館・赤レンガ倉庫郡近くの海でスタンガンを押し当てられ溺死させられた水産会社社長・一ノ瀬祐二は、かねてから遺産相続で兄・和雄と揉めていた。やがて札幌で第二の殺人が起き、和雄の妻から助けを求められた壮と美緒は真相解明に乗り出す。
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posted at 19:48:17
見せ方的には「煽動者」に近いものがあるが、本作の方が丁寧に描写している分、説得力がある。ただその長さに見合ったネタなのかと言われると疑問であり、また犯人が発覚するのも意外性を狙ったのかもしれないが、少々唐突な気がする。
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石持作品中最長の本作は「月の扉」の「師匠」を思わせるカリスマに心酔する人々の間で起こる連続殺人物。といっても殺されるのはたった(?)二人で頁数の約半分は舞台や人間関係の説明に費やされている。そのため些かダレる部分もなくはないが、それが後々犯人の動機にきちんと活かされている点は○。
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posted at 08:41:48
石持浅海「御子を抱く」読了。平和な新興住宅地に、ある人物を師と仰ぐ集団の「門下生」たちが住んでいた。彼らは師亡き後も結束を保っていたが、一人の研究者の死をきっかけに、目覚めぬ師の遺児「御子」を巡る熾烈な争奪戦の火蓋が切って落とされる。そしてそれはやがて連続殺人を引き起こして――。
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2014年07月11日(金)
「落頭民」は自分の首を切って飛ばすことのできる一族を巡るホラーだが、異様な内容とは裏腹に描写はあっさりめなので怖さは殆ど感じない。加えてテンポのいい展開は最近読んだ「ロマネスク」と通じるものがあるかもしれない。ベストは「蛙男島の蜥蜴女」。
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posted at 19:50:03
あとの二編「兵隊カラス」は山奥に捨てられた少年が戦争の生き残りだという「兵隊さん」と出会ったことから始まる物語で、前の二編とは異なり、二転三転する展開で魅せるサスペンスという印象。
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posted at 19:49:52
表題作はネタだけ見ると差ほど優れているとは言い難いが、異世界要素を取り込むことで非常に個性的な本格ミステリに仕上げている点が秀逸。それに対し「蛙男島の蜥蜴女」はネタ自体が一読忘れることができないとんでもないバカミスであり、それを成立させるために異世界を作り上げているのが興味深い。
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posted at 19:49:30
時代小説の書き手によるミステリ三篇に角川ホラー大賞の最終候補作一編を収録した短編集。このうち表題作と「蛙男島の蜥蜴女」は「新・本格推理」に採用されただけあってミステリ度が高いのは勿論のこと、飴村行の粘膜シリーズで本格ミステリをやったような、何とも濃い作品になっている。
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posted at 19:49:15
高橋由太「紅き虚空の下で」読了。オカルトマニアの少女が絞殺され、両手首が切り落とされた事件を未確認飛行生物(!)が解決する表題作の他、孤島の密室で秘密結社の支配者が変死した謎に生贄として囚われていた男女が挑む「蛙男島の蜥蜴女」など四編収録。
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posted at 19:48:58
ちなみにタイトルに関して途中まではピンとこないかもしれないが、終盤に至りその意味するものが分かった途端、この作者らしいロマンが浮かび上がってくるところも巧い。本作はプロット次第で意外性をここまで引き上げられることを証明した佳作である。
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posted at 02:03:12
作者当ての懸賞小説として書かれた作品。本作の魅力は何と言っても作者が真の狙いを最後まで隠し通すために構築した先の読めないプロットにある。加えて人間を描くことが更に真相を見えなくしている点が実に秀逸。
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posted at 02:02:43
笹沢左保「盗作の風景」読了。麻知子の父・庄吉郎のせいで家族が崩壊したとして脅迫状を送り付けてきた青年・能坂魚男。父を守ろうとした麻知子が彼と接触してから数日後、今度は食品会社社長が殺され庄吉郎に疑いがかかる。そして庄吉郎のアリバイの証人となったのは、あろうことかその能坂だった。
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posted at 02:02:24
2014年07月10日(木)
また怪しげな人物を複数配し、その素性を様々な形で暴いていくことで謎解きの演出に工夫が凝らされている。動機となる動物ネタも前作より動物園という舞台に則したものになっているのは○。ただ伏線に関しては些か御都合主義な部分もあるが、個人的には許容できる範囲だと思う。
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posted at 20:29:44
楓ヶ丘動物園シリーズの三作目。軽妙なキャラの掛け合いもさることながら、テンポよく事件が起きるので読んでいる間は一切退屈しない。ミステリ的にはネタは小粒ながらも伏線と犯人隠蔽のテクニックに光るものがあり、特に後者は立て続けに事件が起きる展開をも利用している感がある。
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posted at 20:29:15
似鳥鶏「迷いアルパカ拾いました」読了。迷子のアルパカを保護した直後に楓ヶ丘動物園のアイドル飼育員・七森さんの友人が失踪した。その行方を追うにつれ、動物園には侵入者が現れ、次々と関係者が何者かに襲われる。事件の鍵を握るアルパカは何を知っているのか?
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posted at 20:29:02
2014年07月08日(火)
トリックも手掛かりも悪い意味で強引。一応これだけのネタを少ない頁数の中に詰め込んだ点は評価できなくはないが、それらが有機的に繋がっているとはお世辞にも言いかねる。そして何より一番致命的なのはワニ尽くしの割に、別にワニじゃなくても良かったのでは?と思ってしまうところか。
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posted at 21:31:06
霞流一「牙王城の殺劇」読了。奥多摩の山奥にあるワニの楽園『牙王城』で次々と不可解な現象が起こる。籠を担ぐ甲冑騎士の亡霊、夜空を飛ぶUFO、足跡なき殺人、空飛ぶワニ、切断された死体、消える天守閣、ゾンビの群れ……これらの謎に超常現象専門の高校生探偵団『フォート探偵団』が挑む。
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posted at 21:30:56