麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年03月23日(月)
天樹征丸/さとうふみや「金田一37歳の事件簿」6巻読了。あの函館異人館ホテルでの新たなる事件は舞台中の殺人と空中密室。特に後者は舞台という設定を活かしつつ謎の見せ方も実にハッタリがきいていて○。引き続き犯人当てにも期待したい。そして次回予告では遂に速水玲香の登場で俄然気になる。
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posted at 09:36:52
2020年03月21日(土)
……と、ここまで書いたところで実は昔文庫版(「萩・津和野殺人事件」に改題)で既読だったことを知ってビックリした(爆)。しかも昔の感想を見たら当時より再読と気付かずに読んだ今の方が好評価だったので二度ビックリした。なお中町作品で再読と気付かずに読んだのはこれで二度目だったりする。←
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posted at 19:09:29
特に秀逸なのはお馴染みの例の仕掛けと本に纏わるロジックを巧く絡めている点だろう。何となく作者がどういう過程で思い付いたのか分かるだけに読了後ニヤリとさせられるし、事件の構図に関するミスディレクションも手堅く決まっている。詰め込み気味とはいえ、テンポよく読める快作である。
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posted at 19:08:34
読む人が読めばすぐに分かるが、作者の某シリーズ探偵が別名義で出てくる(といっても終盤で正体が明かされるが)長編ミステリ。ネタは結構詰め込み気味で、途中からいつもの(?)殺人旅行ツアーが始まるが、どちらかというと殺人旅行ツアーに入る前のネタの方が切れ味があったように思う。
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posted at 19:08:21
中町信「新特急「草津」の女」読了。サラ金から三千万円を強奪した犯人が、パトカーに追われたあげく某総合病院の裏庭で事故を起こして即死した。ところが奪われた三千万円がどこにもない。それから一週間あまり後のこと、事件の目撃者である女医・奥沢くみるが新特急「草津3号」内で殺される。
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posted at 19:07:58
2020年03月20日(金)
ちなみに温度差と言えば突如展開されるミステリ論(荒唐無稽なトリックこそミステリの華、キャラクター小説じゃなくてミステリ小説が読みたい云々)やメタル談義(!)も人によっては面食らうかもしれないが個人的には嫌いではない。とまれ、本作は古さと新しさが両方楽しめる実に意欲的な作品である。
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posted at 18:37:41
更にトドメとばかりにラストに明かされる、なぜ作者があえて「約束の小説」というミステリっぽくないタイトルをつけたのか、その理由も心憎いほど決まっている。ただその一方で殺人事件パートで明かされる真相との温度差がやや気になるところだが、そこはご愛嬌と見るべきだろう。
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posted at 18:37:23
尤もそう言うと人によってはよくある趣向じゃないかと思うかもしれない。しかしながら本作の真骨頂はその二つの物語を繋げるにあたり早坂吝ばりのエロジック(!)を炸裂させている点であり、これにより古式ゆかしい物語が島田荘司の提唱する二十一世紀型本格へと鮮やかに変貌を遂げるのが素晴らしい。
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posted at 18:37:06
第12回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。本作は粗筋からするとコテコテの館ミステリ風だが実はもう一つ、謎に包まれたヒロインによる殺人事件とは別の物語が平行して展開する構成となっている。言うなればこの全く異なる二つの物語がどう繋がるかというのが本作の見所というわけである。
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posted at 18:36:46
森谷祐二「約束の小説」読了。医師の辰史のもとに父が死んだという知らせが届いた。名家出身の父の後継者として雪深い山に建つ館を訪れた辰史。彼を待ち受けていたのは頑固な祖母、掟で定められた許婚、帰りを快く思わない者からの脅迫状だった。そして遂に殺人事件が起こり、館は孤立状態に陥る――。
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posted at 18:36:33
2020年03月19日(木)
明らかにシリーズ化を想定した幕引きは好みが分かれるところだが、個人的には続編を読みたいと思わせるくらいには楽しめるエンタメ性の高い佳作である。なお作品の内容とは関係ないところだが、幾つか誤植(P50「泉谷」、P117「口ごもった跡」など)がそのままになっているのはどうかと思った。
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posted at 21:54:51
そしてこの「ここまでやるか」という部分に本格ミステリ作家らしいセンスが巧く活かされており、特に終盤における展開やある奇想に至っては「だからこういう設定だったのか」と本格ミステリならではの腑に落ちる感覚が味わえることだろう。
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posted at 21:54:41
超能力者の犯罪に対し現在の法律でどこまで立ち向かえるか?に挑んだ警察小説。作者の持ち味であるリーダビリティの高さもさることながら過去の判例や科学的蘊蓄を駆使して説得力のある物語を作り出している点がまず○で、加えてここまでやるかと唸らされるテーマの掘り下げ具合が素晴らしい。
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posted at 21:54:30
河合莞爾「カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係」読了。三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。「理に背く力」を使う犯罪者に立ち向かう、二人の刑事の運命は?
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posted at 21:54:15
2020年03月18日(水)
だがそれ以上によくできているのが事件の構図で、ただ意外な犯人を設定しただけではなく、なぜその人物が犯人なのかを更に突き詰めていくと事件のアンバランスさから見えてくる冷酷無比な犯罪計画と人間関係が実に秀逸。本作はロジックだけでなく細部までよく練られたパズラーの傑作である。
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posted at 20:33:46
国名シリーズの三作目。本作でまず目を惹くのは、やはりロジックの組み立て方だろう。第一の事件と第二の事件、それぞれで展開されるロジックはいずれも単純なものながら、きちんと他の可能性を潰しつつ段階を踏んで犯人を絞り込めるようになっている点が素晴らしい。
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posted at 20:33:38
エラリー・クイーン「オランダ靴の秘密」読了。オランダ記念病院に救急搬送された一人の患者。だが、手術台に横たえられた彼女は既に何者かによって絞殺されていた。控室では生きていた患者がいつ、どうやって絞殺されたのか。推理するエラリーを嘲笑うかのように、やがて第二の犠牲者が……。
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posted at 20:33:20
2020年03月15日(日)
また事件の構造上仕方がないとはいえ物語の展開の遅さと事件の魅力のなさはいかんともしがたいし、伏線によってやや雑なものがあるのも気になる。帯には「この女探偵、めちゃくちゃでカッコいい!!」とあるが、個人的にはあまりピンとこなかった。
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posted at 16:09:42
というのも本作は事件の構図を悟らせないようにするあまりキャラの内面描写にいまいち踏み込みきれておらず、そのせいで構図のひっくり返しに対するキャラのギャップ感に説得力が伴っていないのだ。故に終盤の展開がただの安っぽいサイコパス小説になってしまっているのが残念。
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posted at 16:09:25
星海社FICTIONS新人賞受賞作。作中でクロフツやルルー、天城一の名前が出てくるところを見るに作者はある程度ミステリ好きなのかもしれないが(その一方で吉川晃司や聖飢魔IIネタが出てくるのでもしかしたら意外と作者の年齢は上なのかもしれない)本作をミステリとして推すにはやや躊躇われる。
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posted at 16:08:58
綿世景「遊川夕妃の実験手記(エクスペリメントノーツ)彼女が孔雀の箱に落ちたわけ」読了。発明家・遊川夕妃とその助手の千代倉和は遊川の母校・堀泉女子学園で授業を受け持つことになったが、そのクラスでは確執のあった担任と生徒が二人とも行方不明になっているという怪事件が発生していた。
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posted at 16:08:40
2020年03月12日(木)
その他、松尾由美「紙の舟が運ぶもの」は時代小説ならではの日常の謎とファンタジー要素の組み合わせが不思議な余韻を生み出している佳品。門前典之「猿坂城の怪」は密室殺人と河童(?)の謎を扱った、良くも悪くも作者の近作「エンデンジャード・トリック」と同じ感想を抱かせる一編である。
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posted at 23:51:36
そして、この本格ミステリと時代小説をバランスよく融合させているのが高橋由太「大奥の幽霊」で、大奥という舞台設定を活かした捻りのきいたプロットと時代小説を最も書き慣れている作者だからこその情感が実に素晴らしい。
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posted at 23:51:27
一方、時代小説として選ぶなら山田彩人「安土の幻」で、一人の絵師が今はなき安土城が建てられた意図に迫るというロマンに満ちた物語をベースに兵糧攻めの城からのスリリングな脱出劇や魅力的な姫とのやり取り、そして歴史物ならではの外連味ある意外性など読んでいて楽しいエンタメ特化な内容がいい。
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posted at 23:50:58
「落日のコンドル」や「夕陽はかえる」とリンクした設定で首のないイタチの死骸と人間の生首、天守と相撲(!)を取ったとしか思えない死体などやりすぎと言わんばかりに謎を詰め込んだ本作はバカミストリックの連打と奇想もさることながら、意外と犯人を絞り込むロジックが巧く決まっているのが○。
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posted at 23:50:49
タイトルにある通り、城で起きる事件をテーマにした五人のミステリ作家による全編書下ろしの時代ミステリアンソロジー。本格ミステリとして評価するか、それとも時代小説として評価するかでベストは変わってくるが、とりあえず本格として推すなら、やはり霞流一「富士に射す影」になるだろう。
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posted at 23:50:28
二階堂黎人編「御城の事件 東日本編」読了。江戸城大奥に出没する赤子の幽霊、密室状況の死と河童の目撃談、駿河国のとある城で見付かる首のないイタチの死骸と人間の生首……東日本各地の城を舞台にした事件を高橋由太、山田彩人、松尾由美、門前典之、霞流一の五人のミステリ作家が描く。
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posted at 23:49:14
2020年03月09日(月)
「殺人の追憶」観了。連続猟奇殺人犯を追う話ながらミステリと思って観ると結末に唖然となる作品。尤も所々の展開からしてそれを想定して作られている感があり故にタイトルの意味が分かる結末のやるせなさには何とも言えないものがある。とぼけた味わいとシリアスが浮き彫りにする現実の苦さが秀逸。
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2020年03月08日(日)
「白い肌に狂う鞭」観了。勘当された放蕩息子が帰ってきたのをきっかけに次々と起こる惨劇の数々。怪奇映画的雰囲気が濃厚だが怪奇映画と思ってみるとちょっとした意外性がある点、また役者がある意味ミスディレクションになっている点が面白い。古きよきゴシック好きならお勧めできる作品である。
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posted at 23:48:24