麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年12月19日(土)
逆に良かったものを挙げるなら「ついているきみへ」と表題作で、前者は真相を成立させるための設定の妙が、後者は作者らしい逆説的真相と最後に浮き彫りになる語り手の心情が○。とはいえどちらかと言えばミステリとしての切れ味より久々に猫丸先輩と会える同窓会的楽しさを求めるのが吉な作品である。
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posted at 21:51:37
十五年ぶりとなる作者の看板探偵・猫丸先輩シリーズの短編集。しかしながら、あまりにも久し振りすぎて作者も勝手を忘れたのか収録作の出来にかなりバラつきがあり、中には悪い意味で妄言としか思えないもの(「ねこちゃんパズル」と「海の勇者」)もあるのが難。
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posted at 21:51:06
倉知淳「月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言」読了。電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列、ペットボトルの蓋のプレゼントと飼い犬のプチ誘拐、亡き母が残した庭にかわるがわる訪れる悪気なさそうな侵入者たち――日常に潜む不可解な謎に対する名探偵猫丸先輩の推理は如何に。
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それだけでなくこれまでのシリーズで語られた事実を伏線として巧みに活かすことで物語のクライマックスを熱く演出してくれる点も心憎い。あとがきによると次巻から物語はセカンドシーズンに突入するとのことであり、シリーズの一つの節目としては実に申し分ない佳作である。
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そういう意味では本作はこれまでのシリーズ中最も分かりやすくミステリしていると言っていいだろう。そして『灯』のメンバーがそれぞれ絶体絶命のピンチに陥ったそのタイミングで『彼女』の名前が明かされた途端、物語の真の構造と突破口が同時に判明する構成は秀逸の一言に尽きる。
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少女たちのスパイチーム『灯』の活躍を描くシリーズの四作目。今回はメインの物語の合間合間に『灯』と敵対する組織『蛇』の一人・紫蟻視点の間章が挿入される構成となっており、そこでは紫蟻に拘束され命の危機に瀕している『彼女』が何者なのかという名前当ての趣向が示されている。
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竹町「スパイ教室04 《夢語》のティア」読了。宿敵である謎のスパイチーム『蛇』の尻尾を掴んだクラウスは敵の潜伏場所へ『灯』全員で向かう。だがそんな一同を待ち受けていたのは恐怖によって支配された戦場だった。『蛇』の一人・紫蟻の命を受けた《働き蟻》たちの猛攻に『灯』はどう挑む?
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前作とは見せ方が異なるものの、読了後に残る爽やかな余韻は紛れもなく「そよかぜキャットナップ」の作者のものであり、前作の読者は勿論のこと、少し不思議な要素のある青春ミステリが好きな人にはぜひお勧めしたい良作である。
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posted at 10:44:21
しかしながらそれが明かされると同時に何気なく語られた出来事が絶妙な伏線となって少女を取り巻く状況が痛いくらいに理解できるようになる点もさることながら、そこから主人公の思わぬ秘密(?)と結び付いて感動的なフィナーレに雪崩れ込むように計算された構成が実に秀逸。
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「そよかぜキャットナップ」で講談社BOX新人賞を受賞した作者の二作目は奇妙な盗難を巡る青春ミステリ。前作では猫探しというささやかではあるが明確な謎を扱っていたのに対し、本作の謎は漠然としており、何を盗んでほしいのか、なぜそれを盗んでほしいのかが終盤まで完全に伏せられている。
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靖子靖史「ハイライトブルーと少女 」読了。タバコ屋の店番の少女とのやり取りを楽しみにしていた会社員ウミノはある日タバコ屋の老店主・志乃が亡くなったのを知る。だが暫くして再開した店には死んだ志乃が乗り移ったとしか思えない少女の姿が。驚く彼に少女は言う。あるものを盗んでくれないかと。
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2020年12月18日(金)
欲をいえばダミーの解決(これもよくできている)を否定するものが後から出てきた新事実以外にもほしかったところだが、それを差し引いても充分秀作と言っていい作品である。
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個人的に感心したのはこの手の作品が陥りやすいトリックのためのトリックになりがちなところを世界観と絡めて巧く回避している点であり、加えてそのトリックをしっかりと犯人を絞り込むロジックにも活かしているのは好印象。
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posted at 17:19:32
逆に前作を読んでいる人には、本作が前作以上に完成度が高い作品であると断言できる。二作目の今回はいかにもな建物で起こる連続殺人を扱っているが、大半のミステリ読みが期待するアレ系の仕掛けに関しては当然のことながら用意されているので、そこはご安心(?)を。
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posted at 17:19:11
「錬金術師の密室」に続くファンタジーミステリシリーズの二作目。まず最初に断っておくと本作は前作を読了していることが前提の作品である。故にもし本作から読もうと考えている人がいるなら、速やかに本作は後回しにして前作から読むことを強くお勧めしたい。
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紺野天龍「錬金術師の消失」読了。アスタルト王国の錬金術師テレサとエミリアはセフィラ教会の聖地の塔へ調査に赴いた。水銀製の奇妙な塔には隣国の錬金術師や教会聖騎士団、巡礼者らが集まっていた。だが突然の嵐で塔は孤絶。一夜明け聖騎士の首なし死体が発見されたのを皮切りに次々と犠牲者が……。
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2020年12月17日(木)
だがその反面もう一つの密室首切り殺人パートが明らかに消化不良で、作者がやりたかったことは分かるが駆け足過ぎる展開や説明不足が目につきすぎるのが実に勿体ない。結果的には作者が設けたハードルはお世辞にも超えているとは言い難いものの、前作からの成長はしっかりと感じられる作品である。
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posted at 21:28:33
特に秀逸なのは豪華ホテルでの連続殺人パートで、デスゲーム的展開とルールが絶妙なミスディレクションになっているのもさることながら、序盤の何気ない描写が犯人の意図と密接に繋がっているのが素晴らしい。
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posted at 21:28:06
デビュー作「遊川夕妃の実験手記 彼女が孔雀の箱に落ちたわけ」の続編。メインの事件が致命的なまでに魅力がなかった前作に対し本作では一転して豪華ホテルを舞台に「奇面館の殺人」を思わせる状況下での連続殺人と過去に起きた密室首切り殺人というキャッチーな事件を二つも用意しているのが好印象。
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posted at 21:27:28
綿世景「遊川夕妃の実験手記 仮面じかけのエンドロール」読了。とあるお金持ちから映画制作依頼を受けた遊川夕妃と千代倉和は気が付くと仮面の着用と偽名の使用が義務付けられ義務を破れば死が訪れる連続殺人に巻き込まれていた。一方、瀬海今日子は因習の残る村で密室首切り殺人の謎に挑むことに――。
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posted at 21:27:03
三つの“相談事”のうち、一つ目は見破ったと思わせてからの捻りが、二つ目はホワイダニットと見せかけた問題が○。そしてそれらが最終的にお嬢様の追っている事件と絡む展開は前作と同じながら、今回はそこで使用人と主の微妙な関係を表現してみせた点がいい。
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posted at 21:24:36
名探偵であるお嬢様に仕える外野に過ぎない三人の使用人にスポットを当てた異色連作シリーズの二作目。今回は三つの“相談事”もとい、ウミガメのスープなどに代表される水平思考ゲームに使用人トリオが挑むのが物語のメインとなっており、前作に比べるとよりミステリ色が強い内容になっている。
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posted at 21:24:20
鳳乃一真「お嬢様がいないところで 水平思考のファンダメンタル」読了。名探偵でもある可憐お嬢様に振り回される勇吾(完璧メガネ執事)、志水(色気ダダ漏れモテ運転手)、薫(子犬系フットマン)の使用人トリオ。今度はお屋敷のサロンを通じてお嬢様に持ち込まれる“相談事”に悩まされる羽目に……!
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posted at 21:24:03
2020年12月16日(水)
しかしながら本作は外野ならではの事件の描き方が秀逸で、事件に直接関わっていないにも拘わらず、何気ない日常の描写から見えてくる名探偵の影に隠れたある人物の活躍に、外野だからこそ気付いてみせる点が実に心憎い。
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posted at 21:50:57
名探偵であるお嬢様の活躍ではなくそのお嬢様に仕えるただの外野に過ぎない三人の使用人にスポットを当てた異色連作。物語の大半が傍若無人なお嬢様探偵に振り回され蓄積した疲れを使用人トリオがとっておきの甘味で癒す様に費やされているのでミステリとは思わず本作を読む人がほとんどかもしれない。
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鳳乃一真「お嬢様がいないところで」読了。名家として名高い道明院家の可憐お嬢様はどんな難事件も解決してしまう“お嬢様探偵”だった。この物語は可憐お嬢様が関わった事件を描いた華麗なる事件簿──ではなく、そんなお嬢様に仕える三人の男たちの日々の様子を描いただけの、平凡な物語である。
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2020年12月15日(火)
加えて横書きのテキストとLINEならではの仕掛けがない点も些か残念ではあるが、端からそういったものさえ求めなければ、ちょっと変わった構成のサスペンス物として楽しめる作品である。
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タイトルにもなっている三人の人物「イノ」「志賀」「ちょう」によるLINEのとぼけたやり取りも楽しいが、それ以上にヒロインに何があったのか少しずつ明かしていく構成が秀逸。だが凝った構成の割りに真相が安直なのもさることながら登場人物が少ないせいで誰が犯人なのかバレバレなのが勿体ない。
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posted at 22:06:35
とある事情で手に入れた誰のものかわからないスマホのLINE記録を盗み見ることでヒロインが自分の身に何が起こったのかを探っていく長編ミステリ。本作でまず目を惹くのはなんといっても全編横書きのテキストと、アイコン画像やスタンプまで忠実に再現されたLINEのやり取りだろう。
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posted at 22:06:17
鳳乃一真「いのしかちょうをこっそり視ている卯月ちゃん」読了。女子高生の逆槻卯月の日課は放課後になると使われていない部室に侵入しあるスマホの中に残った三人の人物のLINE記録を読み返して観察日記をつけること。そしてそれこそが「あの日」に起きた出来事に迫ることができる唯一の鍵だった。
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posted at 22:05:44