麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年04月30日(土)
また「愛と見分けがつかない」「卵胎生」はミステリと怪談のブレンドが絶妙だし「果てなき世界の果て」はコロナ禍という状況と現代テクノロジーを巧く結び付けた仕掛けであっと驚かせてくれる。その一方で純粋な怪談としても、表題作から始まり「母の自画像」で終わる夢の余韻が忘れ難い傑作集である。
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特にそれが顕著なのは水族館を訪れる私が雨の日に起きたある事故を回想する「水族」で、水族館の何気ない描写が浮き彫りにする事故の真相とそれを機に見えていた世界が一変する仕掛けは、ホラーミステリのアンソロジー「魍魎回廊」に採用されるだけのことはある逸品である。
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「るんびにの子供」「角の生えた帽子」に続くバラエティーに富んだ怪談短編集。元々怪談短編でデビューした作家だけあって今回もまた作者の本領が遺憾なく発揮されているが、特筆すべきは今の作者が手掛けているもう一つのジャンルであるミステリが色濃く反映された話も幾つか見受けられる点だろうか。
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宇佐美まこと「夢伝い」読了。孤独を愛する人気作家・猿橋ヒデヲが突然の断筆宣言。担当編集者の増元は一人、猿橋の住む地方へ向かった。作家を脅かすものを探しに――。表題作の他、昭和から現代までを舞台に日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全十一編を収録。
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2022年04月29日(金)
そして収録作中最も力が入っているのがトリを飾る第五話で、探偵自身の事件とも言うべき内容もさることながら、犯人を追い詰める決め手と物語としての演出が巧く噛み合っているのがいい。正直一長一短はあるが全編ハウダニット物という趣向自体は昨今では珍しい作品集である。
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しかも不可能犯罪の他に用意された謎にしても見せ方はいいのに肝心の真相が他愛ないものばかりなので悪い意味でギャップ感を覚えてしまうのも気になる。とはいえ中にはおっと思わせる部分もあり、例えば第二話は怪奇現象自体の真相こそ他愛ないもののその調査が不可能犯罪を見破る決め手となる点は○。
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辻占で失せ物を探し当てる六角法衣店の店主六角聡明が駆け出しカメラマンの安見直行と共に五つの不可能犯罪を解き明かす連作ミステリ。本作は現代のガジェットを用いた全編ハウダニット物であることを売りにしているがこの現在のガジェットが時に特殊知識に依存し過ぎているように見えてしまうのが難。
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床品美帆「431秒後の殺人 京都辻占探偵六角」読了。写真を撮る楽しみを教えてくれた恩人の不可解な事故死。離婚話で揉めていた彼の妻は死亡時刻にはタクシーに乗っていた。駆け出しカメラマンの直行は恩人の死亡事故を他殺と証明するため祖母の助言によって六角法衣店を訪れる。表題作含む五編収録。
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2022年04月28日(木)
個人的なベストを挙げるならトリを飾る「買勉の書記」で時代設定の活かし方もさることながら、これまでに語られた事件の応用編になっているのもいい。次点は「血文字の謎」でシンプルなダイイング・メッセージの真相と特殊な殺人の状況が巧くリンクしている点が○。
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その理由として作者が生粋のシャーロキアンだからというのも勿論あるのかもしれないが、それ以上に当時の香港の事情に精通していなければ、ここまで原典に忠実な再現は成し得なかったことだろう。と同時にその時代設定がミステリ部分にも活かされている点が○。
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香港版ホームズとも言うべき全六話構成のホームズパスティーシュ作品集。血文字の謎、親王府の醜聞、買勉の書記といった収録作のタイトルからもわかる通り本作は基本的にホームズ作品を清朝末期の香港に置き換えたものだが、ただ置き換えたのではなくそれらが違和感なく溶け込んでいる点がまず秀逸。
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莫理斯「辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿」読了。血文字の謎、親王府の醜聞、黄色い顔のねじれた男、買勉の書記……清朝末期・国際色豊かな英国統治下の香港を舞台に、阿片をくゆらし胡琴を奏でる辮髪の探偵福邇(フー・アル)が借間人の医師華笙(ホア・ション)と共に難事件に挑む。
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2022年04月23日(土)
「フラワーズ」観了。見知らぬ館で目覚めた六人の女を待ち受ける残酷な真実とは。何が起こっているのかタイプの作品ながら全編台詞なし&ほぼ臓物と汚物でできている内容は冗長さも相俟ってかなり人を選ぶだろう。とはいえ時折はっとさせる場面とありがちながら綺麗に演出されたオチは嫌いではない。
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人によっては作者が物語を放り投げたと捉えるかもしれないが、わざわざ本自体に仕掛けまで施している点、前半と後半の迷宮の対比を意図してやっている点を見れば間違いなくこれは計算の内であると共に〝彼女〟が本格的に動き出したらここまでの事態を引き起こすということに空恐ろしさを覚えるだろう。
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異世界転生してまで追いかけてきたヤンデレの妹に立ち向かうべく主人公が頭脳戦を駆使する異世界ファンタジーシリーズの三作目。前巻から引き続き途中までは主人公が成長しながら様々な困難を乗り越えていく王道ファンタジー路線だが、ある局面から一転それを見事に裏切ってみせる展開には思わず唖然。
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紙城境介「転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?3」読了。闇のブローカー『ビフロンス』との繋がりが疑われる女侯爵ラヴィニアの居館『臥人館』への潜入。そして霊王トゥーラの引退を機に新たな霊王を決める霊王戦の開催。王国の実権を握るべく貴族たちが暗躍する中、遂に〝彼女〟が動き出す。
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2022年04月22日(金)
どちらかというとタイトルになっているお題を手を替え品を替え作者がどう成立させたかという観点から読むと楽しめるかもしれない。個人的なベストを選ぶなら第4話「罠をかけるのは誰だ」で、高齢者には定番のネタを逆手に取った構図と人情味のあるオチが○。
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犯人以外の誰かを探す変則フーダニットのみで構成された作品集。フーダニットというと限られた容疑者の中からロジックで犯人を絞り込んでいく作品を思い浮かべるかもしれないが本作はそれほどロジックに拘った感はなくむしろ収録作の大半が意外性に拘るあまり読者に当てさせる気が感じられないのが難。
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芦辺拓「名探偵は誰だ」読了。ホテルの客で自分を殺そうとしていないのは?古アパートの住人で警察に捕まろうとしているのは?豪華客船に乗り込んだ俗物たちの中で殺されるのは?爆破された雪の山荘で生き残ったのは?強きをくじき弱きを助ける本物の名探偵は?表題作含む変則フーダニット七編収録。
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2022年04月21日(木)
天樹征丸/雨宮理真「ギフテッド」1巻読了。見ただけで殺人を犯した者が分かる少年と天才警察官のコンビが事件を解決する話。今回収録された二本のうち「水泳部殺人事件」はまだ基本的な設定説明という感じなので、まだ完結していない「三兄弟殺人事件」ではもう少し捻った能力の使い方を期待したい。
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天樹征丸/さとうふみや「金田一37歳の事件簿」12巻読了。前巻から始まった「殺人二十面相」の続き。江戸川乱歩展の会場で続発する乱歩作品に見立てた連続殺人+不可能犯罪も魅力的だがそれにクローズドサークルならではの緊迫感が加わり巧くこのシリーズらしさと乱歩らしさを両立させていると思う。
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2022年04月20日(水)
そして犯人を追い詰める決め手に関しても、何となくこれを使うんだろうなと誰もが思うものを使いつつ、ミステリではお馴染みのある用途と絡めて逆トリックとして巧く活かした点は○。個人的には前作よりも更に完成度が上がった倒叙物の良作である。
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女刑事・花房京子が完全犯罪を計画した犯人を追い詰める倒叙ミステリシリーズの二作目。今回は序盤にオーソドックスな倒叙形式と思わせてからの捻りがあり、その意外な展開もさることながら殺人計画の全貌をあえて見せないことにより一部の証拠物件が何を意味するのかという謎が生じているのが面白い。
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posted at 23:58:29
香納諒一「逆転のアリバイ 刑事花房京子」読了。宝石商の壬生真理子が夫と画策した殺人計画が今宵遂行される。ターゲットは自分たちに偽造ダイヤを売りつけたイタリア人。アリバイ工作も整い完全犯罪成立寸前と思われた矢先、計画の上に塗り込められたもう一つの企みを花房は見破ることができるのか?
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2022年04月19日(火)
どちらかと言えば現在の事件の真相の方が良くできていて、普通に考えればそんなバカなと思うネタながらあの手この手で何とか自然に成立させようとしている点は好印象。とはいえこのネタに対し些か物語が長すぎる気がしなくもないが、素直に騙されてしまったので個人的には良しとしたい。
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作者13年ぶり(!)の長編ミステリはデビュー作から続く烏賊川市シリーズ物。今回は雪に閉ざされたホテルで起きた不可解な殺人事件と過去に起きたバラバラ殺人の話が平行して進む形を取っているが、正直言うと過去の事件の真相は色々と無理があり、悪い意味でトリックのためのトリック感がある。
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東川篤哉「スクイッド荘の殺人」読了。鵜飼探偵事務所の探偵・鵜飼とその助手・流平の二人は烏賊川市の有力企業社長・小峰三郎の護衛として断崖絶壁に建つ奇妙な形のホテル「スクイッド荘」に宿泊することになった。大雪に見舞われ、いかにも怪事件が起こりそうなムードの中、遂に殺人が……。
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朝倉亮介「四季崎姉妹はあばかれたい」1巻読了。三人の姉から溺愛される少年に転生した探偵が、姉たちの中にいる自分を殺そうとしている者を探す話。ハーレム物とミステリを両立しようとすると大抵ミステリ部分がないがしろにされがちだが1巻を読む限りではミステリ部分もかなり頑張っていると思う。
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posted at 21:06:22