麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年07月28日(木)
作者はあとがきで『〈理〉に満ちた話が好きです。(中略)〈理〉によってのみ動く人々、つまり〈情〉のない人しか出てこないミステリというのはどうだろう。そう思って考えたのが「情無」の基本設定』と語っているが本作はその「〈理〉によってのみ動く人々」が織り成す異形の構図が強烈な秀作である。
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posted at 20:04:08
また事件の不可能状況もなかなか魅力的で、特に第一の事件は綾辻行人の某作を思い出す人もいるかもしれない。尤も真相に関してはハウダニットだけ見ればよくあるものながら、特筆すべきは本作ならではの設定と絡めたことで秀逸なホワイダニットとしての意外性を生み出すことに成功している点だろう。
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posted at 20:03:37
あらゆる欲求を失い怒りも悲しみも感じない「情無」達が集う屋敷で起きた連続殺人を扱った長編ミステリ。本作は「情無」の設定もさることながら主人公が探偵役を務めることになる理由や「情無」達の中にいる犯人の設定が非常にユニークで、そこだけでも本作が極めて個性的な作品であることが窺える。
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posted at 20:03:10
浅ノ宮遼/眞庵「情無連盟の殺人」読了。徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した元麻酔科医・伝城英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る〈情無連盟〉から加入の誘いを受ける。だが英二が彼らの住む屋敷を訪れていた最中、連盟員の一人が半密室状況下で殺害されてしまい……。
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posted at 20:02:50
とはいえ一応交換殺人を活かした仕掛けは用意されているもののそれ自体は前例があるものだし、何より問題なのは意外な展開を意識するあまりどんでん返しをする度に偶然の多用と人物の描写不足で説得力に乏しくなるプロットだろう。
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posted at 11:35:40
交換殺人の依頼状を機に始まる奇妙な往復書簡の顛末を描いた長編ミステリ。最初に断っておくと本作のメインは交換殺人ではなくどちらかというと交換殺人計画に関わるようになった男女の背景を描くことにあるため交換殺人目当てに読むといつまで経っても始まらないので肩透かしを覚えるかもしれない。
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posted at 11:35:24
天祢涼「拝啓 交換殺人の候」読了。パワハラのトラウマで退職から半年が過ぎても社会復帰できない秀文は首を吊ろうとした桜の木の洞に白い封筒が差し込まれているのを見つける。封筒を開けてみると、中身は交換殺人の依頼状だった。それを機に始まる奇妙な往復書簡。その先に待つ殺人計画の行方は?
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posted at 11:35:12
2022年07月25日(月)
何も考えずに読む分にはもしかしたら楽しめるのかもしれないが、少なくとも本格ミステリに何かしらの拘りがある人間が読んで手放しで褒められる作品ではないだろう。
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posted at 23:16:03
本格ミステリの王道を逆手に取った作品というのが本作の売り文句だがそもそも設定の時点で無理がありそれに目を瞑ったとしても楽しくないドタバタ劇、名前だけが先行する魅力が全く感じられないミステリ作家とその館、そして本格ミステリの美学を謳う割にショボいトリックはさすがに如何ともしがたい。
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posted at 23:15:49
片岡翔「その殺人、本格ミステリに仕立てます。」読了。音更風゛は「館」シリーズ全十作で知られるミステリ作家の一家にメイドとして就職したが一族は不仲で殺人計画さえ持ち上がる始末。これを止めるべく風゛は計画を請け負った豺と「フェイク殺人計画」を練るが予想外の人物が殺されてしまい……。
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posted at 23:15:33
一方「シャム双子」はフーダニットのロジックで魅せつつも、オリジナルと同じ設定をスリリングな展開とホワイダニット――「なぜこの状況で事件を起こしたのか?」に纏わる奇想に活かしている点が素晴らしい。二編とも甲乙付けがたい秀作であると同時にロジックと奇想で二度美味しい贅沢な作品集である。
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posted at 23:15:02
第二の射撃事件とある人物の失踪事件の裏で何が起きていたか? も実に巧みだが、何よりも凄いのは第二の射撃事件の真相であり、作者らしい奇想が炸裂したその奇跡の構図はミステリファン必読と言っていいだろう。
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posted at 23:14:34
柄刀版国名シリーズの三作目はタイトルからも分かる通り「アメリカ銃」と「シャム双子」をテーマにした二編を収録した中編集。「アメリカ銃」はオリジナル同様どこから撃たれたのか分からない射撃の謎を扱っているが、探偵役が事件に関わってからのリアルタイムで進行するサスペンス劇がまず秀逸。
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posted at 23:13:42
柄刀一「或るアメリカ銃の謎」読了。南美希風とエリザベス・キッドリッジが巻き込まれた二つの事件。愛知県のアメリカ領事私邸で起きた不可思議な連続射殺事件の謎を扱った表題作の他、山火事でクローズド・サークルと化した湖畔の別荘で発生した二ヶ所同時の殺人事件「或るシャム双子の謎」を収録。
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posted at 23:13:25
2022年07月23日(土)
「劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」」観了。前作からだいぶ間があいた劇場版四作目の一番の見所は何と言ってもベルリvs.マスクの気合の入ったMS戦だろう(でもやっぱりマックナイフはダサい)。そしてその後、今カノそっちのけで元カノといちゃつくマスクの節操のなさに笑ったw
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posted at 21:49:46
そしてそこを何とか堪え忍んで読んだとしても最後に語られる真相も真相で、失敗した作者の某作を読まされたような居心地の悪さを覚えてしまう。しかも個人的には直近で同じネタのもっと見せ方が巧い作品を読んでいたため余計にそう思ってしまった。正直ファン以外にはお勧めできない作品である。
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posted at 21:05:08
謎の自殺の連鎖と死者の体に残される「暃」の字の関連性を探る長編ミステリ。本作は事件の捜査にあたる二人の刑事と自殺の連鎖に巻き込まれた被害者達の視点で交互に物語が進んでいくがその大半が想像の域を出ない「暃」の字の解釈に費やされている為そこに興味がないと全く面白いとは思えないだろう。
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posted at 21:04:52
詠坂雄二「5A73」読了。関連性不明の自殺の連鎖の共通項は身体に残された「暃」の字。それは、存在しないにも拘わらず、パソコン等では表示されるJISコード「5A73」の文字、幽霊文字だった。刑事たちが事件の手掛かりを探る中、新たな死者が……。この文字は一体何なんだ?
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posted at 21:04:40
2022年07月22日(金)
面白いといえばもう一つ、本作には事件のきっかけである遺産相続の権利を放棄した景子の夫・俊彦を始めとした登場人物たちの曲者ぶりにだいぶ筆が割かれており、それがブラックユーモア色が強い人間ドラマとして面白いのもさることながら、最終的にXの正体と真意に絶妙な説得力を与えているのが○。
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posted at 22:01:56
そして以降は事件を起こしてしまった犯人・景子の視点――いわゆる倒叙形式で物語が進んでいくのだが、更に興味深いのは景子に何らかの事情で手を貸す謎の人物Xが存在していることであり、次第にそのXの正体と真意を犯人自らが探っていく変則フーダニットの趣向が浮かび上がってくるのが実に面白い。
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posted at 22:01:20
「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズの作者による、遺産相続を巡るノンシリーズ物の長編ミステリ。遺産相続を扱ったミステリというと基本的には遺産を相続する権利があったばかりに事件に巻き込まれるパターンが多いが、本作は逆にその権利を放棄したことで事件が起こってしまうのがまず興味深い。
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posted at 22:00:36
木元哉多「遺産相続を放棄します」読了。名家・榊原家の当主が亡くなり孫の俊彦に多額の遺産が相続される筈だった。しかし俊彦はその権利を放棄。妻の景子は何とか夫を翻意させようとするもある事情から義姉を死なせてしまう。ところが放置した死体が忽然と消失。一体誰が何のために死体を隠したのか。
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posted at 22:00:20
2022年07月21日(木)
欲をいえばもう少しこの世界で使うことのできる魔術に関する言及があっても良かったような気がするが、あまり言及し過ぎても真相に気付かれてしまうので難しいところではあるだろう。とはいえ手掛かりはだいぶ出しているし、物語としても探偵役の成長と恋(?)の行方がますます気になる佳作である。
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posted at 22:20:32
その一方で事件の見せ方にも工夫が凝らされており、前作よりも謎が明快で分かりやすく、それでいて物語が進んでも解決に近付くどころか謎ばかりが増えて混迷の一途を辿っていく展開がいい。そして、それをファンタジー設定ならではの一発技に近いシンプルな真相で一気に説明付けてみせる点も○。
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posted at 22:20:15
物見の聖女・ヴィクトリアが探偵役を務めるファンタジーミステリシリーズの二作目。前作を読んだ時にミステリとして評価しつつも「探偵役の霊が視える能力がほとんど活かされていない」ところを不満点に挙げたが今回は一転してその能力を事件の謎を解く手掛かりとしてきちんと活かしているのが嬉しい。
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posted at 22:19:35
春間タツキ「聖女ヴィクトリアの逡巡」読了。帝国の皇帝が次期皇帝の候補者たちの前で自害を遂げた。すぐさま新たな皇帝を決める継承選が行われるもある候補者の策略により膠着状態に陥ってしまう。しかも事態を打開するためには皇帝の謎めいた自害の真相を明らかにしなければいけないようで……。
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posted at 22:19:17
2022年07月20日(水)
一部強引な展開が気になるものの、長かった『蛇』との戦いにようやく決着がついたことに関してはやはり感無量と言わざるを得ない。前作並みとまでは言わないまでも一定の面白さは保証されている佳作である。
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posted at 19:15:04
尤も今回のサブタイトルから、ある程度展開に察しがついてしまうところもあるが、作者の方もそれを見越していたのだろう。前述した二つの謎を有機的に絡めたどんでん返しを盛り込むことで、作中の登場人物である『白蜘蛛』と共に読者を煙に巻いてみせる点が心憎い。
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posted at 19:14:43
機関『灯』の活躍を描く長編シリーズの八作目。ガルガド帝国の諜報機関『蛇』との戦いも佳境に入り、いよいよ宿敵『白蜘蛛』と直接対決へ。その一方で「壊滅した筈のスパイチーム『鳳』が蘇ったという噂は本当なのか?」「『灯』の新メンバー『炯眼』とは何者なのか?」という二つの謎が物語を彩る。
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posted at 19:13:52
竹町「スパイ教室08 《草原》のサラ」読了。CIM内の裏切者を暴き出した『灯』だがその代償は大きくチームは半壊、モニカも安否不明に。そんな中、全ての元凶である宿敵『白蜘蛛』を捕えるためリリィ・ジビアと共に奔走するサラの元に壊滅した筈のスパイチーム『鳳』が蘇ったという情報が齎されて……。
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posted at 19:13:31