麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年05月18日(水)
もう一つこの作者らしいと言えば「伏線の狙撃手」ぶりも健在で、二転三転する展開の中にピンポイントで伏線を回収する巧さを見せつけることで、真犯人の意外性を際立たせる手腕が実に秀逸。本作は炎上という現代的テーマで一気に読ませる、プロット型本格の傑作である。
タグ:
posted at 21:57:55
思うにこの仕掛けに関しては実際にTwitterをよく利用している人ほど騙されるのではないだろうか。こういった現代の技術を積極的にミステリに活かそうとする姿勢は歌野晶午を彷彿とさせるが、それに加えて情報拡散することの危うさという社会的問題も取り入れているところが何ともこの作者らしい。
タグ:
posted at 21:57:42
Twitterで身に覚えのない殺人事件の容疑者にされた男が逃亡しながら真犯人を探す現代版「逃亡者」とも言うべき長編ミステリ。Twitterの情報拡散を演出として取り入れることによるサスペンス性がいかにも現代的ながら、特筆すべきは演出だけでなくミステリの仕掛けとしても巧みに活かしている点だろう。
タグ:
posted at 21:57:00
浅倉秋成「俺ではない炎上」読了。ある日突然Twitterで「女子大生殺害犯」に仕立てられた男・山縣泰介。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され大炎上しているらしい。全くの事実無根だが誰一人として信じてくれない。日本中が敵になり必死の逃亡を続ける泰介がやがて辿り着いた驚くべき真相とは?
タグ:
posted at 21:56:39
全話に共通して言えるのは終盤の登場人物たちの豹変ぶりであり、話によってそこにギャグっぽさやミステリっぽさが窺えるのが面白い。正直いえば飴村作品としては狂気度は抑えめだし「令和のドグラ・マグラ」も過大広告だとは思うものの、作家テーマの連作ホラーとしてはそれなりに楽しい作品である。
タグ:
posted at 14:33:33
読む者を狂気の淵に叩き落とす、呪われし伝説の作家を巡る全五話構成の連作ホラー。本作の帯には「令和のドグラ・マグラ」と書かれているが、個人的な印象ではそこまでの狂気は感じられない。しかしながら話によってはドグラ・マグラ要素が全くないとも言えないだろう。
タグ:
posted at 14:33:10
飴村行「空を切り裂いた」読了。戦後、文壇の寵児としてもてはやされた孤高の作家・堀永彩雲。しかしその後の半生は絶望と狂気に彩られていた。享年五〇で自害した作家の作品は世間からは忘れ去られたが一部で狂乱の読者を生み育んだ。そして今、彩雲の子らは真の目覚めを迎え、世紀末日本で覚醒する!
タグ:
posted at 14:32:55
2022年05月16日(月)
「ルチオ・フルチの恐怖! 黒猫」観了。ポーの「黒猫」をフルチが大胆にアレンジ……というかオカルト老人が黒猫を操って(!)連続殺人を引き起こす時点でほとんどフルチのオリジナルのような気がする。とはいえフルチらしい連続殺人の残虐描写と恐怖とは程遠い黒猫の可愛らしさが見所の作品である。
タグ:
posted at 00:25:08
2022年05月14日(土)
「シン・ウルトラマン」観了。初代ウルトラマンの庵野流新解釈。シン・ゴジラ同様、現実世界にウルトラマンがいたらどうなるかをシミュレーションしつつもサム・ライミを思わせる意外性に満ちていて実に楽しかった(ただ終盤のアレは賛否分かれそうだが)。あと個人的には対メフィラス戦の劇伴が最高。 pic.twitter.com/P983ZFOYag
タグ:
posted at 20:32:23
「バブル」観了。一言でいえばSF設定の人魚姫の話。恐らく一番やりたかったのはパルクールアクションでありそれの味付けとして人魚姫を持ってきたのだろうがいかんせんやりたいことと設定に物語としての必然性がない為にただの雰囲気映画になってしまっているのが難。とはいえアクションは流石の出来。
タグ:
posted at 16:11:13
2022年05月13日(金)
構成に凝るのもいいが、これならまだ連作ミステリとして見せた方が良かったのではないかと思ってしまった。とはいえ前述したように謎によっては観覧車を活かした前作のようなロジカルな謎解きが楽しめる作品である。
タグ:
posted at 11:16:24
加えて六つの密室劇それぞれに用意された謎のクオリティーにばらつきがあり、中には明らかに数合わせで入れられたと思しきものもあるのが難。また読者をミスディレクションさせようとするあまり解決シーンの一部がかなり読みにくくなってしまっているのも気になる。
タグ:
posted at 11:14:48
「幽霊たちの不在証明」で第18回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞した作者の二作目は止まった観覧車に閉じ込められた乗客たちによる六つの密室劇を描いた長編ミステリ。正直ミステリを読み慣れた人であれば、この構成から作者がやろうとしている仕掛けはある程度読めてしまうことだろう。
タグ:
posted at 11:14:32
朝永理人「観覧車は謎を乗せて」読了。自分を殺した犯人の脱出法を考えてほしいという幽霊、観覧車から標的を狙撃してほしいと依頼された殺し屋、爆弾と共に乗せられ解除コードを当ててみせるよう強制された男――不意に停止した観覧車とゴンドラ内に閉じ込められた六組の乗客たちの運命は?
タグ:
posted at 11:12:27
2022年05月12日(木)
その一方でキャラクター小説としてのヒロインの見せ場に頁を割きすぎたせいか重要な伏線が後半に集中しすぎているきらいがあるものの、それを差し引いてもファンタジーミステリの面白さはきっちり味わわせてくれる良作である。
タグ:
posted at 21:03:50
そして、その動機を際立たせるためにミステリではお馴染みのある錯誤を織り交ぜ、更にミスディレクションも盛り込んでいるのは○。また事件とは別に意外な事実を幾つか用意し、終盤でそれを畳み掛けることで印象的な解決シーンを演出している点もいい。
タグ:
posted at 21:03:23
賭博師として嘘を見抜く能力に長けたヒロインが二年前に大教会内部で起きた神子候補殺人事件の真相に迫るファンタジーミステリ。どこか作者の代表作「薬屋のひとりごと」の西洋ファンタジー版的な趣がある本作だが特に秀逸なのはシンプルながらもこの世界ならではの動機を巧く作り上げている点だろう。
タグ:
posted at 21:02:49
日向夏「聖女に嘘は通じない」読了。神官見習いのクロエには洞察力と記憶力を武器にカード賭博で荒稼ぎするという裏の顔があった。ある日彼女の能力を見込んで聖騎士エラルドがある依頼を持ちかけてくる。それは神子候補として大教会に潜入し二年前の殺人事件の犯人を見付けてほしいというものだった。
タグ:
posted at 21:02:09
2022年05月11日(水)
また連作としての仕掛けの方も抜かりなく、トリを飾る第四話の早い段階でそれを明かし読者をあっと言わせた後に、ミステリ寄りだった第一話とは対照的にホラー展開でじっくり読ませてくれるのがいい。
タグ:
posted at 21:46:17
中でも完成度が高いのは記憶を失くしたサラリーマンの霊が巻き込まれた殺人事件の謎を解き明かす第一話で、事件を巡るある種の不可能状況をあっさりと解き明かすインチキ霊媒師の名探偵ぶりも見応えがあるが、それ以上に前述した幽霊の特徴を活かした最後の一撃が実に秀逸。
タグ:
posted at 21:45:50
インチキ霊媒師が遭遇した霊たちの秘密を明らかにしていく全四話構成の連作ホラーミステリ。本作はインチキ霊媒師と毒舌美人助手の掛け合いも楽しいが、何よりも特筆すべきはどの話も幽霊の特徴を巧くミステリに落とし込んでいる点だろう。
タグ:
posted at 21:45:22
阿泉来堂「贋物霊媒師 櫛備十三のうろんな除霊譚」読了。“今世紀最強の霊媒師"と謳われる霊媒師・櫛備十三には実は肝心の霊を“祓う"力がない。今日も助手の美幸に叱られながら、持ち前の洞察力とハッタリを駆使して、心霊現象の問題解決に奔走するが、事態は毎回思わぬ方向に転んでいき――。
タグ:
posted at 21:44:53
2022年05月10日(火)
とはいえ本作は一貫して御影冴華の物語であり、謎は彼女の内面に迫るきっかけとして機能しているに過ぎない。謎が謎を呼ぶ展開の後に待ち受ける真相は必ずしも意外性があるわけではないがそれでも謎の転がし方は見るべき所があるし何より前作同様この設定ならではの青春物をきちんと描いた良作である。
タグ:
posted at 21:02:43
しかしながら中盤から浮上するある謎を機に物語は前作と同じくミステリの雰囲気を纏い始める。もっともその謎にしても最初はさほど魅力的には感じないかもしれないが、真相に迫るために主人公が取った行動によってそれが一転、更に不可解極まりない謎へと変貌を遂げてしまう展開が非常に面白い。
タグ:
posted at 21:02:26
顔に触れた人間の意中の相手が分かる能力を持つ主人公が恋の相談役として活躍するシリーズの二作目。前作は異常な惚れ癖に悩まされるヒロインの、好きになる人間の法則性に迫っていく過程にミステリとしての読み所があったのに対し、本作は前半だけ読むと普通の恋愛相談物になったように思えるだろう。
タグ:
posted at 21:02:05
丸深まろやか「天使は炭酸しか飲まない2」読了。告白できない人間の背中を押す天使として暗躍する明石伊緒の許に規格外の美少女・御影冴華の依頼が持ち込まれる。既に彼女に恋する男子からの相談を受けていた伊緒は悩んだ末に二つの相談を掛け持ちすることに。だが御影には何か事情があるようで――。
タグ:
posted at 21:01:38
2022年04月30日(土)
また「愛と見分けがつかない」「卵胎生」はミステリと怪談のブレンドが絶妙だし「果てなき世界の果て」はコロナ禍という状況と現代テクノロジーを巧く結び付けた仕掛けであっと驚かせてくれる。その一方で純粋な怪談としても、表題作から始まり「母の自画像」で終わる夢の余韻が忘れ難い傑作集である。
タグ:
posted at 16:43:35
特にそれが顕著なのは水族館を訪れる私が雨の日に起きたある事故を回想する「水族」で、水族館の何気ない描写が浮き彫りにする事故の真相とそれを機に見えていた世界が一変する仕掛けは、ホラーミステリのアンソロジー「魍魎回廊」に採用されるだけのことはある逸品である。
タグ:
posted at 16:42:42
「るんびにの子供」「角の生えた帽子」に続くバラエティーに富んだ怪談短編集。元々怪談短編でデビューした作家だけあって今回もまた作者の本領が遺憾なく発揮されているが、特筆すべきは今の作者が手掛けているもう一つのジャンルであるミステリが色濃く反映された話も幾つか見受けられる点だろうか。
タグ:
posted at 16:41:43
宇佐美まこと「夢伝い」読了。孤独を愛する人気作家・猿橋ヒデヲが突然の断筆宣言。担当編集者の増元は一人、猿橋の住む地方へ向かった。作家を脅かすものを探しに――。表題作の他、昭和から現代までを舞台に日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全十一編を収録。
タグ:
posted at 16:41:14