麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年12月18日(日)
他にもポーの「盗まれた手紙」のパロディ「また盗まれた手紙」の盲点をつくトリックが素晴らしい。全体的にみるとユーモア重視のものが多いが、ミステリ読みには表題作と「また盗まれた手紙」の二編を是非ともお勧めしたいと思う。
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posted at 20:32:03
そして間もなく殺人事件が発生したかと思えば、凶器が大学ノート、現場には鳩の死骸が残されているという不可解極まりない内容で、かなり唖然とさせられる。勿論真相の方もそれに見合った(?)唖然とするもので、恐らく倉阪鬼一郎や乾くるみの作品が好きな人であれば、更に楽しめることだろう。
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posted at 20:31:29
清水義範「茶色い部屋の謎」読了。ミステリ、ホラー、SFとバラエティ豊かな十二編が収録された短編集。ミステリとしては表題作が特に秀逸。いきなり作者の手違い(!)で読者への挑戦状が突き付けられて面食らっていると、続いて金野大地に麻古ミスといった古今東西の名探偵ならぬ迷探偵たちが登場。
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posted at 20:30:57
だが、これらのガジェットは単なる雰囲気作りのためではない。全てミステリとして効果的に活かされているのは好印象。また事件自体は一見地味に感じられるが、それも恐らく作者の計算のうちだろう。最後に明かされる事件の異様な構図と大トリックとの落差が実に秀逸な、何とも贅沢な作品である。
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島田一男「古墳殺人事件」読了。古墳群の一角で無惨な死を遂げた考古学者。暗礁に乗り上げた汽船を連想させる異形の館。エジプトの詩文を模した暗号。船狂人の館主人を始めとした一癖も二癖もある容疑者たち……と言った具合に本作には本格のガジェットがこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。
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2011年12月17日(土)
順一は言う。幽霊はにおいである、と。だが、それに同意することは、すなわち読者自身の変態を認めることでもある。しかし、だからと言って躊躇する理由はどこにもない。変態であることを早々と認めてしまえば、本作を心ゆくまで楽しむことができるのだから。
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飛鳥部勝則「白い猫」読了。においに敏感な男・順一が少女の凄惨な自殺死体と出遭ってからの日々は、倒錯したエロスと怪異によって彩られていた……。これまでにも作者は何度か幽霊に関する一考察をテーマにした小説を書いているが本作はその中でもかなり強烈なインパクトのある作品に仕上がっている。
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posted at 21:38:18
実際、自分も読み始めた当初は同じ意見だった。だが読み終わってみると、これが飛鳥部流の変格探偵小説だったことに気付く。本作の哀れな主人公は、ある意味、麻耶雄嵩作品のワトソン役の一人・推理作家の美袋三条と通じるところがあるかもしれない。
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posted at 21:36:30
飛鳥部勝則「バグベア」読了。熊に食い殺された姉が体に取り憑いたと主張する少女と、そんな少女に想いを寄せる少年の話。それだけならば別にどうということはないのだけど、これが実は幻想探偵をテーマに書かれたものだと知れば、誰もが「どこが探偵物なんだ?」と首を傾げることだろう。
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posted at 21:36:01
2011年12月16日(金)
張り巡らされた伏線とこの世界だからこそできた意外な構図は「折れた竜骨」以上と言ってもいいだろう。本作を見落としていた自分の目も節穴だが、これほどの作品を本ミスのラノベコーナーで全く取り上げなかったのは大きな落ち度と言わざるを得ない。本作は異世界本格ミステリの隠れた傑作である。
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posted at 23:03:56
2011年の本格ミステリは剣と魔法の世界を舞台にした「折れた竜骨」が話題をさらったが奇しくも同じ剣と魔法の世界を舞台にした本格がまさかラノベから生まれていたとは思わなかった。結界で閉ざされた森で繰り広げられる偽者探しは、正にクローズド・サークルにおけるフーダニット物のそれである。
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posted at 23:02:52
山形石雄「六花の勇者」読了。魔神が長き眠りから目覚め世界が危機に陥る時、運命の神は六人の戦士『六花の勇者』を選び出す。だが集まった勇者は七人いた。この中に一人だけ『六花の勇者』の名を騙った偽者――六花殺しがいる。六花殺しの嫌疑をかけられたアドレッドは一人、偽者探しに乗り出す。
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posted at 23:02:04
海沿いにある建築中の豪華マンションで作業員が次々と怪死を遂げる事件が発生し、幻想探偵社の面々が化け物退治に乗り出すこの短編はどこか「ゴーストバスターズ」を彷彿とさせる痛快さもさることながら何より呆気にとられる事件の真相が素晴らしい。こういう話があるからこのシリーズはやめられない。
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posted at 17:49:50
清水義範「不透明人間の挑戦」読了。オカルト系の事件ばかり舞い込む幻想探偵社シリーズの第三弾。再編集版の「こちら幻想探偵社」で既読の「アリバイ崩しに御用心」他三編が収録された本作は「アリバイ崩し~」を除くとミステリ的には弱いもののSFとしては「エイリアン右往左往」がなかなかに秀逸。
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posted at 17:49:18
2011年12月15日(木)
表題作のシンプルなロジックも素晴らしいが、論理のアクロバットという点では「ドン・ファンの衣装」も見逃せない。犯人が死体の衣服からネームやマークを剥ぎ取った理由について、論理の飛躍と共に意外な犯人へと繋げてみせる作者の技巧ぶりには思わず唸らされること請け合いである。
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posted at 20:05:54
前作「仮面の告発」も高水準な短編集だったが、反転する構図とロジックの上手さは明らかに本作の方が上だろう。収録作はいずれも何らかの童話やおとぎ話をモチーフにしており、それが雰囲気作りだけではなく、ミスディレクションとしても巧妙に活かされている。
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posted at 20:04:39
海渡英祐「死の国のアリス」読了。大学教授とその教え子の女子大生が殺された。奇妙なことに女子大生の死体の周囲にはトランプがばらまかれ、少し離れた床の上には「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の合巻本が落ちていた――空想癖のある刑事・加藤一郎が探偵役を務める連作ミステリ第二弾。
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posted at 20:04:01
「宝石 ザ ミステリー」読了。意外にも正統派犯人当てだった麻耶雄嵩「おみくじと紙切れ」に対し深水黎一郎「大癋見警部の事件簿《番外編》」はとことん捻くれた内容で、読者の予想の斜め上をいく着地っぷりが痛快ですらある。その他、東川篤哉「死に至る全力疾走の謎」は謎と解決の捻りが実に秀逸。
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2011年12月13日(火)
事件が起こり犯人が明らかになると言っても、本作は断じてミステリではない。かと言って、事件を通して描きたいものが明確にあったのかといえば、それもまた違う気がする。何だかとりとめもなく書いて、鬼畜っぽく終わらせただけとしか思えなかった。読みやすくはあったが、正直印象は薄い。
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posted at 22:12:37
森田陽一「双子と幼なじみの四人殺し」読了。高校生の菱川迷吾は双子の美少女・一縷と朽縷に翻弄される毎日を送っていた。そんなある日、三人は学校で飛び降り自殺の現場に遭遇する――帯を見ると「第3回GA大賞の問題作」とあるが、個人的には問題作以前に作者が何をしたいのかよく分からなかった。
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posted at 22:12:02
空想癖のある刑事という設定もそれに一役買っているのは間違いないだろう。ベストは死んだ青年が書き残した日記から始まる凝った構成の「血と虹と」だが、何の変哲もない窃盗事件だったのが盗まれたものが判明した途端に一変する「小箱の中の死」もなかなか捨てがたい。
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posted at 22:11:41
派手さはないが、些細な気付きからそれまで見えていた事件の構図を鮮やかにひっくり返してみせる。加えて本作は作者が「人の心のミステリィを描きたかった」と語る通り、事件に散りばめられた様々なWhyを通して登場人物の心理を浮き彫りにしており、それが絶妙な余韻を生み出している。
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posted at 22:10:49
海渡英祐「仮面の告発」読了。空想癖のある刑事・加藤一郎が探偵役を務める連作ミステリ短編集。若い娘が死体で発見された翌朝、娘の叔父宛に日記風の謎の手紙が届く(表題作)――個人的に海渡英祐は短編の名手だと思っているが、その手腕は本作でも遺憾なく発揮されている。
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posted at 22:08:40
2011年12月10日(土)
但し本格ミステリ+伝奇のハイブリットものとしては目新しさは全くない。個人的には伝奇要素が本格ミステリをどうやって上手く壊してくれるのか期待していただけに残念と言わざるを得ない。またどこら辺が「探偵失格」なのかよく分からない点も×。とはいえ、思ったよりも楽しめた作品だった。
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posted at 17:00:18
作者はあとがきで本作のことを「本格推理」ものではなく「なんちゃって推理」ものと言っているが、とんでもない。確かにネタだけ見れば差ほど新鮮味はないが、厨二設定が上手い具合にカモフラージュになっており、幾つか気になる点はあるものの真相が明かされた時はちょっと感心してしまった。
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posted at 16:59:47
まず本作の内容を一言で例えるとするなら、ガジェット型本格ミステリ+厨二病的伝奇+うわっふー(爆)。冒頭から寒いギャグのオンパレードで始まり、そこに行き当たりばったりの厨二設定がどんどん盛り込まれていくので、最初はかなり引き気味で読んでいたのだが、意外にも本格ミステリ部分はまとも。
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posted at 16:57:22
中維「探偵失格 愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス」読了。僕が愛の奴隷として信奉する「お姉ちゃん」こと黒塚音子に誘われて訪れた先は外法の象徴「不死姫」を擁し規格外の面子が集う館――通称「地獄檻」。そこで起こる連続殺人の果てに見出だすのは犯人か、それとも百鬼外法の成れ果てか?
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posted at 16:56:32
2011年12月09日(金)
そして本作はその本領を最大限に活かした緻密な騙し絵である。途中、密室からの人間消失の謎が出てくるが、そんなのは些細な問題に過ぎない。作者が仕掛けた本当の罠を見破れる人は果たしてどれくらいいるだろうか。本作は「さよならの次にくる」でその兆しを見せた似鳥鶏が完全に化けた傑作である。
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posted at 22:59:04
まさかこの作者の作品でここまでやられることになるとは思ってもみなかった。まず断っておくと、本作は単なる〈日常の謎〉物ではない。今までずっと勘違いしていたが、この作者の本領は〈日常の謎〉を巡るトリックやロジックではなく、むしろ〈日常の謎〉を疑似餌に使った、伏線と構図の妙だと思う。
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posted at 22:58:28
似鳥鶏「いわゆる天使の文化祭」読了。文化祭を目前に控えたある日のこと。登校した葉山君の目に飛び込んできたのは、そこかしこに貼られた、ピンクのペンギンにも似た〈天使〉が描かれた異様な貼り紙だった。最初はただの悪戯かと思われたが、事態は徐々に深刻さを増してきて――。
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posted at 22:57:54
事件の性質上、犯人がすぐに分かってしまう、トリックに今一つ新鮮味がない等の不満はあるが丁寧に張られた伏線やどんでん返し、更には作者の推理小説論まで盛り込まれており、なかなか読み応えのある作品に仕上がっている。推理小説の根幹は謎解きという作者らしいオーソドックスな本格の良作である。
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posted at 17:55:55
タイトルだけ見るとよくあるトラベルミステリ。だが、その中身は意外にも本格ド直球だから驚く。主人公の書いた推理小説に見立てた連続殺人。密室状態の部屋からの墜落死。走行中の列車から消え、その後別の場所から発見された死体――それらが現場見取り図と共に物語を盛り上げていく。
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posted at 17:55:31
高柳芳夫「奈良―紀州殺人周遊ルート」読了。アイドル歌手の岡村有香が謎の墜落死を遂げてから一年後、推理作家のわたしは自作の映画撮影に立ち会っていた。だがその最中に小道具の短剣が本物にすり替えられ女優が殺されかける。そしてそれを皮切りに次々と自作そのままに不可解な事件が起こり始める。
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posted at 17:55:16